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naki's blog

【naki’sコラム】vol.8 世界におけるサーフィンの正しいルールとマナー 2006年度版

翻訳 佐藤大地
改訂 船木三秀

 

(1) 正しいサーフスポットを自分のレベルと照らし合わせて発見すること。そうしたら潮、つまりカレントの強弱や方向、岩、隠れ岩棚等を流れ内に見つけ、長時間かけて状況判断してから海に入ること。自分のレベルに正直に、決して無理をしない。サーファーのレベルが高い、もしくは競争率の高いサーフブレイクが自分に合うか認識してから入る事。

その日のサーフスポットの選択は各自が責任を持って、快適にサーフィンができる波を選ばなくてはならない。波が掘れている、強い、ということは高い技術を必要とする。例えば稲村や名のあるリーフブレイク、または地形の決まった河口のような世界的ブレイクではほとんどのサーファーが熟練していて、競争率が高くても自分の技術を発揮できる。そのようなブレイクでは一般的にうまいサーファーがより多くの波に乗る。また高い緊張感がそれぞれのサーファーにはあり、そのポイントでのペースを保っている。

反対に、ソフトで、簡単に乗れる、きわどくない波、(例えば御宿、鵠沼、伊勢)は、通常多くの初心者あるいは中級者が集まる。またラインアップの雰囲気はリラックスした雰囲気が多い。

ブレイクの多くは、その日の波質、うねりの向き、人の混み方によって変わる。
もし自分のレベルに合わないラインアップに入る事によって、いらつかせてしまったり、他のサーファーを邪魔することを避けることが重要。もし上級者でなく、初期の段階、つまりビギナーがレベルが高いポイントでサーフィンする場合は、他のサーファーまでもを危険にさらす、という認識が必要。また向上心の強いサーファーが、闘争心を剥き出して波を追いかけていることは、他のサーファーに嫌な思いをさせる事を知る事。ブレイクの正しい選択は、多くの人を嫌な思いから遠ざけることができる。

(2) 前乗り、スネークインは絶対にしない。

もし、他のサーファーが奥のポジションから波に反応している、もしくは有効なポジションからパドルしている場合はその波に乗らない。
前乗りとスネークインの共通点はお互いのサーファーの楽しみを台無しにしてしまう事。どちらも波への貪欲から発生し、他のサーファーの妨害をしてしまうだろう。

a. 前乗りは次のように起こる。サーファーAはカールに接近している、波に乗るためパドル開始、波を捕らえるが、サーファーBがさらにショルダーから波を捕らえる。その後、サーファーAはライディングを妨害される。2人のサーファーは偶然、もしくは故意に衝突。どちらもその波を十分楽しんだとは言えない。結果として大事故につながるケースもある。

b. 前乗りは混み合ったラインアップでのいらつきによりさらに起こりやすくなる。前乗りを避けるには3つのLを実行すること。Look, Listen, Learn(見る、聞く、学習する)、乗る波へアプローチする際には誰も乗ってない、またはピークからパドルしてない事を確認してからパドルを始めること。ピークから乗ってくるサーファーの声やホイッスルに聞き耳を立てる。もし前乗りしてしまったら、そこからきちんと学ぶ。前乗りしてしまったら速やかにプルアウトする。「ごめんなさい」、または「すみませんでした」の一言を忘れずに言い、またそのサーファーが大丈夫だったどうか確認する。

