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naki's blog

【naki’sコラム】vol.9 世界におけるサーフィンの正しいルールとマナー 2006年度版

翻訳 佐藤大地
改訂 船木三秀

 

(6) どんな時でもサーフィンレベル、道具、地位に関係なく、ラインアップ上の雰囲気を壊さない。

時間、日付、ブレイク、またはサーファーの態度でラインアップの“バイブ(雰囲気)”は大きく変わってしまう。その日の楽しさは“雰囲気”による影響が大きい。とりわけ、サーファーによる影響がほとんどだろう。普通に話している、それだけでラインアップの雰囲気は豹変することもある。一日のサイクルによって同じブレイクでも時間がずれるだけで様子が大きく変わる。朝一番、遅めの朝、昼時、または仕事後の夕方など、一日を通して状態が全く変わる事はサーファーならよくわかるはずだ。

ラインアップの“雰囲気”は時間帯だけでは予想しにくい。推測だけでいつも決めつけるのは良くない。例えば、ポイントブレイクやリーフブレイク等のテイクオフの位置が一定の場所では、サーファーは波を分かち合うように自然と流れや順番ができる。もしそのラインアップに一人、無意識にその流れを潰してしまうと、そんな理想的だった流れは豹変し、憎しみまでもが起きてしまったりもする。

従って海に入る前は、ラインアップの“雰囲気”を読み取ってから常に海に入る様に心がける。例えば、海から上がってきたサーファーに聞く。「混んでいるように見えますが雰囲気はどうでした?」、「いい波に乗れましたか?」などの簡単な質問でラインアップのインフォメーションを知る事ができ、事前にトラブルから避けられる。

波に貪欲なサーファーが多いラインアップでは叫んでいる声が聞こえるだろう。そんな時は一つの波に一人がパドルしている事はないだろう。きっと常に何人かのサーファーが波に乗ろうとしているのが映るはずだ。簡単で素速くそれを見極める方法はある。10分間そのブレイクを観察するといい。メローなラインアップではそれぞれのサーファーが邪魔する事なくパドルアウトして、また誰にも乗られない波があり、それはきっとあなたの波になるだろう。

どんな場合でも、パドルアウトする時はラインアップの“雰囲気”に合わせるのはあなたの責任。もしその雰囲気に合わせられそうもないなら、他のブレイクで自分にマッチしそうな場所を選ぶべき。

(7) トラブルに巻き込まれているサーファーを助ける。しかし自分も巻き込まれない様にする。2人のサーファーがトラブルに巻き込まれ、助けを求めるのは一人が求めるよりも深刻な事態を招く。

場所や時間によって事故が起こってもすぐに手当を受けられるとは限らない。また、助けを求めても助けられなければ最悪の事態を招く。

身体的な安全を最優先させる。

海の中では陸の様に医者の手当を待っていられる訳ではない。海は絶えず変化し、流れ動いている。従って、他のサーファーがトラブルに巻き込まれている事をすぐに見つけられるとは限らない。結果、他のサーファーがトラブルに巻き込まれていたら、すぐに何かしら助ける為に動く事が大事。ひとりのサーファーが助けに行ったら、他のサーファーを呼びチームワークで働こう。サーフボードや波の力を利用し、怪我を負っているサーファーをすぐに岸へ上げる。ただしチームワークが常に早いとは限らない。トラブルに巻き込まれているサーファーと同じ境遇に自分が巻き込まれない様にすることも念頭に入れる。

初心者は人のいる場所でサーフィンするべき。つまり絶対一人でサーフィンはしない。海でのトラブルはいつ起こるかわからないから。

(8) 旅行で訪れたサーフブレイクではローカルサーファーへのリスペクトを忘れない。彼らの権利や習慣が常に自分のルールが当てはまるとは限らない。

ローカルとはそのブレイクのそばに住んでいるからだけでなく、そこの為に様々な事をやってきて、長い歴史を見守って来た人達だ。波が最高の日から最低な日、人が混んでいる日から空いている日。うねりの大きかった日。プロサーファーが訪れセッションした日。あなたがすばらしい波でケリー・スレーター、トム・カレン、もしくはジェリー・ロペスさんになったつもりでサーフィンできるのは、全てはローカルサーファーがその海域を温かく見守ってくれたからこそである。ローカルから波を分けてもらえない原因はあなた自身による事が多い。

いつもサーフィンしている場所でのルールが旅先で当てはまるとは限らない。旅に出ると考えや習慣の違いがビジターとローカルの間にあり、それがトラブルの原因にもなりやすい。従って、トラベルサーファーに重要な事は、初めて入るポイントのエチケットやルールをよく観察し知ってから入る事。

a. 時間を取ること。何時間、何日運転したもしくは何時間飛行機に乗ってそこに着いた等は関係なく、基本的なルールは同じ。慌てずにラインアップを最低1時間は観察し、乗られていない波が何本あるか、どのエリアにサーファーがいて、どの波に乗っているか、誰が波に上手に乗るのか等を頭に入れておく。

b. 大人数で旅をしない。行き先のポイントに大人数で入る影響を考える。3人の楽しいブレイクに5人のサーファーが現れ、入っていった場合はラインアップの雰囲気はがらりと変わってしまう。もしそんな人数で新しいサーフブレイクに行くなら、海の中での人数に細心の注意を払う事。そして時間差をきちんと取る事。海に入っていたサーファーが一人上がってきたら、一人分のスペースが空く。そうしたら一人入る。もし何人かすでに入っていたら、その人数から25%以上人が増える事を避けなければならない。

c. ローカルのペースに合わせる。世界のほとんどのポイントで似通った基本的なルールがあるが、そこには何百ものローカライズされたエチケットが存在する。いくつかのポイントではドロップインですらオーケーとされている。そういったポイントではそういう行為を受け入れてサーフィンするかは自分次第だ。周りのサーファーにリズムを合わせ譲ってくれた波に乗る、もしくは波を譲る。そうしていくうちに、ラインアップの様々な雰囲気を良く観察し、ローカルの行動を読み自分の役割を全うする。

d. ローカルサーファーを馬鹿にしない。自分たちよりレベルが低いなど関係ない。そのブレイクを乗っ取る気持ちで入ると、ローカルは確実に優れたその場所の知識を生かし、あなたを困らせたり、ストレスを与えるような行動に出るだろう。もしそんな事をやり続けてしまうと、みんなの楽しみを台無しにしてしまう。ローカルサーファーがあなたの行動に満足し、セットを譲ってくれる様になるまで、謙虚になりローカルサーファーのペースに合わせよう。

e. ポイントをきれいに残して去る。ゴミだけの事でなく、いろいろな意味できれいに去る。そのポイントから去る時は良い印象を残していく。海の中でかっこ悪い事やマナーの悪い事をやってしまうと次にやってくるトラベルサーファーへローカルは不信感を持ってしまう。従って、サーフィンした後は、そのポイントを分かち合ってくれたローカルにありがとうの気持ちを忘れずに、誤ってドロップインしてしまったら忘れずに謝る。そうすればローカルは気持ちよく迎えてくれるだろう。シンプルなエチケットやマナーを守っていれば誰でも気持ちよくサーフィンできるのだ。

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