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naki's blog

【テクニック編】ソフトな波での大きなラインの描きかた_他、出力の概念、詳細テク満載の弱波攻略法_(3340文字)

 

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先週の木曜日から届き続けていた南うねり。

毎日少しずつ大きくなっていたが、

昨日の午後から少しずつ小さくなってきた。

”遠く、タヒチ近海からやってきた”

というこのうねり群にさよならありがとう。

また来てね。

上下の作品二枚は、

サンオノフレのフォードアーズのインサイドを手前にして、

ピークはサンオノフレ・ポイント(岬)のリーフを示している。

手前の高いパームツリーがフォードアーズの終点で、

奧に複数あるパームツリーがポイントピークの正面にあるもの。

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このインサイドの泡ラインがフォードアーズのもので、

このリーフがいかにパーフェクトかがわかるだろう。

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これはフォードアーズの南隣、

つまり水平線に向かって左に位置する『オールドマンズ』。

フォードアーズの倍近く距離を走れるレフトとライトがその魅力。

ただ、昔からのファンも多く、

フォードアーズのようにリーフが入り組んではおらず、

ファーストセクションは同一方向にしかいけない。

なので、前乗りとかの概念が出現してしまう。

ただ、セカンド(ミドル)セクションからは泡からの再生波なので、

「安全が確認できるのなら左右どちらに何人乗ってもよろしい。

何人(なんびと)も楽しくやりましょう」

というすばらしいローカルルールが適用される。

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山側に浮いた美しい夕陽を撮っていたら

昨日ここに登場したブライアン・ミラー(@miller0916)が現れた。

彼の弾けるような笑顔が、

フォードアーズ沖でのすばらしいサーフセッションを物語っていた。

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「NAKI〜!」と下から声が聞こえてきた。

崖の下をのぞいてみると、

フォードアーズのシャワーのところにネイト・ヴァンダガストのトラックがあって、

そこにいたのはキャッチサーフのコーディ。

「こんな・暗がりでも・(私を)よく・見つけられたねー」

と叫んだが、あちらは波の音がうるさいようで、

何も聞こえないようであった。

先日書いた【テクニック編ー波の芯】ページの閲覧がすごく、

サーバーがパンクしそうなほど多くの方に見て、

そして読んでいただきました。

いまちょうど夏なので、テクニック編を連発します。

今日のお題は、

『緩く、ソフトな斜面で大きなラインを描く方法』です。

ラインというのは、マニューバーとも表記されますが、

“(任意的な)サーフボードの通った(または通る)軌跡”のことです。

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まずは前回のテクニック編

『テイクオフの際のアプローチ開始位置』

を参考にしていただき、

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同様に波の芯から深く、強く、

そして波壁にノーズからテイルまでを押しつけ、

全力でのパドリングを芯から開始します。

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深く強く。

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アゴから膝までボードにしっかりと接着させて、

体幹を固めて漕ぐ。

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そしてこの位置はちょうどライト(レギュラー)側へのセクションの開始場所。

溝というか波面に出現したラインで確認してください。

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そしてここが芯で、

フォードアーズのピークではレフト側へと分け合う場所。

この場所からパドリングしている人が波乗りマナーとルールでは優先となります。

(トラブルを避けるために:「優先」というだけで”絶対ではない”と知っておこう)

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テイクオフしたら波の実効セクションを見る。

ここでは自分が最も行きたい

(波斜面に張りついて滑走できる)斜めライン上に初心者が見えます。

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そこでテイクオフのラインを下まで延伸し、

ボトムターンするような感覚でボードをゆっくりと傾けはじめる。

自身のターン最大出力の20%くらいの感覚。

それほどまでに波面は柔らかく、そして自分も遅い。

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初心者を避ける瞬間はボードが飛んできたりと危険です。

なので、

ここではターン出力を60%程度まで上げて通りすぎた。

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で、元々行きたかった波斜面まで戻ることに成功する。

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減速もしているし、セクションが満潮で変化するので、

一度ボードをテイクオフラインにして、

自分の中では波への再入力を果たした。

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すばらしいセクションが拡がった。

だが、

ここでも垂涎(すいぜん)ラインの真上に初心者の女の子がいた。

本来なら大きなカービングで反対側のレイルを切り返すべきだが、

遠回りでのラウンドハウスカットバックを選択。

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彼女の上部から回り込む。

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通り過ぎて、彼女が乗ることができないボード角度を確認しよう。

