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【naki’sコラム】vol.52 極上ソフトサンド・リーフにたまげた魔術のような日

「かなり下がったであろうブイ情報」を頼りに、夜明け頃から長老フレちゃんとソフトサンド・リーフに向かった。
到着すると、パーフェクションが迎えてくれた。
無人、弱いオフショア、快晴。
「そんなバカな?!」
と疑ってしまうほど、どの波も大きく広がり、そして完璧なブレイクだった。

セットのサイズは俺の身長をふたつ半くらい。
大きくても小さくても完全なるブレイク。
「たまげた」
という言葉があるが、そんな渋い懐かしの単語がぴったりくるパーフェクション。
この波はサーファーの夢と想いを完全表現していた。

あまりにも波がいいので、俺はBD3を選び、フレちゃんは5′6″だったかな。
ふたりしてそんな短いボードで入る。
砂浜でリーシュをチェックしていると、最大のセットが2本入った。
その波がショアブレイクに来た時に一気に流れに乗って斜めにパドルアウト。
そのままパドル、パドル。
途中で中小波を3本ダックダイブし、大きいのが一本来た。
ボードを捨てようか迷ったが、真下のインパクトではなかったので、そのままダックダイブしようと決める。
ドッゴーーン!
口の中に水を入れ、なるべく深く刺さるように全開の逆真流ダックダイブでその下に潜る。
その後、波が当たった衝撃を感じた瞬間に泡に弾かれて、海中深く、斜め横に沈められた。
沈められたのは事実だが、「もし高速道路で4トントラックにはねられたら」といった衝撃だった。
もし体とボードが少しでも離れていたら、ボードははぎ取られていたことだろう。
海中で掴んだままのボードをノーズ側に持ちかえて海面に上がっていく。
シュワーっと泡と一緒に海面に上がると一面の泡世界に包まれた。
チリリーチチリチリー シャバシャワシャー
と泡が一斉に何億も弾けている。
でも、波が良いという嬉しさからか、全く水への恐怖を感じずにヨロコビ勇んで沖に向かう。
その後セットが入るが、それは喰らわずにラインナップにたどり着いた。
良く晴れて、すばらしき日。
やがてフレちゃんがやってきて、
「無事にジップスルー(ZIP THRU)しただろ、俺もお前と一緒にパドルアウトすれば良かった」
彼は俺より30秒程度遅いタイミングのパドルアウト開始だったので、あの後のセットを喰らってしまったという。
時間にして3分程度だが、あの波を朝から何発も喰らいたくない。

俺たちはずっといつまでもこれらの波に乗り続け、やがて潮が干きすぎて、波がワイドになった頃に陸に上がった。
飛び跳ねてしまうような感動が全身を満たしている。
こんな奇跡的な偶然に感謝し、昨日ここに来るのを休んで良かったなあ、とか波乗りしていて良かった等々、ありとあらゆる感謝をした日で、それを書くと宗教じみてくるのでここまでとする。
ビーチブレイクの偶然というか魔術が存在した日である。

(了、2008.11.15)

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