「明日は、ウナクネ聖地巡礼です」
うれしそうに杯を重ね、
ずいぶんと飲んだはずだけど、
夜明け朝にはきちんと起き、
ロスアンジェルス国際空港に大切な人を送り届けるミッションをこなして、
かつさんは約束の時間前にウナクネ聖地であるフォードアーズに登場された。
約束したジョエルも来ていた。
彼らの後ろがその聖堂フォードアーズ(四枚扉)。
やはりサーファー同士はサーフブレイクの前での待ち合わせがいい。
昨日はカツさんのことを
「黒船」だとここに書いたが、
「ここはUSAなので、
逆輸入の黒船になるのではありませんか?」
ということを友人から指摘された。
かつさんが日本からアメリカに何を輸出するかというと、
「サーフリベラル(自由)」であります。
しんからの自由な国に「リベラル」を持ってこられた。
やはりすごい人であります。
いつものようにシェアするボードを置きます。
もしここで、
このようなことを見かけたらいくらでもボードは試乗してかまいませんので、
私に声をかけていただけたらと思います。
この他にジョエルが3本持っていたので、5本ものボードが余る計算です。
なんとウナクネ党パリ支部のフランクもちょうど空港に到着して、
そのまま聖地巡礼にやってきました。
彼は夏と冬の年二回、
会社にはバカンスと称して、
必ずサンオノフレのフォードアーズにやってくるウナクネ修行僧なのです。
https://www.nakisurf.com/blog/naki/archives/56653
しかも気温20度。Tシャツと短パンでも寒くない日でした。
これもカツさんんの求心力なのだろうか。
「やはり聖地であえて”スタンプに乗る”というのがオシャレではないかと」
そう言いながら5’0″で軽くトリムやスイーピングを見せるカツ師範。
スタイルがすばらしい。
写真を撮っているときも駐車場から歓声が聞こえ、
それはまるでマディソン・スクエア・ガーデンでの
エルトン・ジョン公演かと思うほどでありました。
K師範の自由自在なサーフィングを目の当たりにしたジョエルも、
「今まで見た日本人の中で、最上級のリベラル派デス」
クリスマス休暇でエルサルバドルに行っている
キャッチサーフの大社長ジョージに報告書を提出するにいたった。
かつさんは、
ウナクネ界で最大解脱とされる逆真流をすでに会得されていて、
バックサイドとフロントサイドでこのヒールを決めた。
これこそが真理(法)に目覚めて「悟り」を得ることである。
「ぼくはね、この聖地で悟りを得たかったのですよ。
そうすれば解脱して、涅槃の境地に入れるのでないかと」
かの聖地で、スタンプによる徳を積み、
「一切衆生への救済に対する誓いを立てるポーズ」
を決められた。
ジョエルは7’0″オディシーで、
ウナクネケーネーという本格サーフ派。
けれでもパラレルスタンスがここで出るということは、
EPMのアレックス・ノスト総帥を
どこかで見てのインスピレーションだということもわかった。
(EPM=エクスペンシブ○○○ムービー)
レビューはこちらです↓
https://www.nakisurf.com/blog/naki/archives/59105
マンライジョエル。
KATSU如来が次の徳を積みに旅発たれた。
7’0″オディシー。
ミッチ・アブシャー風のセットアップからのトリム。
この逆真グライドは今まで見た中で、軽く最長距離を誇るものだった。
それはサンオノフレ岬の先から、オールドマンズ手前まで、
300mを瞑想されたまま滑っていかれた。
ジョエル唖然。
シャッターを切りながら光が見え、
かつさんこそが道元禅師(どうげんどうし)の再来だと、
私は胸の中をいっぱいにした。
大マンライというか、大成仏されてかつ禅師となったかつさん。
この笑顔が全てを物語っています。
「たとえ成仏したとしても、
さらなる成仏を求めて無限の修行を続けることこそが本質なんですよ。
大切なのはお釈迦さまにならい、
ただただひたすら波乗りにうちこむことが最高のことなんです」
深い言葉を残してベトナムフォー経由でデパクタス方面に去っていかれた。
ここまで深く、慈しみのあるサーファーとは知らなかったです。
これでかつさんがここ聖地をあれだけ欲していたことがわかりました。
自由という言葉は修験によって得た大事なことなんですね。
カツ禅師の乗られたボードは縁(えにし)があるので、
こうしてサーフには関係のない子どもたちが興味を持つという不思議。
□
禅師とお別れした後は、
ウナクネ党の影皇帝とされるタイラー・ウオーレン家に。
トラッカーに、
TCツインやTCクアッドが見えます。
NAKISURFストック用の
エッグ(ファンクションハル)が完成してご満悦のタイラー。
ハンドシェイプはあまり数が削れないので、
限定数だけの約束で製作してもらっています。
なので、
NAKISURF経由のタイラーボードは正真正銘彼のハンドシェイプです。
ロゴが入っているだけのブランドボードなんて意味がありませんよね。
先日渡したNAKISURFステッカーをビール用冷蔵庫に貼るタイラー。
タイラー本人用の5’10″シングルフィンの最終シェイプに立ち会ってきた。
自分用に短いシングルを作るのは数年ぶりだそうで、
それは楽しそうに削っていたのが印象的だった。
こうしてボード誕生の厳かなる場所にいると、
タイラーは本当にサーフボードが好きで、
しかもその角度や深さ、
滑らかさやふくよかさを表現できるアーティストだとわかる。
デッキ部には、
乗り込んだときに出現する凹み=フットステップをスタンスの周りに表現して、
円熟されたニューボードを誕生させようとしていた。
私も「フットステップはもちろん、
下手をするとボトムに付いた自分の肘による凹みでさえも
意味があると思って好きなんですよ」
そう伝えると、
彼も「Me too!」同意見であった。
ハンドシェイプはブランクスの歪みをそのままシェイプするもので、
そのおかげで左右非対称はもちろん、
いろいろなことがいびつだったりもするけど、
それらが織りなすボード宇宙というか、
世界観全てがすばらしい。
いまやみなさんが良く見る大手メーカーのボードは、
中国やベトナムという隠れ第三国産となっていますが、
それらフォルムは左右対称ですばらしいけど、
この宇宙観がないと思うのです。
言葉にはできないけど魂というか
「作り手の思い」そんなことです。
こうして神童シェイパーが夢を吹き込んだボードに乗れる時代で良かった。
10年後にはどうなっているやら。
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低気圧一過で西うねり、
そして晴れで暖かいようですね。
どうぞすばらしい週末をお過ごしください。
私はまた明日ここで。
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