波がある。
波がない。
風がいい。
風が悪い。
晴れている。
雨が降っている。
朝だ。
夜だ。
満潮干潮。
うねりの角度。
波が強い。
波が弱い。
うまく乗れた。
うまく乗れなかった。
波に対しての評価を俺たちはしている。
あそこがいい、
ここはだめだ、とも。
満月と新月。
おいしいかまずいか。
高いか安いか。
温度湿度。
そんなことを考えていると、
あるとき、全てがどうでもいいことに思えてきた。
夜明け前のハイウエイを西に走らせていくと、
雨が降ってきて、そして止んで、そらは星をちらつかせていた。
雲の薄いところがオレンジに色づき、
それは加速度的に視界に色を付けた。
見渡す限り誰もいない海で、
自分だけの波を見つけ、
波の切っ先をかいくぐり、
朝陽に向かってレイルをセットすると、
一瞬だけこんな世界が拡がった。
またはこんな世界だった。
俺はこの一瞬のために全てを投げ出しているのか。
愛も、闇も、憂いや悲しみ。
極も核も、季も年も。
たった一瞬の、決してつかむことのできない獲物のために。
さまよい、惑い、探り出すように海に向かう。
哲学なのか宗教なのか。
波乗りとは、
魂に閃くような炎を得る狩り。
そう思うと、時間も車も、
食も痛みもどうでもいいことに思えてきた。
季節が変わるときには、
いつもこんなことを考える自分が出現することも知っている。
ただ違うのは、この想いをここに書いたこと。
大きな洋にひっそりと浮かぶ小さな島で、
ちっぽけな男が一瞬だけ感じたことである。
一瞬は永遠のときもあるし、
蒸気のように霧散してしまうこともある。
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みなさんのお手元に波乗り=SURFSURFSURFな気持ちが届きますように。
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