c. スネークインはもっとも悪いマナー違反のひとつ。ガツガツした競争心の強いサーファー、または貪欲な波への欲求から起こりやすい。スネークインは次のようにして起こる。サーファーAはポジションで自分の順番を待ち、来た波に対してパドルを始める。サーファーB(スネークイン)はサーファーAが波に乗る事に集中するのを待ってから、素早くインサイド(この場合では奥)に行きテイクオフ、そしてこれは“自分の波”だと主張する。両方のサーファーが波に乗っていると、サーファーAが前乗りをしてしまったように悪く映るときがあるが、お互いだけではなく、最初から見ていた周りのサーファーにマナー違反はわかるだろう。
日本では悲しきかな、前乗りという言葉を悪用したこのスネークインが多いように思える。スネークインの事故は滅多に起きないので、前乗りとは区別できる。もし、サーファーAが競争心の強いサーファーだとしたら、悪い雰囲気や更には言い争いが起きるだろう。もしあなたがスネークインを今まで善しとし、繰り返しやっていたら今すぐに止めましょう。他のブレイクに移動し、ラインアップのリズムに自分を置く。もし他のサーファーにスネークインされ続けたら、そのポジションから移動する。またはもっと奥からパドルし波に乗る意思を明確にするといいでしょう。

(3) 初心者サーファーへ

時々、前乗りやスネークインのルールを破っているサーファーを見るかもしれないが、お互いがにっこり笑っていたら、それは明らかに波を分かち合う事を楽しんでいるので問題にすることはない。友人や知人と同じ波に意図的にテイクオフや、全く気付かず故意に前乗りしている場合は前乗りやスネークインは必ずしも常にルール違反、マナー違反だとは限らない。

(4) パドルアウトしている際、またはセクションの中にいる時、波に乗ってきているサーファーから避けるのはパドルアウトしているサーファーの責任。

a. これは「前乗りをしない」というルールと同じ考えで、一旦サーファーが波にテイクオフしたら、他のすべてのサーファーは波に乗ったサーファーの邪魔をしないようにするべきだろう。極めて危険なので、状況を判断し、時には波の進行方向とは逆に逃げることも必要だ。

b. まずはポイントブレイク。これは波の崩れている箇所より少し遠回りにパドルすることによりテイクオフポジション、サーフラインへ近づくことから回避できる。全てのサーファーがパドル中のサーファーを避ける技術があるとは限らない。従って常にブレイクから遠回りしてパドルアウトするようにする。他のサーファーのライディングを邪魔しないように確認してからパドルアウトする義務がある。

c. ビーチブレイク等で、スープに捕まっている状態から沖のラインアップへ戻る時、波に乗ってきているサーファーの進路を邪魔しない。自分のポジションを保ち、セットをやり過ごすまで無理に沖へ向かおうとしない。セットをやり過ごしたら、乗ってくるサーファーの邪魔にならないように遠回りし、できるだけ早くパドルアウト。浅いチューブセクションを遠回りせずに正面から出て行き、バレルを抜けてくるサーファーを邪魔してしまう事は最悪のマナー違反です。

d. 他のサーファーのテイクオフポジションの進路を邪魔しない。そのサーファーはテイクオフできるが、してしまうと大きな事故につながる。そしてテイクオフを実際にすると邪魔したサーファーは怪我をする可能性が高い。そんな状況にならないよう、横につまり乗ろうとしているサーファーの進行方向の逆に動くことが大切。もしサーファーがあなたの上にテイクオフしてきたら重大事故になる確率は非常に高い。

(5) 自分の順番が回ってくる事を学ぶ。

a. サーフィンをしに来ているのだからどのサーファーも波には乗りたいのだ。しかし私達一人ずつのための地球ではないのと同様に、いつでも波を他のサーファーと分かち合う事を意識する事。

b. 波を分かち合う事はほとんどのブレイクで見られる。そのポイントの自然な状態やそのポイントに入っているサーファーの態度、レベルなどによって大きく変わる。

c.リーフブレイクでのテイクオフポジションは一定の場所で決まっている。理想はそれぞれのサーファーが波に乗る順番を守る事だ。これは周りが仲間だけなら簡単な話だが、深いポジションにいるサーファーがどんどん波に乗っていってしまうので、 混んでいるポイントでは難しい。

