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naki's blog

伊豆に来て良かった_鯖一郎19年目の春_プレ・法王ストーリー_(2539文字)

Shimoda, Izu

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不思議大好き。

伊豆下田では、

誰も行かない、

誰も知らないサーフスポットを探していた。

そしてついに見つけた。

あいにく

——ご覧のようにうねりは小さかったが、

低気圧通過や前線からの風の吹き込みさえあれば。

十分にサーフできるポテンシャルがある。

それにしても首都圏からたった150kmの距離で、

ここまでも美しい海や、

景色、草花が見られるのは、

伊豆のすばらしさを物語っているようだ。

伊豆に来て良かった。

水仙 Daffodil

もう水仙も咲き、

さらには菜の花も、

河津桜も咲き始めている。

Minami Izu

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ああ、きれい。

すっかり春がやってきたようだ。

この美しい海では友人たちと、

しかもウナクネ式(後のドラグラ)の友人たちとのすばらしい時間もあった。

無人でこのピカピカの波を滑ること、

たっぷりと笑うこと、

そしてフィンレスならではの、

スリル満点のワイプアウトをすることに感動させられた。

ああ、サーファーで良かった。

Self Shaped Finless

“Saint” Karube/ Hair California

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カルちゃんによって、

ウナクネが聖式となった。

その理由は彼の品が良く、

格式が高いものとして、

広めた功績に対してそう言われているのだが、

その聖式マスターは現在、

古式の登竜門である『フィンレス』を修練していて、

この滑りの持つ楽しさに夢中になっている。

彼も伊豆にやってきました。

私がシェイプしたフィンレスにも乗って、

底抜けのこの笑顔。

True Unakune Yoichi(旧名 鯖一郎)

「ウナクネ式大好き」

そう思ってずっとやってきた。

シングルフィンのマニューバー、

ウナクネの考え方が好きなので、

自分ではすっかりウナクネ式だと思っていたのだが、

「ウナクネは自薦ではなく、他薦だぞ」

と瀧朗に言われてしまった。

タキローがサバちゃんをディスるには背景がある。

先週波があった。

サバちゃんは、

この大切な日の前の晩に飲み過ぎて起きられなくて、

私たちとの約束を反故(ほご)にしてしまったからだ。

サバちゃんこと鯖一郎は、

真から心優しき人である。

後に『ダライ・ラカの化身だ』と、

総帥アレックス・ノストや

一級タキビ師たちの五体投地による託宣や、

夢占いなどでウナクネ最上位クラスだと判明するのだが、

その象徴たる地位のことは、

この時点では誰も知らなかった。

なぜ私が知っているのかというと、

昨年6月10日に「正夢」を見たからだ。

とにかく、

その法位あふれる未来のことを知らない瀧朗がいて、

彼との約束を寝坊したおかげで、

「いい加減にやることをサバを読むというんだよ。

これからは鯖(サバ)イチローと呼ぶからね」

ということになった。

語呂が良かったのか、

響きが楽しいのか、

みんなにサバイチとか、

サバちゃんと呼ばれて、

ちょっぴり落ち込んでいた。

鰻になりたいのに鯖。

かなりの違いがある。

鯖には丸鱗(えんりん)があり、

鰻にはエンリンがない等々。

だが、

今日のライディングで、

真性ウナギクネクネの滑りを見せ、

さらには、

伊豆下田駅前のラーメン屋『一品香』での慈悲あふれる行動。

それは…、

私はエビワンタン麺を食べたかったのだが、

あいにくアレルギーでエビがNG。

で、

次点となった黒担々麺を注文すると、

瀧朗が私に追従して黒担々麺と決定する。

だが、

出てきたそのタンタンメンは、

あり余るほどまずく、

私とタキローは辟易としていた。

もちろん、

コショウやお酢を入れ、

水を入れたり、

ありとあらゆることをして完食を目指していた。

サバちゃんは、

本命の海老ワンタン麺を注文して、

見るからにおいしそうである。

しかもその主題の大きな海老ワンタン3つが、

到着時から変わらずにあったので、

これはジローくんと同じで好きなものを最後に食べる主義だとわかった。

すると、

そのワンタンを見た瀧朗が、

「それ、味見していい?」

そんなことになった。

けれど、

満面笑顔のサバちゃんは、

ワンタン麺の丼を瀧朗に差し出した。

するとなんと、

タキローは麺とかスープの味見ではなく、

いきなりワンタンを箸でつかみパクリと食べてしまった。

3つしか入っていない大切なひとつだった。

あわててサバちゃんを見ると、

彼は顔色を変えるどころか、

母が我が子にする愛情と慈しみの表情で、

そのワンタンが瀧朗に呑み込まれていくのを見届けていた。

「なんと優しいのだろう」

カルちゃんなどは、

その感情で落涙しそうになっていた。

その愛と優しさを持って、

満場一致でウナクネ真式への昇進が決まったのが昨日。

この下田のシークレットブレイクは、

ウナクネ伝達式の会場となった。

鰻捻(ウナクネ)昇進を伝えられた洋一くんは、

緊張した面持ちで

「謹んでお受け致します。

鰻捻の名に恥じぬよう精進致します。本日はありがとうございました」

という口上を述べた。

(次世代の大師候補であるジローくん。割と近影)

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鯖出身の鰻捻誕生は、

平成10年に鯖乃花(サバノハナ)が鰻捻に昇進して以来、

19年ぶりというニュースに湧き、

私たちは帰りに寄った伊東のやたら熱い温泉後、

ウィルキンソン ​タンサンで乾杯するのでありました。

Photo by Saint Karu Chan /Hair California

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私もフィンレスで、

ボードをウナギのようにくねらせた。

ウナギというのは謙遜語で、

じつは龍だと思って波に乗っている。

そして、

仲間の真性ウナクネ誕生を心より祝うのでありました。

サバちゃんは、

やんごときない(天下人)だと思っていたので、

なんだか余計にうれしい。

陽が暮れ始めて、

大島を背景に撮る伊豆の波。

これは白浜東のブレイク。

無人波を右側に見ながら、

海岸線を湘南に向けてひた走った日。

さっきも書いたが、

伊東の日帰り温泉300円が全身ヤケドするほど熱かったが、

とても元気になれた。

美しい海と波と草花、

そして食に湯を満喫して、

フレンドシップの絆は深まり、

そして忘れることのない日となりました。

ありがとう、伊豆。

ありがとうウナクネ有志。

ありがとうドラゴン・グライド。

ありがとうサーフィン!

Keep on Happy Surfing!!

Have a wonderful day!!