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夜明けに見る夢_(732文字)

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こちらも真夏日になった。

思うのは、やはり日本の夏。

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今回の個展での滞在は鎌倉、都内、そして千葉は東浪見にいた。

千葉にいるときは、夜明け前にノースタイガー(北東浪見)を見に行く。

毎日のように雨だったが、晴れた日もあった。

この日も山岡さんが、波を見に行って戻ってきたところだった。

「おはようございます」

「おはよう〜」

「波、どうですか?」

「まあまあいいよ。ナンテー(南堤防=サウスジェッティのこと)がいいんじゃないかな」

「晴れそうですね。ナンテー楽しみです」

「暑くなりそうだね」

「自分もそちらでサーフしますね」

「りょうかい、じゃ!」

「では失礼します」

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山岡さんはサーフ歴が40年と長いが、

いまだにサーフィンへの情熱を燃やし続けていて、

こうして夜明け前、つまり午前4時少し前から波をチェックしている。

そのためには3時台には起きなくてはならないが、

それは簡単ではないことは知っている。

世の中古今東西、さまざまなローカルサーファーがいるが、

山岡さんは、おごらずいばらず、謙虚で丁寧で、安全で、

静かで優しいスタイルを30年以上も前から全うしている。

なので、

19歳だった私が彼の人となりをいまだに覚えているわけで、

目立たないがこれほどまでに偉大なサーファーが周りにいる。

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この日のサウスジェッティは、

そんな漢(おとこ)の夢を受けたかのような波がブレイクしていた。

「夢は見るもの」

「朝起きること」

そんな大切なふたつのことを知った朝であり、そして波乗りだった。

山岡さん、ありがとうございます。

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この日、内陸が大雨で、沿岸は晴れ。

そんな条件で出現したこの夕焼けは夏そのもので、

自分の夢をかかげるには申し分のないほどの空の高さだった。