新品・中古サーフボード販売、カスタムオーダー、ウェットスーツ、サーフィン用品など。NAKISURFは、プロサーファー、フォトグラファー、ルポライターで知られるNAKIこと、船木三秀のコンセプトサーフショップです。

the COLE SIMLER interview 2006 summer

100%ハンドシェイプ、100%クラフトマン。
世界のプロサーファーから名匠と崇められているコール。
タッチの差とも言える全体の微調整を手がかりにシェイパーとしての位相を改めて問い直し、彼がどのように創作のスタイルにたずさわっているかに船木が迫ったコール・シムラー・インタビュー(NAKISURF独占)

コール

船木:
コール、もっとボードの仕上がり状況がライダー(お客さま)たちにわかるようなことをしようよ。最初は6週間くらいでボードが仕上がっていたのに、最近遅いでしょ。遅れている理由は何?もしその理由がわかって、それをアナウンスできれば、お客さんも納得できると思うよ。

コールストック

COLE:
いやあ、今回のバッチ(ボード群)が遅いのは、NAKISURFからのオーダー数にEPSブランクスの在庫が無くなっちゃったんだよ。で、俺のはシェイプって特殊でしょ、それをプレカットするのに時間がかかったという訳。でブランクスが届いた頃には、オーダーカードこんなになっちゃった。(笑いながら人差し指と親指で7cmくらいの厚みを示した。もちろん冗談であるが、たまってしまったのは本当だろう)

コールオーダーカード

船木:
でもその理由がわかれば、オーダーの時にこれは8週間、これは9週とかってわかるでしょう。それを掲示板みたいなところで、「8月1日現在HPS8週間、ZEN11週、FF10週」とかできないのかなあ?

コール

COLE:
そうしたいんだけど、俺って一人でやっているでしょ。とにかくサーフボードシェイプに集中していたいんだ。そういうオペレーションもビジネスには大事なのがわかるんだけど、俺にはこっちもあっちもできないんだよ。誰かマネジャーがいればいいんだけど…。

コール

船木:
どうしてそうしてボードによって製造が早かったり、遅かったりしているの?

COLE:
大きな理由はさっき言ったブランクスの供給でしょ。後はプレシェイプマシン、つまりKKLという会社が俺のシェイプデザインのほとんどを持っているんだけど、あそこは2本づつしか削れない。だから同サイズのオーダーが来るまで待っていたら、そのままになっちゃって、これじゃいけないと、今度はもったいないけどシングルでカットをする頃には、オーダーカードをもらってから5週間経っちゃったりしているんだ。はっきり言って「申し訳ない」って思っているよ。全ては俺の管理が悪いんだけど、実はいいニュースがあって、向かいのティミー(・パターソン)で新しいシェイプマシン導入したでしょ、あそこでこれからシングルで切ってくれる、と言うからこれからは変わるはずだ、早くなるからさ。

コールサーフボード

シェイプマシン

船木:
了解。EPSついでにエポキシ樹脂について教えてください。

COLE:
樹脂が強いこと。どんな温度でも硬化する、軽い、色がきれいということかな。弱点は硬化に完全硬化まで2週間かかること。今まではみんなエポキシ樹脂の使い方がわからなかったからコスタメサのグレッグ・マンガルのところでしか巻けなかったんだ。あそこ納期がないんだ、だから誰も持っていきたくなくて、廃れちゃった。でもこのクラークショックでポリエスター専門でやっていたら閑古鳥でしょ、それでみんな始めたという感じかな。
俺はイナーシャというグラス工場を使っているけど、この辺りでは一番だよ。

コールサーフボード

船木:
それではエポキシ樹脂を使用するEPSブランクスについて教えてください

COLE:
現時点ではアメリカンブランクスとマーコだけ。他のはTVの箱に入っている発泡スチロールみたいで安っぽいから使いたくない。ブランクスはいいのを使わないと。アメリカンブランクスでもストリンガーにプラスティックを使い始めたけど、削った時にプラスチックの粉が肺に入るかと思うと使えないよ。やはり木製がいいよ。でもそれって森林保護にならないのか…。

船木:
カタログを見るとブラックレーベルってあるけど…?

