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【naki’sコラム】vol.24 【波乗愛】

どこで読んだかは忘れたけど、サーフボードについて(日本語で)詳しく書いてあったのを読んだ。
他には波乗りのこと、テイクオフの仕方など本当に詳しく書いてある。
ある程度まで読んだところで、「これは何か違う」と疑いを持ち始めてしまった。
何が違うのかは些細微妙で、それが何なのかは的確に捉えられなかった。

それから何ヶ月も経って、友人の一人がその「詳しい教本を読んで、その通りにしています」という内容のメイルがあった。
そこにその一節がコピーされていたので読み返してみると、何が違うのかがやっとわかった。

実に表面的なのだ。
テイクオフにしても頭を下げる上げると色々あるが、もっと書かねばならない詳しいことを何も書いていないのだ。

以前に波乗りを教えている際に、
「波のこぶを見つけてその下に入ると、速い究極のテイクオフができますよ」
と教えた。
「そのこぶは時には大きく時には小さく、たった5cm程度からの窪みですが、波の中に発生するのです。それを予想し、そこから漕ぎいれば簡単にボードを波の内側に滑り込ませることができます」
と。

ピーク(セクション内)に少しでも近づく、ピーク(波)からの距離。うねりの角度、そのセクションを見渡し距離を知り、次のセクションへの乗り継ぎ、流れの確認、立ち上がるまでのパドリングの回数、ボードの長さ、厚み、幅、自身の能力、海底の変化。
テイクオフは実にさまざまな要素の組み合わせであることは波乗りをされる方なら身を持って知っているだろう。

俺もこうしてサーフサイトを運営して、KNOW、またはHOWを伝えている立場である。だからあまり大きなことは言えないが、私も含めスタッフは【波乗愛】ということを理解してもらっている。

話は違うが、原監督が就任し、シーズン前に【ジャイアンツ愛】というスローガンを掲げたが、さんざんなシーズンを終えてみると、そのスローガンは「わがジャイアンツを負けても愛してください」ということだったのがよくわかった。嵐山先生もどこかにこのことを書いていたが、原監督は先見の明があったとはっきり知った。

同様に波乗愛を考えてみると、オンショア、オフショア、サイドショアに無風、小波、大波、中波、好きな波、嫌いな波、冷水、温水、行けない日のいい波だという携帯情報、到着前に知る2重丸の波情報、怪我した日、全開の日、朝陽、夕陽、眩しい昼下がり、旅、高速料金、一日3000円の駐車場、タオルを忘れた日、ガソリン代、サービスエリアの松屋朝食、コンビニ弁当、海上がりのビール、硬くて塗れないワックス、溶けてしまったワックス、持っていないワックス、滑るボード、重いボード、軽いボード、壊れたボード、フィンがあっていないボード、最先端のボード、最先端のフィン、助手席に載せたボード、屋根に積んだボード、一緒に寝たボード、約束の時間に来なかった友人、干潮、満潮、大潮、小潮、満月、新月、岬に玉石、河口にリーフ、雨に滲む岸風景、筋肉痛にサーフTシャツ、ステッカー、DVDにビデオ、TV番組、旧ボード、過浮力ボード、拾ったボード、新しいボード、プロのボード、借りたボード、ボードがないからボディサーフィング、新しい月刊サーフ雑誌、大昔のサーフ雑誌、SNSのサーフコミュニティ、好きな定食屋、先輩の語る昔は良かった的波、硬くなったウエット、新しい柔らかいウエット、臭くなったウエット、冷たく濡れて砂だらけのウエット、かじかんで脱げないウエット、暖かいシャワー、海上がりの温泉、リーシュが切れて泳いだ思い出、リーフで背中を切ったこと等々、波乗りにまつわる全てを含めての愛だということに気づいた。

ご存じのようにお日様が照る日ばかりではない。
朝が来て夜が来る、雨も降って雪も降るかもしれない。
そんな波乗りライフをまとめて愛しているのが私たちと信ずる。

だから変な表面的なうんちくは火曜日の燃えないゴミの中に捨て去り、新しき、清らかな気持ちで海に行こうではないか、と思った今日。

俺はここを愛のあるテクニックを伝え、真からのこころ豊かなサーファーが集う場所にしてみたい。

あふれるテクニックと、大波にも動じない経験、やさしい気持ちの調和が波乗り道から見つけられたら幸いである。

2006/11/16・了

 

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