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naki's blog

【特大号】新浮力考_(3050文字)

Cole Da Creature 5’7″

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Catch Surf Odysea Plank 7′

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サーフボードに浮力表記が登場したのは、

コンピューターシェイプによる恩恵だろう。

だがだが、

だけどだけど、

この浮力にとらわれてしまっている人も多く見受けられる。

「とらわれる」と書いたが、

「囚われる」と書けば良かったのかもしれない。

この場合は浮力、

適正浮力の概念から逃れられない人のことを指してそう書いてみた。

「これで36CLになりますか?」

そんなことも聞かれる。

もちろん目安にはなるが、

36CLであるからといってマジックボードの切符というわけではない。

ご存じサーフボードは揚力を使って、波の上を滑っていくもの。

揚力はプレーニングとも表記され、

揚力を受ける、つまりサーフボードのボトム部分が広かったり、

または長かったりすると、揚力値が増していく。

なので、

「揚力のあるボードは、浮力が少なくてもテイクオフが早い」

というあれだ。

プロと一緒にサーフしたことがあれば、

テイクオフの際の浮き続けるようなプレーニングを目撃された方も多いだろう。

そしてコンケイブのありなし、

レイルフォルムの形状、

ロッカー、さらにはエントリーロッカーとあるが、

私たちサーファーはこのエントリーロッカー部分を胸で押しつけてパドリングし、

テイクオフの速度を得て、波斜面に入っていく。

この部分がフラットなのか、

Veeなのか、またはコンケイブ、ハル、ボンザーなのか。

シェイプの善し悪し、さらにはサーファーのパドリングの位置。

そんなさまざまな要素が総合されて、

テイクオフ性能になるのだと思う。

浮力があれば、浮くのでテイクオフはしやすい。

けれど、その浮力を揚力、そして流力とできなければ、

駄サーフボードと化してしまうのはおわかりだろう。

ちなみにどんなに浮力がなくても、

極端な話、厚み1mmのサーフボードでもサーフィングは可能だ。

なぜなら私たちはサーフボードなしでボディサーフィングができるから。

であればサーフボードがない状態、

つまり浮力0CLというゼロ値、

または浮力5CLというボードでももちろん波に乗れるわけだ。

そこに欺されて「浮力はできる限りない方がいい」

という風潮になっているのはなぜだろうか?

もしかすると、適正浮力にすがるサーファー(たち)は、

波乗りではなく、

「波斜面で鋭角な角度を付けてターンをする」

「あとはなるようになれ」

「どうせワイプアウトした方が沖に戻るのが楽だし」

という行為だけをしたいのかもしれない。

それならば浮力なんていうのは少なければ少ないほど良いわけで、

実際は全く浮力が足りていないのに

ーー1時間に1度だけ波に乗れる頻度でもーー

乗って、立ち上がってボードがグニーっと切れこむだけで、

「とても良いボードだ!」

と興奮されているのを何度も目撃している。

パドリングも沈むので、波に乗っての距離は一切欲しくはなく、

とにかくテイクオフして、斜面が現れたら突然ターンをして、

鋭利なるターンができたら、

そのままプルアウトしてしまっても最高のサーフィンだと、

そして極上のボードだと感じてしまう。

「おいおいNAKIよ、そんなのどうでもいいことだよ」

センパイたちにはそう言われると思うのだが、

実際私たちは道具を販売しているわけなので、

その道具を購入したサーファーたちに楽しく、

そして末永く波に乗ってもらいたい、という思いがある。

けれど世間の多くの風潮は、

「波待ちのとき、お腹から胸近くまで沈む浮力」

ということになっている。

それが適正浮力の一般。

NAKISURFでは、

適正浮力を独自のものにしていたのだけど、

ご質問の多くは前出したように

「自分は36CL」という概念があるので、

話は進まないし、ややこしくなるので見た目は一般的に戻してある。

ボードに戻ると、

今度はフィンの有り無し、または大小、フィン位置、

ダブルフォイル、シングルフォイル、ツイン、スタビライザー、

ナブスター、ボンザースタイル、ロングティップ。

これらの抵抗を組み合わせてマジックボードへとなっていく。

よく海で見かけるのは、

特A級のサーフボードにどう見てもマッチしないフィンが付いていること。

極端な例で言うと、

ランボルギーニのスポーツモデルに軽トラックのタイヤが装着されているような状態を見かける。

浮力は馬力とか推進力でないので、

上記したランボルギーニのように

「LP740-4」というサブネームを添えて動力パワーを表現するべきではない。

(LP=エンジン縦置きミドシップ+740ps+4=四輪駆動を意味している)

なので浮力はサブネームにはならないほど、概念には必要ないものかもしれない。

例えばトム・カレンが「38CLのサーフボードに乗りたい」と言うだろうか?

「ジョンジョンが33.5CLのボードが良い」と言うだろうか?

答えは「決して言わない」。

なぜならば、彼らはサーフボードのことも知り尽くしているから。

「持った感じ」

「こんな感じ」

とボードを脇に抱えて、

そのフィーリングを感じればサーフボードのだいたいはわかる。

デザインもそうだ。

「アウトラインがこうなったからこんな風に波に乗れる」

「テイル形状がこうだから、こんなように波に切れこむ」

そんなこともわかる。

そのために私たちアドバイザーが存在している。

わからなくてもよろしい。

まとめると、

波乗りを永年楽しむためにはやはり斜面だけの波乗りから脱出し、

泡波に乗るという概念も取り入れてはどうだろうか?

そのためには、サーフボードにより多くの浮力を必要とするし、

その浮力があれば、より完璧なテイクオフになるし、

ターンも速度に乗りやすいので本格的なものになる。

さらには長く波に乗ったときにしっかりとパドリングして沖に戻ることができる。

パドリングはサーフィングの基本です。

強ければ強いほど、そして早ければ早いほど良いものです。

しかし、こればかりは修練に時間がかかるもの。

長く、多く、強く漕ぎ続けることで得るものであります。

しかもあなたが長く波に乗り、

チャンネルを通って、

幾多の波を越えて戻ってくるあいだはラインナップは無人となるので、

最近問題となっている混雑緩和にも効果がある。

ただ、

「浮力があるとダックダイブ(ドルフィンスルー)ができません」

そんなこともよく聞く。

でも、この浮力はすぐに慣れるし、

実際潮目、流れ、そしてサーフブレイクを読めば、

カレント、チャンネルからパドルアウトするようになる。

ちなみにこれは世界でサーフするマナーの常識でもあります。

「波のセクションエリアを避けてパドルアウトする」

「または前の人を追跡しない(反対も同様)」

ということが身に付くので、

普段より10CL、

または15CL程度大きめのサーフボードに乗るのは、

良いことづくめに思えるのだけど。

そんなことを沖縄波を待つ間考えていた。

今日も沖縄糸満の名店YES SURFのヤスさん、ミワさん、阿波連(あはれん)さん、

そして山本さんたちと一緒に岬波系のリーフブレイクをサーフしました。

すばらしい波をありがとう。

そしてサメが多いブレイクだということも知りました。

というのはこのブレイクの沖がとっても深く、

そこを通ったうねりは浅瀬にパワフルに絞り出されてくる。

ダイヤモンドヘッドのライトハウスだったり、

バリのウルワツ、そしてノースハワイのセンターズのような波質でした。

それではまた明日ここで!

Have a great week!!