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【特集】COLEの経験と、伝説モデルとの融合から生みだされたライトニング・キッカー(Lightning Kicker)_(3206文字)

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アメリカの俗語で「興奮」、

「痛快」、「スリル」、

または刺激的なことを”キック(KICK)”という。

例えばカフェインの強いコーヒーを飲んだときに

「This Coffee has a lot of kick in it. このコーヒーはやけにくるね」

と興奮したと讃えたりもする。

さて、サーフボードの話です。

20世紀の逸品は、

クアッドフィンを一般的にしたコール”Firefly”(ファイヤーフライ)が挙げられるだろう。

それからコールはミニボードをこの世に誕生させ、

ファイヤーフライとハイパフォーマンスボードを融合させたのがルースキャノン。

発売開始から3年も経つのに、

その人気は衰えるどころか、

さらに増している21世紀の伝説的な名作。

コールはいつもサーフボードの進化を考えていて、

そのためには書き直したり、

白紙に戻すことも多々ある。

そんな中登場したのが、

新シングルコンケイブ・ボトム搭載のカーブボール。

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シングルコンケイブは、

2000年代に多くのシェイパーがトライして、

波や乗り手を選ぶ特性の高さに主流とならなかったのが

コールはそのスペシャルボトムをどんな波にも

そして誰にでも操作できるようにチューニングし、

新時代シングルコンケイブとして、

ひっそりとカーブボールにフル搭載した。

このモデルは、

宣伝もライダーによるデモもしていないが、

夏からナンバー1セールスをキープしているプロダクトとなっている。

口コミだけでこれだけのオーダーが入るのは、

一般サーファーの評価が高いことを意味しています。

NAKISURFにもストックが入荷すると、

ページにアップする前に完売してしまうほどの人気であります。

で、前出した伝説の系譜を持つルースキャノンに

カーブボールの新時代シングルコンケイブを搭載したら?

という合体アイディアで誕生したのが、

来年のCOLEニューモデル案であります。

話は変わるが、

弊社のヤスがこちらでサーフしているときに

”グラブルズの波”

にテイクオフしづらそうなことに気づいた。

もっと言うとヤスだけではなく、

日本から来るほとんどのサーファーがこの波に手こずっていることを感じていた。

で、ヤスに波の印象を聞いてみると、

「生まれて初めてこんな波に乗りました」

「新島羽伏浦の波に乗ったことはある?」

「いえ、乗ったことがありません」

なるほど。

そこで

「日本の多くのサーファーは、

グラブルズ系の波に乗ることがない」

と仮定してみると、

NAKISURFチューンのハイパフォーマンスボードの姿が見えた。

そのままCOLEに会いに行き、

「現在最高峰のショートボードを創ってください」

プロジェクトがスタートした。

まとめると、

最高峰のハイ・パフォーマンスボード、

けど、

パワフルに掘れ上がるノースショア系のフルパワー波には乗らない。

チューンのターゲットをスケート力と、

レスポンス重視側に振った「スペシャルモデル」としてみようと、

COLEがシェイプルームでタッチを展開し、

完全完成しましたとはここに書いた。

https://www.nakisurf.com/blog/naki/archives/48935

で、名前を付けようとして、

極端な電流、

「ライトニング(稲妻)をカットする」

という仮名が付いてプロジェクトは進んでいたが、

「カッターではなく、サーフボードは足を使うものだから、

キックするほうがいいな」

というCOLEの一声で

「ライトニング・キッカー(Lightning Kicker)」

というネーミングとなりました。

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そしてついにここに第一号機が届いた。

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あのルースキャノン、

そしてカーブボールからどのような進化を遂げたのか?

乗ってみると、

まずはテイクオフの容易さに驚かされた。

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アウトラインの配分が、

前後同等のネオ・ハイパフォーマンスボードに加えて、

カーブボール譲りのセミフラットデッキが、

見た目にはない浮力を実現している。

【追記】このセミフラットデッキは、

チューニングを経て、

スライトフラットデッキと変更になりました。

(カーブボールと、普通デッキに近いルースキャノンの中間です)

.

