新品・中古サーフボード販売、カスタムオーダー、ウェットスーツ、サーフィン用品など。NAKISURFは、プロサーファー、フォトグラファー、サーフライターで知られるNAKIのコンセプトサーフショップです。

naki's blog

フィッシュ文学_(1232文字)

昨夜からずっと書いている。

ほぼ寝ていない。

いや、正確には少し寝たな。

連載コラムと、あちらからこちらから依頼されたものがあり、

それを脱稿するには、

累計11,000字、

原稿用紙27枚半という詰まった文字が目の前に待っている。

文字はこのブログでも例によって書いてもいて、

最近のものに『フィッシュ三部作』というのがあり、

それは以下のリンクにあるのだが、

 

 

Nation Classic Fish 5’4″

.

フィッシュの魅力は、

やはり最小回転半径の小ささだろう。

(最小回転半径とは、ターン時にボード軌跡の半径のこと)

なぜそんなに切れこむのか?

短身だから

曲線が多いから

フィン軸との関連

などがぱっと浮かぶが、

そんなことを考えなくても、

語ることができなくてもフィッシュボードに乗るのは楽しい。

千葉に部原という由緒正しいブレイクがあり、

そこで昔世界大会が開催されていたことでも知られている。

トム・カレン、コング、オッキー、トム・キャロル、

マーティン・ポッターなどウナクネカードの人物が、

おらが国の波に乗るのを見ることができた秋のイベントだった。

さてその部原。

メインピークは常に混雑しているが、

その200m程度北側に岩盤で形成された波質の、

圧縮系の上級者に好まれるブレイクがある。

 

この波で

「最小回転半径の切れ込み」というのがよく分かる連続写真を得た。

ここではキックアウト(プルアウト)だが、

スクエア

(体重がしっかりとサーフボードに乗った状態)に寝かせたボード。

フィン軸がしっかりとしたフィッシュボードはここまで抵抗を与えられる。

しかも長時間(数秒だけど)。

サーフボードという矢が波に引き放たれる瞬間。

その得た速度は、

この連続写真では波の裏側に向かってしまうけど、

波先や、

斜面の先に解き放つ愉楽というのを想像していただきたい。

この極限にも感じられる上昇Gと遠心力は、

我々の住む社会の複雑さやさまざまな図式、

決まりごとを霧散させるほとの爽快さがあり、

人の持つ「最大の愉楽のひとつ」というのは、

この一瞬に集約されているのでないかと錯覚を覚えるほどである。

体感しないでーー机上論でしかーー波に乗ることを語れないものは、

例の表面的な青い夢しか出てこないし、

AKBの歌詞のような薄っぺらい文字が連なるだけである。

海に行こう。

波に乗ろう。

最大のパワーをサーフボードに与えろ。

そしてまた最小の、

『いつまでも浮かぶ羽根のような浮遊感覚』

を手に入れよう。

夏至5日後の梅雨曇そらに心をこめて。