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naki's blog

【naki’sコラム】vol.33 写真は語り、そしてその波まで連れていってくれる

波

写真は語ります。
語らないものもあるのだろうけど、想像力を持ったサーファーなら俺が何を言おうとしているのかがわかるはずです。

波

この2枚の作品は同じ場所で撮った波。
ほぼ同時間。
ただ撮っている位置が違って、上は下の写真より高い位置で撮ったものだ。
この長方形の世界を凝視していくと、様々なことがわかる。
浅いインサイドリーフ、沖のパーフェクトなリーフ。
上から撮っているので、丘が砂浜にあるのだろうか?
それとも山?
砂浜にあるとしたらそれは砂丘なのだろうか?
と見えない情報をたぐりよせてくる。
.
崩れている波の大きさ、その形状の美しさ、波斜面の硬さ、ブレイクの早さ、無人であること。そして後にも波の筋が規則正しく、たくさん見えるので、きっと遠くからやってきたうねり群であろうと推察する。
さらには斜めに入った光の角度から遅い朝か早い夕方のどちらかと断定し、俺が撮ったということは、ここはノースハワイ島のどこかだろう。
そんなことを考えながら見てください。
次に、あなたがもしこれに乗るためにはどこから沖に出るのだろうか?
波がこうしてブレイクしているのだから流れがこうあるのだろうか?
と目を凝らしてみる。
サーフボードはどれに乗ろうか?
と少し悩み、今度は自身の体力を振り返るわけだ。
「昨日飲み過ぎた」
とか、
「さっき食べ過ぎた」
「最近は体を動かしていないから」
となって、あげくの果てには、
「波乗りもずっとやっていないから」
という言い訳をしていたら、この波を前にしてあなたはボードを持ち、波打ち際まで行って、沖に漕ぎ出ることすらままならないだろう。
言い訳の羅列から、自分のふがいなさを知ることとなるのだろうか。
または、
「よし準備万端だ!」
「乗りたい乗ります!」
「いつでも来なさい」
と充実された人も多くいるだろう。
次にこの写真。

波

これも同じ場所、ほぼ同時間に撮られたもの。
これは波打ち際まで行き、目線の高さで撮ってみた。
すると、そこまでの気合いも太い根性も、下手をすれば体力もそこそこあれば乗れる気になってくる。
が、しかし写真は嘘をつく。
この小さく見える波は、上にある波とほぼ同サイズで、違うのは中セットなのか、小セットなのかということ。
ブレイクまで距離があるのと、インサイドリーフの盛り上がりで、波の大きさが全て見えないのでそう思ってしまうのだろう。
もし、これで沖に出て、いや出られたとして、セットが入ってきたのを目の当たりにしたあなたは、
「ゲデー!」
と言葉にならない声を出してしまうのかもしれない。
また気力充実した人ならば、すばらしい芸術品のような波斜面を見て、感嘆し、賞賛し、それに滑走していくことだろう。
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さて、今年の大波続きで気づいたことがあって、それは波が大きくなるとセクションが大きくなるということだ。
セクションとは波のパートのこと。
デパートで言うと売り場みたいなもので、
いい波とされるものは、この売り場が連続してやってくるのだ。
3セクション、つまり3つの売り場波を例えてみた。
「テイクオフして、バレル売り場を全速力で抜け、次は高速カービングさせていくボウル売り場、最後はひらひらするリップの売り場をサーフボードの性能と、日頃鍛えた自身の技術を持って右へ左へ、上へ下へと滑走し、岸に向かって継いでいく」
理解されたことを祈ります。(笑)
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話は少し逸れたが、セクションの話だった。
上の波で例えると、頭サイズでこんな波に乗ると、それは50mくらいの距離の波を乗れるのだろうか。
で、大きい波の日にセクションをダウンザライン、つまり斜面にレイルをかけたままずっと傾斜を踏みつけ、加速して長距離を抜けたらちょうどそんな50mという距離だったと思う。
小波だと、今まで一生懸命に献立を考え、迫り来るリップを見据えて、ターンの位置や、スタンスの位置、速度調節など全てやって50m。
大波だと、斜めにシュッターーーっと滑り続け50m。
同じ距離だが、やはり根本的にスケールが違うようだ。
それは1/6のアクションフィギュア、例えばG.I.ジョーを小波として、普段はそのサイズの人間とだけ接していたのだが、大波が来ると、本物の人間のサイズがやってきて、その巨大さ、スケールの大きさに驚く、という感じだろうか。
反対か?
とにもかくにも、そんな大きなセクションを滑走するのは爽快で、
「険しい波乗道を精進してきたかいがある」
と大きく叫びたいほど実感できる瞬間なのであります。
ただ、この波が波乗道のゴールというのではなく、
「こんな美しい波に滑る至福のため、日々体と精神を鍛え、『この日』を目指して、夢を見て人生を進んでいける」
と感じたのです。
自然が創り出した永遠で究極なる波。
これに滑ることは感動的であり、そしてそんな愉しみを持った俺たちの日々は毎日輝いているのであります。

 

(2010/1/24)

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