このサイズのショートボードでは、

トップクラスの滑らかさと滑り出しが具現化されていた。

スクリーンショット 2013-11-21 18.08.02

シェイプのときと、

コンセプトからの予感から鋭く、

かなりワイルドな乗り味となることを予想していたのだが、

想像以上、

というかあまりのコントロールのしやすさに驚かされた。

そしてその「フツーじゃない 」操作系に魅了されていった。

前足と後ろ足のコーディネーションはやけに正確で、

フィン部分を踏むと、

ゆらりと一瞬で間髪を入れずノーズが向きを変える。

踏圧で射角度をコントロールする愉楽。

自分のコンテスト時代を思い出す。

スクリーンショット(2013-11-18 15.40.28)

ルースキャンやHPSで培った鋭さと速さはそのままで、

高い旋回能力としなやかさ、

プロやトップリッパーたちが好むタッチが満載されている。

波のトップでひっかけてテイルを滑らせても、

荒れる挙動は一切なく、

じつに穏やかな高速感を感じられるだろう。

慣れればこのトップアクション全てを

“必殺技”としても使えそうなほど、

確実で容易な切り返しが具現されていた。

新時代のマニューバーは、

飛んだり廻ったり、

しかも縦回りだったりするのだが、

これもネイザン・フレッチャー・ブルース・アイアンズ、

そしてライアン・カールソンたちからの

フィードバックを得たコールのお家芸で、

波のどの位置でどの角度にボードを向けようと、

まるで生きているかのように波面を滑り、

ノーズは沈まずに進路を確保していく。

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力を抜いたトップターンでさえも、

その高い旋回能力を活かし、

惰性で登りつつ、

ちょっぴり踏み込んで、

低い打点からトップで一気に解放すれば、

トップターンがオフザリップになるという利点すらある。

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ノーウイング・ラウンドスクアッシュ・テイルは、

角度ある瞬時の切り返 し、

そしてラウンドハウスカットバックのように

加重に強弱をつけなくてはならないターンでさえも失速感が感じられない。

さらにルースキャノン譲りのワイドエントリーノーズのおかげで、

セットではないーー膝サイズのか弱い波もテイクオフさせてくれる。

そしてルースキャノンよりほんの少し広いテイルエリアは、

その揚力を使って浮力減、

つまりアクセルエリアを薄く削いだことによって、

ポケットでの高いコントロール性と、

前出した軽い反射レスポンスを実現している。

小波の際は最小サイズのトライフィン、またはクアッド。

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私が好きなツインスタビでも相性が良い。

最新のFCSIIプラグを装備したが、

旧型FCSのPROSフィンを装着する。

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(色違いのコール・ツインスタビライザーフィン)

なるほど、

ライトニングキッカーもレイルラインが短いから、

そのビビッドな踏み込みに対して、

大きなサイドフィンが最大に呼応するのだろう。

カーブボールから続く、

「ボトムを貫くように走る最大距離のシングルコンケイブ」

によって大幅に増強されたトルク。

先代ルースキャノンの持つ迫力と、

美しさそのままにトルク曲線をフラットに持ってきたのは、

将来やってくる新時代を夢想させてくれる。

テイルキックは、

(掘強波に乗らないということもあり)

カーブボールよりもリフトさせてあり、

これによって、さらに軽い抜けになっているとコールは言う。

どうしてこんなチューンができるのだろうか?

コールは故アンディ・アイアンズ、前出したブルース、

そしてアーチボルドたちが今も愛するシェイパーだということを思い出して納得した。

ボード細部全てにコール魂が宿り、

その魂を武器と燃料に俺たちは、

切り立った波壁に自分の持てる一瞬をぶつけていくのであります。

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美しいアウトラインの芸術『ライトニング・キッカー』。

全ての操作性をまとって、電流が走るように波を滑る歓び。

現代のハイパフォーマンスボードの最高峰。

鋭く波に乗りたい全ての人たちに。

 


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