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テリーマーティンのマジックボード_ペソズライブ@ダナポイント_勝手に陰陽師『摩訶天仇無須編、其の二、三』_(2575文字)

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Noah, Duck diving

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摩訶天仇無須(ジャスティン・アダムス)

この帽子とサングラスがとってもHipだと思う。

jastin_Insta

アートで彼を表現した朝。

ブレークが、

故テリー・マーティンが彼のためにシェイプしたフィッシュを持っていた。

10年前というので、ティーンのブレーク用である。

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5’0″ 19-1/4″ x 2-3/8″

さらにはタイラー・ウオーレンのスプレーアートも施してあって、

乗れそうだったので借りて乗ってみると、

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これはおそろしいほどにウナクネ風味満載だった。

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浮き方はソニックブーム(NATION)のようで、

泡になろうが、セクションが切り立とうがお構いなしに駆けていく。

ソニックブームについてはこちらを↓

https://www.nakisurf.com/brand/nation/sonic-boom/

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インサイドの失速エリアも生きもののように滑り、

絶妙なる逸品だった。

故人というのがドナルド・タカヤマと一緒で悲しい。

もう二度とカスタムオーダーはできないのですね。

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吉岡さんとシェアライドし、

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感動満載で上がってくると、

フォードアーズの連中に囲まれてこのボードについての感想を求められた。

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というのは、

このツインはブレークの生涯一番のマジックボードで、

だから10年経っても大事にしていて、

あまり人に貸すことはないのだとみんなは言う。

だから乗った感想を聞きたかったのだと知った。

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「20分だけ」というクイックセッションだったので、

昨日から積みっぱなしのボードの出番はなかったが、

マジックボードに乗って、震えるような気持ちになっている。

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今夜は近所でペソズライブがあるのだが、

しかも総帥のバンドにも参加したギタリストTarek Wegnerが参加するという。

yaan_Tarek Wegner

告知がインスタグラムでさっきあった。

9時からだから4時間前。

なんとか行ってみようと思っている。

私はもうペソズに夢中なのであります。

#thepesos

[今週始まった文学系の連載で、『勝手に陰陽師』です]

昨日読んでいない方はこちらのリンクからどうぞ。

https://www.nakisurf.com/blog/naki/archives/62656

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二.

しばらくして、博雅が戻ってきた。

「驚いたな、晴明よ、おまえの言っていた通りだったよ」

博雅は言った。

場所は、先ほどと同じフォードアーズの海岸であったが、晴明は茣蓙(ゴザ)を木陰に移していた。

「摩訶天仇無須(ジャスティン・アダムス)殿はお元気であったか?」

「元気も何も、あの楽曲を聴いた途端にあきらめたようだったぞ」

「それはそうだろう」

「それまでは、王舎城結集のことなど知らぬと言っていたのだが、すんなりと教えてくれた」

「場所は?」

「サンディエゴの美術研究所だ」

「そうか」

「なあ、晴明よ。あの音楽にはどんな意味があるのだ。摩訶天殿は、あなたはこの字を書いた人に会いましたか、と問うてきたぞ。おれがブラッドフォードはスクールバスの人とは知っている、でも見かけただけで話してはいないと言ったら、ほっとしたり、本当でしょうなと念を押してきたり、見ていて気の毒のようであったぞ」

「おぬしが鳥だからだよ、博雅ーー」

「おれが鳥?」

「そうさ。博雅はただ博雅としてそこにいるだけで、むこうが勝手に不安という呪にかかってしまったのさ。おまえがブラッドフォードに会っていないと正直に言えば言うほど、むこうは怯えたはずだ」」

「その通りだよ」

「それでよかったのさ」

「なあ、晴明、いったいあのサインにはどんな意味があるのだ?」

「ブラッドフォードだよ」

「ブラッドフォード?」

「ペソズの音を支える男さ」

「それがどうしたのだ」

「よいか、博雅、我々のような仕事をしている人間は、彼らに何が起きているのかが分かるのだ」

「何が、起きているのだ?」

「じきにわかる」

「そうか」

「それよりも、おまえ、摩訶天殿と、昔、何かあったのか」

「おれではない、総帥やケリー・スレーターたちとであったと言えばあった」

「総帥?」

「アレックス・ノストだよ」

「ああ、アレックスか。でもそれと摩訶天殿とどんな関係があるのだ」

「あとで教えるよ」

「それにだ、晴明、おまえ、おれをお使いに行かせておいて、自分はここでずっと波乗りを見ながら飲んでいたのか」

「うむ」

「おれは、おまえがいろいろと支度があるからというから行ったのだぞ。それをーー」

「まあ、待てよ。この使いは、おれであってはならぬのさ。だからおまえに行ってもらったのだ」

「どうして、おまえではいけない」

「おれの考え通りなら摩訶天は、ペソズのヤーン法師の師筋にあたるお方だからだよ。この晴明に訊かれたからと、あっさり集会場所を教えては、クールではないからな」

「なぜクールではないのだ。クールってかっこいいという意味だろ。おまえ摩訶天殿と、いさかいを起こしているのかーー」

「いさかいというほどのものではない」

「しかしあの盤とサインを見て、摩訶天殿はなぜすぐにあきらめたのだ?」

「まずはあの盤は10枚程度しか作られていないはずさ。それを博雅が持っていて、さらにはブラッドフォードのサインがあれば、この晴明が後ろにいのはわかるはずさ。それで結集する集会場所を教えようという気になったのだ。ヤーン法師にも説明が付くことが肝心なところなのだ」

「ううむ」

「とにかく王舎城結集所がわかったのだから、出かけようではないか」

「う、うむ」

博雅は、まだ何か言いたそうであったのだが、その言葉を呑み込んでうなずいた。

「ゆくか」

「うむ」

「ゆこう」

「ゆこう」

そういうことになった。

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三.

ふたりはサンディエゴに向けて、南にゆるゆると進んでゆく。

「さあ、晴明よ、何がどうなっているのか、おれに教えてくれ」

博雅は、晴明に問うた。

「さて、では何から話そうか」

すでに晴明は覚悟を決めている様子であった。

「そもそもの始めからだ」

「ならば、摩訶天仇無須法師や鰻捻(ウナクネ)総帥が子どもだった頃の話から始めるのがよかろう」

「何年前の話だ?鰻捻もわからん」

「12、3年前の話だ。鰻捻はおいおい話す」

「それで?」

「法師や総帥たちはティーンエイジャーで、13歳年上のケリー・スレーターに憧れてコンテストに出ていた…..」

晴明はすらすらと話しはじめた。

(四に続く)

 


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