d. マナーは次のような状況で変わることがある。波を読む事に長けているサーファーは余分に波に乗れる事が多い、また狙っている波に乗るチャンスが多い。もしセットを順番に待っている状態で、サーファーAはインサイド寄りにポジションをとっている場合は他のサーファーはサーファーAを小さめの波に乗せるべき。しかしサーファーAは奥で割れるセットに乗れる権利はない。順番を守っている状況ではよいポジションで順番を守って波に乗る事はそれぞれのサーファーの義務。

e. 2、3のセクションがあるポイントブレイクではそれぞれのセクションでグループが作られ、リーフブレイクの様に順番に波に乗り始める。もし奥のセクションからサーファーが波に乗ってきていて、その波を更に乗っていけそうな場合は他のサーファーは邪魔をしないようにするべきだ。もっともよくある最悪のマナー違反は、他のサーファーが乗ってきているのにその波にパドルをする事だ。サーファーAは奥から波に乗ってきている、そしてサーファーBはサーファーAがセクションをメイクできないと思い、その波へパドルを開始。サーファーAが近くに来たためサーファーBはパドルを止める。サーファーBのパドルのおかげでリップは崩れ始め、結果としてサーファーAの前で波が崩れてしまう。サーファーAはワイプアウトまたはスープに捕まる。波は誰にも乗られないまま崩れていく。サーファーBの迷惑パドルの結果だ。

f. ポイントブレイクやリーフブレイクではサーファーが奥過ぎるポジションや全く外れているポジションにいて、セクションを無駄にしてしまったり、行こうとして行かない事で他の待っていたサーファーが波に乗れず誰にも乗られない波にしてしまうことで、そのポイントでの雰囲気が壊されてしまう。これはいつでもそうだが、前乗りを引き起こしてしまい、奥のポジションのサーファーの失敗を予期してショルダーで待っているサーファーたちが波の取り合いを始めてしまう。

いつでも思うことだが、最初はショルダー側でテイクオフして行き、自信がついてからピーク波にアプローチしていくのが正しいように思える。

g. ビーチブレイクではブレイクするポイントが変わりやすいのでテイクオフポジションが散らばる為、たくさん波に乗れるだろう。従ってそれぞれのサーファーが決まった順序で波に乗れる。気にしておいてもらいたい事は、もし違うブレイクへ移動するなら、違う雰囲気、ルールが存在している事に気を配ることだ。そして他のサーファーと波を分かち合えるポジションへ移動する準備を速やかにし、学習し全員が楽しめるように気を配ること。

h. ビーチブレイク、リーフブレイクではピークでのマナーも必要。もしライトにもレフトにも行ける、良いポジションにもう一人のサーファーといたら、ピークをそのサーファーと分け合うべき。つまりライトへ乗ったらもう一人はレフトへ。それには乗る前に確認し合う事がキーポイント。両方のサーファーがお互い反対に行くなら良いが、もう一人のサーファーが前乗りを許していない限り確認した方がよい。お互い声を出して確認し合い、素早くどちらへ行くか決めると無駄な波が減り、結果多くの人が満足できる日になるだろうから。

i. 岬等のラインナップへ行く方法は、岩から飛び降り、ポイントの沖からパドルしていく等があり、すぐにテイクオフポジションへ行けるが、そのような場合はいきなりテイクオフポジションに行き順番をかき乱さない。先にいたサーファーが波に乗って、ラインアップがクリアになってからテイクオフポジションへ移動。または大回りしながら先にいるサーファーたちを気遣いながら、徐々にテイクオフポジションへ移動する事。fに通じる同様なことだろう。

j. 時々ラインアップに待つ人が多すぎて、波の数と人の数が合わない事がある。そんな場合は順番を守るという思いやりからかけ離れしまいがち。ラインアップは“乗ったもの勝ち”的な雰囲気になり、そこには秩序や規則はなくなってしまう。そんな場面では何がそこで起きているのかを判断し、自分をそこに合わせる事。もしできないなら、他のポイントへ移動した方が楽しく波に乗れることになるだろう。»PART2へ

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