ドリームクラッシャー。
フィッシュというデザインにその『フィッシュ世界』があるとするのなら、
後発でありながら、
いや、最新型であるからこそのデザインで頂点になった「ドリームクラッシャー」。
Photo by Aubrey Lao
フィッシュデザインでは、
あまりにも有名なVeeボトムの切り返しの軽さはそのままに、
エントリーロッカーからフロントスタンスエリアまで貫くシングルコンケイブをブレンドさせたのは、
テクノロジー時代に俊傑なる才能を発揮するライアン・イングルの魂と工芸力がなせる技なのだろう。
シングルコンケイブとVeeを融合させ、
ここまで完璧に表現することはトップシェイパーでもむずかしいだろう。
それをコンピューターマシンカットと、卓越したシェイプ力で完全表現してくることがうれしい。
タイトなフィンセッティングが高速滑走を予感させる。
スポーティーなフィン・プレースメント。
センタープラグも標準装備なので、このようにツインはもちろんのこと、
バックフィンを小さくしたツインスタビライザーや、ナブスター型の極小センターフィン、
はたまた通常のトライフィン仕様を選べる。
いつものスリーサイズは5’7″ x 19-5/8″ x 2-3/8″
CL値は28.5。
はじめてこのフィッシュを見たときには、
“Stun”と表現するにふさわしい、
その電撃ショック(stun)でクラリとするほどだった。
フルノーズをさらに引き締めたノーズは海面から突き出ていると、
完全にハイパフォーマンス・ショートボードに見えるだろう。
かと思えば、
1970年代のマーク・リチャーズモデルを彷彿させるような本格的“フィッシュ”の感動もある。
繰り返すが、ドリーム・クラッシャーは、現代版フィッシュの最高峰である。
クラシック・フィッシュのように乗り味が重くなく、
取り回しよく、ターンは伸び、そして切れ込み激しく、
世界一を名乗っても良いほど、素直でそして柔らかい操作性。
これは元々、
ハイパフォーマンス・ショートボードのむずかしさと、
そのあまりにもピーキーな性能に辟易していたカーソン・ワックが、
「フィッシュの最新モデルを、さらには最高峰を創造しよう」とライアンに提案し、
ライアン・イングルが長い時間をかけて独自設計したモデル。
下記するネーミングの由来もいい。
「WSLやプロサーファーに憧れていたサーファーが(Dream)、
ペラペラのハイパフォーマンス・ショートボードのトライやクアッドで真剣に練習していたが、
このボードと出会ってしまったら最後、(Crush=壊す)
ジャッジが望む決まり技ではなく、自分が表現したいサーフィングの扉を開ける」
そういう思想でカーソンが命名した。
https://www.nakisurf.com/blog/naki/archives/65208
今日は南うねりが新しく入った日。
いつものようにブライアン・ミラーたちとパドルアウトし、
フォードアーズの弱いスロープを駆け上り、
逆側のレイルを立てて、
ラウンドハウス・カットバックをすると、
このスーパーフィッシュは、羽根のように軽くフックに戻り、
ホワイトウオーター・エッジに沿って舞うようにリエントリーしていった。
このメインコピーに”BEYOND THE PODIUM”とあるが、
この意味は「表彰台の先(向こう側)」ということ。
つまり「コンテストや競争の優位の先に行ってしまいましょう」
そういう意味でもボードコンセプトと一致していて、
やはり名作は、まとう言葉もこうして完璧となる。
Beyond the Podium
競争社会なので、こうして自身のサーフ表現を達観させるのはなかなかむずかしいが、
逆に達観するために波に乗っているのだ、と考えてみると、
そこまでむずかしい思想ではない。
ドリーム・クラッシャーの物語が始まった。
NAKISURF/NATION2016年最新モデル。
どうぞよろしくお願いします。
規格外だが、ツインオンリーの1号機はフィッシュ主義を唱えるカーソン・ワックに。
ただ、彼は数十本もボードを持っているので、
こうして「ツインだけでいいよ」と割り切れるのだが、
一般サーファーは、
やはり3か5フィンプラグを選択した方が汎用性が高いです。
ライアンが私に作ってくれた試乗用ボードは、
今月下旬に千葉NAKISURFに持っていく予定です。
Have a great day!
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