バリサーフトリップ2004 PART3 ごめんね、さっちゃん
次の日(もう最終日!最終話じゃないよ)。
No Woman, No Cry.
最高に晴れた朝。
昨日あんなに理不尽な別れ方をしたにもかかわらず、さっちゃんは早朝からホテルに来てくれていた。
「ケサハタイドモアウシ、タブンイイネ!」
と、相変わらず素敵な笑顔で笑いかけてくる。
でも、断ってしまった…。
***
昨日、クラマスに着く前に、コシ~ムネのサヌールで風が変わるまでの約一時間海に入っていたとき、海に入っていくノリックとガタピシを眺めながら、さっちゃんはワロンの下で昼寝していた。
今思えば、クラマスで思いっきり楽しむために充電していたのかもしれないなあ。
もしくは約一時間で変わる風を読んでいたのかもしれない。
焼けた砂浜を飛び跳ねながら海から上がった二人を、指差して笑いながら掛けてくれた言葉は、
「カタナラシデキマシタカ?」
だった。
こんな言葉、言えるだろうか…。
深いです…。
***
でも、断ってしまった…。
でも、この時はそうすることしかできなかったんだ…。
この旅はあまりにもハプニングが重なり過ぎていた。
ガタピシは初バリでガタピシと化し、お杉はジンマシンが引かず、ノリックは10日前に日本で鎖骨を負傷してパドルすらキツい状態だった…。
コシムネのサヌールでも唸っていたほどだった。
唯一の元気印エイックは、いつも笑顔で明るくてポジティヴだった。そんなエイックはどんな気持ちで旅の時間を過ごしていたのだろうか…。
サヌールを出て、クラマスにたどり着くまでの間にも、車の中で二人をリラックスさようとしてか、楽しい話と笑顔を振りまき、サヌールの裏道では、民家の前の道路に広げて干してあるお米の上を、まるでパリダカで水溜りに突っ込むかのようにズサー!とブッチぎり「イイノネー」と笑い飛ばす。そのくせ国道では大型バスにも追い抜かれるほど安全運転。
そして相変わらず、トークは愛に溢れていた。
どうして、さっちゃんほどの大御所が僕らにこんなにやさしくしてくれるのか。
それは、ノリックの親しい友達のバリニーズ、キナのお兄さんがさっちゃんだったのだ。
さっちゃんもしきりと、「キナハカワイイ、カワイイ」と言っていた。
そう語る目は、やはり愛に溢れていた。
だからこそ僕たちにここまで親しく、親切に接してくれていたのに…。
それなのに。
何度思い返しても心苦しい。本当に気の毒なことをしてしまった。
さっちゃん、本当にごめんなさい。
でも、今回のこの状況では、これはしょうがなかったという思いも、どうしても拭えないのだった。
失った信頼はあまりに大きいぞ。
しかも第一印象は最悪に近いし。
けど待っててくださいよ、さっちゃん!
これはもう、次さっちゃんに会えた時に、一緒に海の中で楽しい時間を過ごすことでしかお詫びできないな、と思うのでした。
でもさっちゃんには忘れられてるやろうなあ…。逆にショボ過ぎて憶えられてるかも?
ええーい!今はもう想い出。
次を楽しむしかないのだ。
吹っ切れた僕たちは、朝食のバイキングをおもいっきり食べた。
無尽蔵に食べ続けるノリックはお杉に、「どんだけ食うねん!」と、ツッ込まれていた。
そしてなぜか負けじとガタピシもオカワリするのであった。
さっちゃんとクラマスのレギュラーに思いを馳せながら、4人でクタのヒザでパシャパシャと遊んだ。
お杉も海に入れるくらいに回復したし、エイックもやっと海に入ることができた、良かった。
今頃さっちゃんは一人クラマスでやっているのかなあ。
クラマスで一人、波に乗る。
あのライトの波に乗りたいなあ。
ヒザのクタにプカプカ浮かびながら、
「さっちゃん、また来るから待っとってな!」
と、心の中で誓いを立てた。
これは絶対に果たさなあかん誓いや。
しかしこの後、さっちゃんとの別れを引きずりながら始まった一日が、思いがけない新たな一人の男との不意な出会いによって、強烈な想い出を残すことになろうとは、まだ誰も知るはずがなかった…。
『PART4』へ続く。
今日の一曲 : Franziska (Piemonte) / The Taken












