「“生活”は最上限を求め、”生存”は最低限を求める」
これは稀代のコラムニストと言われた天野祐吉さんの言葉です。
サーフトリップに持っていった一冊の本に書かれた一節に、
「ふーむ、なるほど」と考えさせられました。
普段の生活ではなかなか感じられないことですが、
トリップという環境の中では深く身にしみる言葉でした。
波を求め、自然のなかで生活するトリップでは、
“生存”という側に一歩踏み出すことになります。
日常生活では、
豊かな利便性のなかで不自由のない時間を過ごしています。
ぼくらの生活環境を「成長」という目線でみると、
今までは、いかに都市化するかが成長の見方だったと思います。
人工的な空間で囲いを作り、
その中は利便性を求めた人工物で埋め尽くされていく。
地面はコンクリートで覆われ、
ぬかるんだ大地とは無縁の環境が形成され、
純粋なカタチでの自然物は取り除かれる。
しかし人はどこかでこの歪みに気づき始めている気がします。
物を求めることが文化の成長であり、
物欲を満たす感情こそが高度成長期の証だったと思います。
それが徐々に「心」の時代になっているようです。
たとえば断捨離などは、
物を手離して心を軽くすることに着目し、
物欲から逃れる道を探し求める思想なのだと思います。
さらに人々は都会に出ていくより、
自然の多い田舎で暮らすことに注目し始めています。
サーフトリップという環境で、
ふと自分が身を置く日本の生活を省みると、
そのような変化を感じずにはいられません。
日本とはまるで文化の違う環境で、
つねに良い波を求め、
サーフボードを抱えて身軽に旅ができるか?
そういった行動力が必要な環境は、
まさに”生存”に近い感覚だと思います。
忙しい中でも週一回は海に向かい、
自然と触れ合うことで磨かれる何かがある。
波乗りを通して学ぶ自然観が、
ブレない思想を育む要素になっています。
その先にあるのは本当の意味での「豊かな生活」だと願いたいです。
波乗りから目指すべき未来の感覚を養っていきたいですね!!
(じゅん)
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