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naki's blog

勝手に陰陽師『摩訶天仇無須編、其の一』_超最高傑作フォードアーズ_(2808文字)

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夏のようなそれでいてまだ春のような。

風はない。

波は朝陽を受けて輝き、

その柔らかい斜面はいつまでも南に伸びたり、

または北に、もしくは両方向に拡がっては消えていた。

ペソズのスクールバスがあり、

それはブラッドフォードのものだった。

当人は眠り足りないのか、

昨日の酒なのかはわからぬが朝睡をしていた。

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元丹丘(李白が尊敬していた道士)

神仙を愛す

朝には頴川の清流を飲み

暮には嵩岑の紫煙に還る

三十六峰長く周旋す

長く周旋し

星虹を躡(ふ)む

身は飛龍に騎(の)って耳に風を生じ

河を橫ぎり海を跨いで天と通ず

我は知る 爾の游心窮り無きを

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この画を見て、

李白の詩の一片を思いだしていた。

このブラッドフォードたちは誰に信服しているのだろうか?

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さて、今日のテーマは勝手に『陰陽師』(夢枕獏著)なので、

安倍晴明と源博雅が、

このサンオノフレのフォードアーズに茣蓙(ゴザ)を敷いて座り、

各人の波乗りを眺めながら酒を口に運んでいることとしよう。

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一.

ひときわ白いカモメが南から音もなく飛んできて、

ブラッドフォードのバスの上にふわりととまった。

 

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「晴明よーー」

博雅が波の音の合間に声をひそめて言った。

「何だ」

晴明が沖にある視線を動かさずに答える。

「今、すごいものを見たぞ」

「何を見たのだ」

「鳥が編隊を組んで波に乗るように飛んでいたのだ。しかも楽を奏でるようにゆるやかに、

そして波の印象的な場所では韻を踏むように羽根を翻して、そのままずっとずっと舞っていた」

「ほう」

「おまえは見なかったのか」

「見たよ」

「見て、おまえ、何も感じなかったのか」

「何のことだ」

「だからだな、晴明よ。あの鳥の舞いを見て何も想わなかったのか」

「うむ」

「鳥がだな、ここにいるどの波乗人よりも上手に波に乗ったのだぞ」

「うむ」

「まあよい、おまえはいつもそうだが、あれを見て何も感じなかったというのはおれにはわからん」

「よいか、博雅」

「うむ」

「鳥が波の上を舞うというのは、ただそれだけのことよ」

「うむ」

「しかし、いったんそれをおまえが口にするのなら、そこに呪が生まれることになる」

「また呪か。もうよい」

「まあ、聴け、博雅」

「聴いている」

「おまえがあの鳥を見て、美しいと想ったり、心を動かされるのであれば、それはおまえの心の中に美という呪が生じたということなのだ」

「むむう」

「だからよ、博雅、仏の教えに言う空(くう)というのは、まさにこのことなのだよ」

「なんだって?」

「仏の教えによればだな、この世にあるもの全ては、その本然(ほんねん)に空なるものを持っているらしい」

「色即是空というあれか」

「そうだ。鳥が波に舞って、それを源博雅が見て、はじめて美というものが生じるのさ」

「晴明よ、おまえやはりややこしいぞ」

「ややこしくはない」

「素直にきれいだった、と想えばよいではないか。不思議と想うたなら、そのまま不思議と想うたらよいではないか」

「そうか、不思議か…..」

そうつぶやいて、晴明は、何か考えることでもあるように、唇を閉じた。

「おい、晴明、どうしたのだ」

黙ってしまった晴明に、博雅が声をかける。

しかし、晴明は答えない。

「おい…..」

と、もう一度博雅が声をかけようとしたその時、

「そうか」

と、晴明は声をあげた。

「何が、そうかなのだ」

「波さ」

「波?」

博雅にはわけがわからない。

「博雅、おまえのおかげだぞ」

「何がおれのおかげなのだ」

「おまえが鳥の話をしてくれたからさ」

「ーーー」

「自分で鳥は鳥であるだけと言っておきながら、

おれの方こそ、そのことに気づいていなかったのだよ」

博雅には何がなんだかわからないが、

「そうか」

とうなずけば、

「実は、昨日から気にかかることがあってな。どうしたものかと迷っていたが、ようやくどうすればよいかがわかったのだ」

「晴明よ、それは何のことだ」

「おいおいに説明するよ。その前にひとつ頼まれてくれぬか」

「何をだ?」

「キャピストラノビーチに、摩訶天仇無須(ジャスティン・アダムス)という法師がいる。そこまで行ってもらいたいのだ」

「それはかまわぬが、その摩訶天という法師のところへ、何をしにいけばいいのだ」

「法師と言っても、実は波乗人のひとりだよ。最近法師となったのだが、昔からそこに住んでいる。これからそこに行って、次のようなことを訪ねてくれ」

「何をだ?」

「王舎城結集はいつでしたかとな」

「それで」

「おそらく知らぬと言うだろうよ。しかし、それであきらめてはいけない。このBradfordという記名と音が入った盤を持っていって、断られたらその盤をに渡して、その場で聴いてもらってくれ」

「それでどうなる?」

「たぶん話してくれるだろう。そうしたらすぐにもどってきてくれ。それまでに、おれは支度をすませておく」

「支度?」

「一緒に出かける支度さ」

「これから、おまえが摩訶天仇無須から教えてもらう場所だよ」

「よくわからんぞ、晴明ーー」

「じきにわかるさ。それよりもな、博雅、言い忘れていたが、摩訶天殿には、おれの使いだと言わぬことだ」

「何故だ」

「言わぬでも、この盤を見せればそれでわかるだろうからだ。よいか、むこうに行ってもおれの名は出すなよ」

とにかく、

「わかった」

博雅はそううなずいて、出かけていったのであった。

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(続く)

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さて、そのペソズの連中がいて、

最近ではS級というほど波が良い日となった。

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このベーコン焼きはブラッドフォードのガールフレンド、

キャロラインによるもの。

彼女が合流した途端、

調理器具も食べものもアップグレードしたことに気づいた。

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朝は少し混んでいたが、

11時くらいになったらどんどん人は上がっていってしまい、

最後はブラッドフォードと、ジャスティンだけになった。

波は余りまくっていて、もったいないと思いながら見ていた。

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波情報は1−3フィート(膝から胸程度)と伝えているから空いているようで、

セットはフォードアーズが耐えられる最大のオーバーヘッドは軽くあり、

こんなターンができるフォードアーズはひさしぶりでありました。

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本日の7本。

ちなみに全てに乗って、

五目ではなく、7目サーフィングとなった。

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ブラッドフォードのカービング。

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photo by Todd

トッドさんがオールドマンズ側から写真を撮ってくれていた。

こんなにも良い波だったのですね。

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CANVAS、

”名がまだ決まっていないモデル”

の初乗り日はすばらしい時間となった。

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https://www.nakisurf.com/blog/naki/archives/61835

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クリスちゃんの弟カーソンが、

このボードをチェックしにきた。

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コンケイブがいいのだろうか、

それともテイル形状か、

それとも全体的な総和だろうか。

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美しい車がやってきたと思ったらロージーのもので、

これはシボレー社が1958年に発売したモデルだったという。

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それでは今日もすばらしい日となりますように!