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【特大号】CT”HURLEY PRO at Trestles”_大原洋人君、カノアのサーフィンを解説_ジュリアン・ウイルソンのフィンレスビーター&キャッチサーフの修理動画_(3339文字)

今日はサンクレメンテで先日行われたWSL/CTイベントについて書いてみます。

CT第8戦”HURLEY PRO at Trestles

私は反コンテストを掲げていますので、

「こういうことを書くのか!」と、

読者のみなさんは驚かれるかもしれません。

常日頃から

「サーフィンは得点ではない」と公言しています。

けれど、私はサーフィンが大好きで、

狂が付くほどのサーフファンでもあり、

実際自分も日本のプロコンテストはもちろん、

アメリカでもASP/WQSに出ていました。

なので、サーフィンの動き、

構成、ターンの質等はわかります。

なので、ここでは勝敗ではなく、

現在のショートボードサーフィンのことをここに書いてみようという試みです。

どのくらい理解しているかは、

WSLジャパンのディレクターの近江さんに見ていただくこととして、

さらには映像部の井澤さんにもこのリンクを送ってみることにしますね。

いつかカラーズマガジンのヨゲさんと、

副音声でサーフィンを語りたいのであります。

井澤さん、クニくん、AbemaTV等がありますので、

(井澤さんはBSだったかな)お願いします。

今年のトレッスルズには、

かなり完璧な角度の南西ー南南西うねりが届いていた。

このうねりのソースは遠く

(南半球=ニュージーランド付近)からのうねりなので、

潮位にもよるが、セットとセットの合間が10分ほどあり、

これは選手としては、かなりのプレッシャーだったことでしょう。

©Photo Capture via WSL.

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大原洋人くんのターンのどれもがフレッシュで、

斬れ味鋭く、そしてオリジリティあふれてすばらしかった。

彼がラウンド3に進むと、

なんとなんとウナクネ新皇帝でもあり、

WSLチャンピオンのジョン・ジョン・フローレンスとの対戦となった。

まずは開始直後でのファーストウエイブの駆け引きがあった。

©Photo Capture via WSL

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ヒート開始直後はどちらにも優先権はない。

同ピークに乗る場合は、

自身のボードが、相手のボードよりも下に入れば優先、

そうでないと妨害となるそうで、

結局、この波は大原くんが引いてしまい、

ジョンジョンが乗っていった。

それによって、

大原くんは精神的に崩れてしまったように見えた。

ここが勝負の分かれ目だったのだろう。

決して大原くんのサーフィンが劣っていたというわけではない。

心が動揺してしまい、完璧に集中できなくなってしまったのだ。

ワイルドカードとCT選手の違いを垣間見た瞬間でした。

「ジョンジョンは知っていた。ヒロトが乗ってこないことを」

そんなことを文藝春秋社版ナンバー誌に書きたくなった。

©Photo Capture via WSL

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私と同等のサーフファンであるカラーズマガジンのヨゲさんは、

このヒートを目の前で見ていたのだが、

彼の目にはどう映ったのだろうか、どう思ったのだろうか?

