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サーファーは自分を研ぐ_Aloha O’e_(1468文字)

 

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こんにちは、ついに戻りました。

かなりの波の写真と、

そしてドノバンの作品があります。

今回はクライアントさんがある撮影なので、

少しのあいだはお見せできませんが、

その保持期間が過ぎましたらここに公開いたしますね。

波のことを考えていて、

次に波乗りのことを考えていた。

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野営、放浪。

50歳を越えてからこんな人生になった。

ホテルの部屋、

自分の家よりもどこか遠くの場所を求める。

これはないものねだりをしたいわけではなく、

もちろん雨に打たれたいわけでもなく、

ただ強い記憶を残したいと思い始めたのだ。

野営中、何回かナイフを研いだ。

このナイフでパパイヤや魚、

はてにはギター底に穴を開けるのに使用したのだが、

厚み、

特に先端の厚みが薄ければ薄いほど斬れ味が良くなるのだと実感した。

人も、

そしてサーファーは研げば研ぐほど斬れてくるようになると思える。

波に乗るときにも研ぐように乗る。

食事を作るときも同様。

歩き方、運転、食べ方、

そんな全てに対して研ぐようにしていけば佳い、

ということを知った。

波乗りに関しては、

波、つまり海と対峙するわけだから、

圧倒的なものに接する時間が波に乗る行為だろう。

辛抱するときもあれば、

挫折するときもある。

同じように歓喜や興奮というものがあるのだから、

やはり波に乗ることで自分を研いでいけばいい。

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これは冬号のBlue誌コラムに書いたことだが、

波乗道を究めた、

または極めようとしているはずのサーファーたち。

ただ、サーファーたちの多くは、

波情報を見て、評価の高いブレイクに行く。

そしてみんなが乗っている同じようなボードで波に乗る。

他のサーファーたちと同じ場所で波を待つ。

これらがその例えに準ずる、

極みを持とうとしないサーファーが増えた。

先の言葉でそれを語るとしたら、

「辛抱や挫折はせずに歓喜と興奮を手に入れたい」

そんなことだと思う。

または究めようとしている人は、

「辛抱と挫折を常に願っている」

こちらは修行、修練の世界である。

この人たちと、

歓喜と興奮だけの人たちには大きな隔たりがあり、

それこそが、

サーファー同士の境界線なのだろうか?

そんなことを止まない雨の中、ずっと考えていた。

写真もそう。

音楽でも仕事でも、

なんでも研ぐことをし続けていかないと、

先に進まないのだと思う。

たしかに研がないでも生きていけるし、

世の中にはディズニーランドとか、

観光ツアー、コース料理が大量に存在していて、

それに見合う金銭を支払えば、

歓喜と興奮は味わえると思う。

でも、その帰り道にあなたは、

「今日、一歩でも自分が前に進めたのか?」

または、

「進もうとしたのか?」

そう考え、

研げるほう、

研ぐ側に身を置いてみるだけで結果は大きく違ってくると思う。

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自分の周りにはドノバンやイチローさんたちがいて、

彼たちは、端から見ると羨まれる生活をしている。

けれど、それは彼らが「自分を研ぎ続けた結果」だったり、

または辛抱と挫折、そして修練の結果なのである。

さらにはあそこまでの努力をし続けてきた賜物だとは、信じられていない。

ましてや本人たちがその努力量を言うわけではないので、

通常は「天才」という言葉で片付けられがちだが、

これを読んでいる人に伝えたいのは、

もし望まれるのであれば、

誰もがいつでも、何にだって修練することは可能だということ。

そんなことを感じて、

いや、そのことを改めて知り、

背筋に力を入れ、伸ばしてみた。

「研ぎ続ける人でありたい」

「研ぎ続けよう」

そんなことを決意したカウアイ島であります。

Aloha O’e.