シングルフィンに魅せられてずいぶん経った。
あの波も乗ったし、この波も乗った。
20年以上昔になるが、
自分にとってシングルフィンは、
基本ターンを取り戻すためのツールだった。
オフザリップもできるし、カットバックもできる。
スラッシュもできるしバレルも抜けられる。
ただ、クイックな動きができないので、
それだけが不満だった。
話は冒頭に戻って2014年夏、そして夏の終わり。
自分が変わったのが、
「シングルフィンの滑るライン取りは”ファインライン”」
と定義つけられるようになったこと。
クイックができなくてもエレガントなラインが取れる。
自分は高性能ボードばかり乗っていたので、
テイクオフした瞬間に際どいラディカルラインの指示がやってきて、
それを懸命にトレースする自分がいた。
それはそれでいい。
けれど、このファインラインをトレースすることは、
宇宙的な感覚で、
それは初めて波に乗った日に「こう滑りたい」
と夢見たラインそのものだと気づいた。
すると、
自分にとってのサーフィングの究極は、
シングルフィンで描けるものだと知り、
プレミアムショートボード、
つまりコールのDBSでそのファインラインをトレースしてみると、
大きな感動となり、
そのファインラインの中にラディカルなアクセントというスパイスを散りばめていくと、
『自分にとってのファインライン』が完成する気がしてきた。
でもそれが果てしない旅路なのか、
または次に波に乗ったときにそれが成就(じょうじゅ)するのかはわからないが、
ぐんぐんと理想に近づいているのを感じている。
これは波乗りを30年以上もしているが、
初の高鳴りで、すばらしいものだと感じているのです。
みなさんも「それぞれのファインラインをそれぞれのボードで描いてほしい」
そんなことを思った秋の入り口です。
上の写真はテイクオフしてフェイド、
つまりレフト側に少し振って、
その円弧を使ってボトムターンまでの距離と斜面を稼いでいるところ。
正しい位置でテイクオフし、
そしてターンするとボードはここまで浮くのです。
浮いているときは、
波乗りというより飛翔という感じになり、
その日のサーフィングがよりかけがえのないものとなります。
重いシングルフィンはキックアウト(プルアウト)までもが、
ファインラインの一部だとわかってきました。
今日も美しい波に乗りました。
始めた頃はこれだけの波サイズがあると、
難儀したものだが今ではそんなことはないのもうれしい。
これは体力ではなく、気持ちと経験なんだと思う。
美しい波はいつまでもやってきていた。
誰かに乗られる波、誰にも乗られない波。
サーファーは波に向けて夢を放ち、
波は全てを受け止め、そして蒸発させる。
波への想い。
波の哲学。
なんだかそんな本が書けそうだぞ、
とうぬぼれてしまうほどすてきな波の日でした。
台風の影響で大荒れのようですが、
みなさんお気をつけて、どうぞご無事でお過ごしください。
それでは今週もどうぞよろしくお願いします。
今日もNAKISURFにお越しくださってありがとうございました。
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