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少し上に行き過ぎたようで、

実効波セクションより上部に出されてしまった。

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ラウンドハウスなので、

そこまで速度を必要としないので、

そのままレイルを喰わせて、ブレーキとレイル角度の両方を獲得する。

かなり減速することを予測しないと、

ワイプアウトの確率が高い静かで危険な場所である。

それほどまでに静止したような速度感がこの波の分け目にある。

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上の画像をよく見るとわかるのだが、

実際のセクションの外側、つまり別の波側まで出てしまっていた。

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上記したように弱く、ソフトな斜面なので、

そこまでボードを踏まないように30%くらいの出力で逆方向を目指す。

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レイルがきちんと入れば身体が開かないので、

しっかりとレイルが波面に噛んでいることを感じながら、

逆走していこう。

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泡のトップにボードを合わせて、

叩くように切り返そうと思ったが、

このトップはバックウオッシュによる

「まやかし」だとわかったので、

その妖術には乗らずに、

波中部にある実効セクションに戻すだけにとどめた。

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また波への再入場。

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やはりバックウオッシュなので、

一度静止し、30cmくらい落下した。

これも予測していないとワイプアウトの危険度高し。

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自分が滑ってきたセクションがやってくるのを知っているので、

そのまま40%程度の出力で、逆側の波トップに向かう。

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トップでさえも弱く、柔らかいので、

決して強く踏み付けたりしないように。

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トップの波ラインに自分のボードのストリンガーラインを合わせるだけで、

自然に波の下に落ちてくる。

不安定で急降下するので姿勢を低く。

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で、同様にまた自分の滑ってきた逆側にターンしていく。

手前の斜面で最大限にスピードを得ているので、

ここは70%程度の出力をかけた。

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そのまま泡が迫ってくるので、

泡に向かってボードを乗せてしまおう。

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パワーのある泡なら、

もっとぶつけるように乗せられるのだが、

深いエリア、そしてそこまでパンチがない泡なので、

ボードを軽く乗せるだけにとどめた。

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やはりこれも「まやかしの術系」の泡であった。

危ない危ない。

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斜面がほとんどないので、

自分が泡に押されて進み始めるまで姿勢を低くする。

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進み始めたら、

波の最後までまっすぐのラインを選びボードのスイートスポットだけに足を置いて、

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穏便に滑るのが最良。

ターン出力は5%程度。

ささやかすぎるほど弱く。

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いよいよショアブレイクが近づいてきた。

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ここは直径20cmくらいの玉石が敷き詰められた場所。

転ぶとそれなりに危険です。

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この波の角度がショアブレイクに向かっていたので、

安全策のためにライト側にターンを向けて角度を稼いだ。

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浅いのでボードをあまり深く沈めないように、

それでいて、泡の下には沈むようにとコントロールする。

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波裏に出て、

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マンライラインディング終了。

どんな定義で「大きなターン」と言うかはわかりましたか?

具体的には「ターンの数を少なく」ということです。

この私のライディングはファーストセクションでは、

右レイル一回のみ、

セカンドセクション(ラウンドハウス・カットバック)では左右一回ずつ。

サード(オフザトップ)左右一回ずつ。

フォース(バウンス)左右一回ずつ。

最終セクションでもほぼ同様で、

長時間レイルを傾けていることなのです。

逆に言うと短いターンだと、まやかしにも対応できませんし、

自身でもごまかせてしまうので、

長く大きなターンをこの夏は練習してみてください。

長く波に乗ることもお忘れなく。

パドリング強化にもなりますし、

ラインナップ(沖で待っている人たちの位置)の混雑緩和にもなるので、

とってもオススメです。

【最後のティップ】

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夏は混雑します。

こうして人のそばを通るときは、

体勢を低くし、

もしものときに手でボードをコントロールします。

これは普段から練習しておくことが大事なので、

自分がどこまで低い姿勢になれるかを確認してみてください。

それでは!

Enjoy summer days!!!