そしてヒートは進み、ラウンド5。

カノアが勝ち上がっていた。

©Photo Capture via WSL

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カノアは体がさらに大きくなっていた。

各ヒートを見ていたが、

波の選択に対する自信と待波力もすばらしい。

ちゃんと心も体もトレーニングして、

食事制限、

目的のある真のサーフィンをしているのだろう。

そのカノアがラウンド5に進むと、

ジュリアン・ウイルソンとの対戦となった。

ジュリアンは、

今回調子が特に良く、

メディアの公開する評価はみるみると上がり、

この日にはA+となっていた。

その彼と対戦する重要かつ攻略が難しいヒート。

上記したようにパワー&トルクが増したカノア。

フィンレスのようにテイクオフの角度を微調整して波面に入り、

ボトムターンでトップの切り立ちを探るように待ち、

そこから操舵加重の絶妙なる入力で反力上昇させ、

レイルを押しつけたままトップに昇っていく。

波トップ手前で、

左肩側にバランス良く身をよじって、

パーフェクトタイミングでヒールレイルを完璧に使い、

ボトムターンと加重を同等にして、

リア・トラクションをかけたまま切り替えしていくすばらしいカービングを見せた。

CTサーファーは、

オリジナリティがあるマニューバーをしなくては、

翌年までCTに残ることはできない。

カノアも2年目となるので、

彼のオリジナルマニューバーデザインを企画実行し、

その構成が完全に遂行されていた。

そのままカービングのコンビネーションでインサイドセクションに入る。

このエリアからは波のフェイスが小さくなるので、

大きなカービングターンがしずらくなるが、

カノアは全くそんな不利を感じさせないほどの、

鋭い切れ味の回頭性(文字通りノーズが回ること)の高いターンを繰り返す。

鋭く、そして重くという、

CTジャッジのクライテリア(基準)を満たし、それ以上に期待に応えていた。

さらにフェイスに出現する多少のバンピー・スキッド

(風、または海底の起伏によるデコボコ)

も後足の絶妙なトラクションワークで位相を変えず、

そのままカノア独自の円弧周を描いていくターンを続ける。

これはカノアが判断して加、減重しているわけではなく、

彼のいままでの、おびただしいほどのサーフ時間によって、

全身が直感的に動いているのだろう。

全てのターンで右レイルから左レイルへと移るG変遷が極めて上質だった。

トップターンした後、ニュートラルステアというか、

フリーフォールしていく際も完全に加速していく。

キックアウトからのパドリング姿勢も完璧である。

コンテストでは、

このキックアウト(日本で言うところのプルアウト)は、

得点に関連がないとされているが、

私たちフリーサーファーは、サーファーの質をここで見る。

車の運転と同じく、しっかりとドライブして、

きちんと正確に駐車できるのが好ましいとされているのと同じ。

プルアウトができないサーファーは、

駐車もできないドライバーと同類項で見られていることを忘れてはならない。

こちらではサーファーの質はラインナップ上でしっかりと見られている。

パドリングの姿勢、トルク、ブレ(後述するロール)があるかないか、

テイクオフの位置、プルアウトの位置や姿勢等々、

そんなことが見られて、

波を待つヒエラルキーが決定されていくという重要なことだ。

そのパドリングもカノアはすばらしかった。

あの長い腕をフルに使って、外回りで海面に出し、

海中では深く、重く、そして下側に漕いでいるので、

最小限のストロークで最大の効果を発揮している。

これはカノアだけでなく、

CT選手全員に言えることだが、

パドリングの際のロール(レイルが左右に沈むこと)は皆無。

さてさて、波とのマッチングと、

その調子の良さから優勝候補となっていたジュリアンが、

カノアの波運と、

そのスクエアなパフォーマンスで混乱したようで、

ヒート後半から一発勝負となるエアリアルへと意識を移させてしまったほど、

カノアは完璧にヒートを運び、

そしてカービングのコンビネーションを繰り返していた。

本当にすばらしいサーフィングでした。

©Photo Capture via WSL

.

ちなみにこのイベントの優勝は、

このカノアをクオーターファイナルで下したフィリペ・トレードで、

その後、ケリー・スレーターのウエイブプール動画でも彼を見たが、

彼のサーフィングは、

新次元のレベルまで達しているようでありました。

前出したジュリアンは、

このコンテスト前は、

フィンレスビーターに乗って調整していた。(本当)

「これによって調子が良かったんだ。でもカノアには完敗だった。

次は良いサーフィンをしたいね」

ジュリアンはかく語りき。

HOUR OF POWER WITH JULIAN WILSON from Catch Surf® on Vimeo.

そのキャッチサーフの修理動画もアップしました。

千葉にいたときからレイルが剥がれてしまい、

2か月くらいベロンとしたレイルで乗っていたのですがついに直しました。

*注意

キャッチサーフにはボディボード用の接着剤は使わないでください。

内部コアが溶けてしまいます。

ゴリラグルーを水と合わせて使用しています。

これがキャッチサーフ本社のやり方です。

ではまた明日ここで!