こちらも真夏日になった。
思うのは、やはり日本の夏。
今回の個展での滞在は鎌倉、都内、そして千葉は東浪見にいた。
千葉にいるときは、夜明け前にノースタイガー(北東浪見)を見に行く。
毎日のように雨だったが、晴れた日もあった。
この日も山岡さんが、波を見に行って戻ってきたところだった。
「おはようございます」
「おはよう〜」
「波、どうですか?」
「まあまあいいよ。ナンテー(南堤防=サウスジェッティのこと)がいいんじゃないかな」
「晴れそうですね。ナンテー楽しみです」
「暑くなりそうだね」
「自分もそちらでサーフしますね」
「りょうかい、じゃ!」
「では失礼します」
山岡さんはサーフ歴が40年と長いが、
いまだにサーフィンへの情熱を燃やし続けていて、
こうして夜明け前、つまり午前4時少し前から波をチェックしている。
そのためには3時台には起きなくてはならないが、
それは簡単ではないことは知っている。
世の中古今東西、さまざまなローカルサーファーがいるが、
山岡さんは、おごらずいばらず、謙虚で丁寧で、安全で、
静かで優しいスタイルを30年以上も前から全うしている。
なので、
19歳だった私が彼の人となりをいまだに覚えているわけで、
目立たないがこれほどまでに偉大なサーファーが周りにいる。
この日のサウスジェッティは、
そんな漢(おとこ)の夢を受けたかのような波がブレイクしていた。
「夢は見るもの」
「朝起きること」
そんな大切なふたつのことを知った朝であり、そして波乗りだった。
山岡さん、ありがとうございます。
この日、内陸が大雨で、沿岸は晴れ。
そんな条件で出現したこの夕焼けは夏そのもので、
自分の夢をかかげるには申し分のないほどの空の高さだった。
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