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naki's blog

なぜいまシングルフィンなのか_なぜオルタナティヴサーフ(ウナクネ)なのか_明日のジ・マンライのために_(2520文字)

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6’11” single fin

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なぜ、

いまになってシングルフィンなのか?

2012年までは、

トライやクアッドのハイチューン・ボード全盛の時代が続いていた。

突如として出現したこのリバイバル風のブーム。

一見するとレトロ/懐古主義に見られがちなのだが、

じつは思想とスタイルをたっぷりと蓄えたムーブメントだ。

このことをメディアでは、

オルタナティヴサーフと名付け、

10数年前ほどから紹介し続けられている。

Surfer’s Journal

BLUE

Glide

等々に深い記事があるのでぜひチェックしてみてください。

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最近ではタイラー・ウオーレンやクリスチャン・ワックたちがその

「どんなボードでも乗ることができる」

旗頭(はたがしら)として名を馳せている。

じつは20年以上も前にトム・カレンがそのことを実践していたのだが、

彼の場合は孤高というか、

迎合する者が少なかったので、

ムーブメントにまで上昇しなかったのだと思える。

または良くある話だが、

流行になるにはきっと早すぎたのだろう。

ラカ法王も同じ理由で、

流行=マジョリティにはならないと断言できる。

DCIM101GOPROG0629997.

そして最近になって、

ウナクネ(後にドラグラと改名)総帥こと、

アレックス・ノストがその類い希なる想像力と、

高精度なサーフィングを統合してその勢力を拡げている。

タイラーたちの正統オルタナティヴ。サーフ派を凌ぐ勢いがあることは見逃せない。

彼のような想像力はやはりスタイルの源で、

その直感的な動きと、

インスピレーションあふれるウネクネラインは、

見るものを感動させる波乗りをするのが特徴である。

彼の波乗りからのインスピレーションは、

まるで流れ続ける大河の源流のようである。

https://www.nakisurf.com/blog/naki/archives/60881

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じつはいろいろあって、

いまはサーフボード工場に住んでいるが、

ほぼ毎日やってくるライアン・イングルと、

クリスチャン・ワックたちの会話が、

このことを説明するのに参考になった。

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「アレックス(ノスト)のサーフィングを見るたびに飛ばされちゃうよ」ライアン

「でもアレックスってさ、めっちゃくちゃ波乗りが上手なの知ってた?」クリスちゃん

「もちろんさ。ティーンの頃の波乗りを見たけど、

正統なラインのソリッドなターンで、

まるでケリースレーターのようだったからね」ライアン

「アレックスがWCTに出たらどうなるのかな?」クリスちゃん

「得点、

いやまったく高得点が出ないで敗退するのは間違いない」ライアン

「え、どうしてデスカ??」クリスちゃん

「ジャッジの基準にね、

『波へのアプローチの難易度の高さ

(Commitment and Degree of Difficulty)』とあって、

クリティカルな位置でターンしないと高得点が付かないんだよ」ライアン

「でも、その流れるようなラインがかっこいいから、

それがみんな好きなんじゃないの?変だよそんなの」クリスちゃん

「そうなんだけど、

今のコンテストサーフィングはそうなっているんだよ」ライアン

「ふーん、だからつまらないんだね」クリスちゃん

「そんなことはないよ。

正確なサーフィングというのは革新だとは思わないかい?」ライアン

「リップの際でガシッとターンするのも悪くはないけど、

最速のままリップをなめるようにウワラッ!っと切り返して、

さらに加速していくということに興奮シマス」クリスちゃん

「そんなのロースコアまっしぐらだよ」ライアン

「じゃ、新しいサーフィングの競技を作ればいいんだよ。

アレックスやぼくたちが満足できる得点基準にすればいいんだね」クリスちゃん

「そうだ。それがいい!」ライアン

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はてさて、

そんな競技はできるのだろうか?

私見だが、

サーフィングには得点はいらないと思う。

なぜなら私たちは他人に見せて満足するために波に乗っているわけではないから。

大事なのは自分が満足するために波に乗ること。

だからマンライ=満足ライディングという言葉を支持するし、

広義で波に乗ることを解釈できるのなら多くの人に至福をもたらすと思う。

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シングルフィンやフィッシュ、

ツインにボロに得体知れず、

ミニやミッドレングス、

奇天烈ボードといろいろありますが、

「自分で満足できるライディング」

つまりジ・マンライのために、

シン・サーフィンのために、

サーフボードのデザインはその重要な主張だと思う。

で、

冒頭に書いたシングルフィンのことだけど、

今みんなが好きなのは、

サーフィングの基本だからだと思います。

テイクオフしてターンをする。

シングルフィンは角度のついたターンよりも弧を描くターンが得意。

逆に言えばクラシック、

伝統的なターンができるのです。

その性質のボードに乗って、

ミニマルなラインを波の上に描く。

それはファインラインと名が付いていて、

そのマニューバーに私は魅せられているというか、

寝ても覚めても夢中になっている。

どのように優雅に乗るか。

力が入っているのは、

自分的にかっこ悪いぞ、と。

そしてツインだったり、

ミッドレングス、

ミニ、

はたまたワル、

良い板、

美しい板、

引きこもりボードや変わり板をどこかから持ち出しては、

それぞれのサーフ・ブレイク

(恥ずかしいのでポイントとは言わないように)に仲良く集います。

それは競争ではなく、

もちろん狂騒でもなく、

協奏という思想のもと、

シェアライドをしてお互いを称え合うすばらしき世界。

コンテストではないので、

前乗りとか後乗りとか、

ワンマンワンウエイブという苦行は強いられません。

みんなが集まったときも、

「私はこう乗ります」とブレることはない。

または「私はこう乗りたいです」とわかる。

個性的なラインをそれぞれのサーフボードによって主張できるのが、

オルタナティヴサーフボードの真骨頂。

『マンライ自由主義』の旗が朝陽にたなびいているのが

シルエットで見えるようだ。

だからこそ私は強く深くこの世界に魅せられているのです。

Happy Surfing!!

Alternative、

じゃなかったウナクネ(後のドラグラ)バンザイ!

法王のご加護を!