Tide Blog

2007年03月20日(火)

Bachelorette

「お正月にアイスランドに帰ったときに、山に登ったの。
自分自身の足で歩き、氷が溶けていく音を聞いたり、オーロラがひゅんひゅん流れるその下を厚い雲が覆っていて、子供の頃にいた場所のいろんな灯り(景色)が眺めの中にうつって見えて——、
その中にある真実が浮かび上がってきたの。
このHomogenicというタイトルは、もともと自分にあったものに還る、という意味が込められてるの」

「やっぱりわたしの血肉はあの地(アイスランド)で作られているものなのね。
とっても近代的で、情報やテクノロジーには目がないし、でも同時に自然に対して完全に謙虚だから。
あらゆる惑星が、銀河系全体が回り続けている中で、人間なんてちっぽけな二つの点くらいのものじゃない。
ロサンゼルスの大地震のときにちょうど居合わせたんだけど、ブッ!って、それで一発でしょ。
自然が望み通りに動いて、地球がぶるんぶるんって身を揺すったら、それでわたしたちはみんな死んでおしまいよ。
アイスランドではみんな気にしていないの。
どれだけわたしたちがテクノロジーだの科学だの手に入れても、自然はいつだって破壊し続けるんだから。
わたしはアイスランドのそういうバランスがとっても好きなのよ」

「人は誰でも自分の中に何もかもすべてを持っている。ただそれを眠らせているだけ」

アルバム【Homogenic】の中に込められた、ナチュラルだけが全てではない、自然と、人間と、文明と、時間や人生も、情報と、テクノロジーも、そんな全てを抱擁するようなおおらかさ。

その中で、自然と愛を体温のぬくもりでやさしく抱きしめる曲がラストトラックの【All Is Full Of Love】だとすれば、この曲【Bachelorette バチェラレット】は、文明と情報と時間とテクノロジーの混乱が込められた、ストリングスのなめらかな音色さえもうねる狂気に聴こえるような、全てを破壊してまた再生するきっかけをつくりだすハリケーンのような曲。

夏の波乗りの帰り道で、晴れた空に、インデペンデンス・デイの巨大円盤のような輪郭をしたどす黒い雨雲の塊が、西からずんずん迫ってくる圧倒的な光景を見たときに、車の中ではこのバチェラレットが爆音で鳴っていた。
助手席でその雲の塊を見ながら、波乗りの余韻とこの曲の狂気の中にどっぷりと浸っていた僕は、その景色と音の中で犯されたようでした。

【Homogenic】ではバチェラレットはM4でAll Is Full Of LoveはM10なんやけど、そのときに聴いていたのはベストアルバムの【Family Tree】で、Family TreeではM7バチェに繋がるのがAll Is Full Of Love(涙)。
そのつながりに「ずっこーン」としびれていたのでした。
ってこんな話、マニアックすぎますか?

作家が物語を動かしていく言葉を選びながら表現するように、歌詞、その言葉が乗るメロディの抑揚や使う楽器やフレーズ、それら一音一音全てにも想いが込められている。

メディアが取り上げるような、表面的でおぼろげなイメージだけではない、作品に込められた想いがいかに愛と自然によるものかということを・・・。


Bachelorette

i’m a fountain of blood (my love)
in the shape of a girl
you’re bird on the brim (my love)
hypnotized by the whirl

drink me – make me real (my love)
wet your beak in the stream
the game we’re playing is life (my love)
love is a two way dream

leave me now – return tonight
the tide will show you the way
forget my name go astray
killer whale trapped in a bay
(the ocean miles away)

i’m a path of cinders (my love)
burning under your feet
you’re the one who walks me (my love)
i’m your one way street

i’m a whisper in water (my love)
a secret for you to hear
you are the one who grows distant (my love)
when I beckon you near

leave me now – return tonight
the tide will show you the way
forget my name go astray
killer whale trapped in a bay
(the ocean miles away)

i’m a tree that grows hearts (my love)
one for each that you take
your the ground I feed on (my love)
we’re circle no one can break

life is a neclace of fears (my love)
your uncried tears on a string
our love will untie them – come here (my love)
loving me is the easiest thing

わたしは
娘のからだをまとった
血の泉
あなたは
めくるめく渦に射竦められた
水際の鳥

わたしを飲んでーー生々しく感じさせて
あなたのくちばしをこの流れに浸して
わたしたちの間のこのゲームの名前は人生
愛とは両方向に行き交う夢

今はわたしの元を去ってーー今夜、戻ってきて
潮の流れがあなたを導いてくれるわ
わたしの名を忘れたら、あなたはさまよってしまう
入江に追い込まれた人食い鮫のように

わたしは火山の灰が作る道
あなたの足下で燃えている
わたしを踏みしだいていくのはあなた
わたしはあなたの一方通行の道

わたしは水の中のささやき
あなただけが聞き取る秘密
あなたは遠くで成長しつつある
わたしが近くで呼ぶそのときまで

今はわたしの元を去ってーー今夜、戻ってきて
潮の流れがあなたを導いてくれるわ
わたしの名を忘れたら、あなたはさまよってしまう
入江に追い込まれた人食い鮫のように

わたしという樹はいくつもの心を育て
あなたたちがそれを一つ一つ、もぎ取っていく
あなたは侵略者の手
わたしはあなたが手折っていく枝

荒野のような海のこと

今日の一曲:Bachelorette / Bjork [Homogenic] 

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