コール ブラックレーベル

COLE:
ブラックレーベルは最高級品ということさ。
要はNAKISURFのプロスペックと同じく、ブランクスから特級品を使い、クロスもSクロス、ハニカムコアのグラスオンフィン、またはFCSでもFUTUREでも市場で一番いいものをバンドルするんだ。だから「ファイアーフライをブラックレーベルに」って言うだけで考えられる最高品質のサーフボードになる。
これがコールブランドのプロスペックさ。

コールプロスペックボード

船木:
なるほど、それではNAKISURFですごい人気になっているZENについて話そうよ。あれって中年という体力が劣ってきたサーファーをターゲットにした今までなぜかなかったデザインだよね。それについてはどう思う?

ZEN

COLE:
ZENのマーケティングターゲットは盲点だったよな。思いつきもしなかったよ。俺もそうだけど、多くのベテランサーファーはいまだに若い奴らと対等に勝負できる道具が必要だったんだ。考え出したのはイッセキだっけ?彼に言ってくれよ、俺のビジネスマネジャーになってくれってね。(笑)

NAKIサーフィン

船木:
そのZENのデザインについて解析しようよ。原型モデルって何?

コール HPS

COLE:
あれはHPSのテンプレットを使って、アウトラインをワイドにしたんだ。だからHPS系に属するんだ。でもそれだけでは生ぬるいからワイデストポイント(最大幅位置)をテイル寄りに下げるティアドロップというデザインにした。さらにより速いテイクオフ速度のためにロッカーを極限まで抑えた。ノーズだけは刺さらないように他のボードと同じだけフリップしているけど、残りは平らになるようにしたんだ。これからが大変。そのエントリーロッカーの入り口からシングルコンケイブを後ろ足までつけて、最後はVというテイルに流れるデザイン。そのシングル内側にストリンガーを挟んで2本さらに薄くドーム状のコンケイブをつけてレスポンスを高めていった。コンケイブを入れすぎると乗った感覚が硬くなるし、アウトラインをワイドにするとボードはルースになる、でもルース過ぎるとボードはよく曲がるけど走らない。こんな反発する要素があちこちにある。そこで俺はZENボードはまずルース気味にシェイプし、フィンの位置を硬くなるようにセッティングしたのさ。それがZENの秘密。簡単でしょ。
 
実は全てのサーフボードシェイプが終わると、自分のシェイプサインを書く前にフィンの位置を鉛筆で決めているんだ。でもそれらはひとつとして同じ場所はないんだ。コンケイブが深いな、と感じたらフィンの位置をルースに柔らかく、レイルの浮力が少しありすぎるな、って思ったらバックフィンを1/8インチ(0.158cm)程度前にしたり。そうやって各々調整している。だから他メーカーみたいにシャドウシェイパーを雇ってシェイプさせていたらこんな作業はやらせられないよね。ボードシェイプは1本1本が生き物で、それぞれの性格も人間みたく違うから最後にはこうして俺の魔法を吹きかけるんだ。それが出来たシェイプのみにコールサーフボードのラミネートを入れて製作する。

コールシェイプ中

コールシェイプ中

船木:
コールはレイルデザインに定評があるからそれだけに注目していたけど、そんな細かいことをやっていたんだね。

COLE:
そりゃそうさ。サーフボードってバランスだからレイルを攻めたらロッカー、コンケイブ、ボリューム、アウトラインと手を入れるところはものすごくある。これが簡単に見えて凄く大変なんだよ。それができるシェイパーのみが次のステップに上がれるんだ。しかも1本だけのサーフボードでなく、自分にやってきたオーダーのサーフボード全てに真剣に取り組んでいる。ボードデザインはクラフトの結晶なのさ。

コールZEN

船木:
ZENは35才以上限定だったけど、NAKISURFではこのコンセプトでさらに新しいZENタイプのボードを発表したいんだ。例えば「波乗りに開眼できない」、または「もう一歩のステップが見えなかった中級者」、「年齢制限をつけない」人たちに新しい世界を見せられるようなデザインってないかな?

COLE:
俺も昨日ZENをシェイプしながらそんなことを考えていたところ。不思議だよな。そうだな、ではZENより全体的のフォルムを薄くして、テイクオフは犠牲にしてもいいからターン特性を上げたモデルを作ろうよ。The Vertical Masterを簡単だよ。うまくできるさ。

コールサーフボード

船木:
それいいね。名前つけていい?『ZEN PRO – The Vertical Master -』ってどうかなぁ?

COLE:
かっこいい、響きもいいし俺も好きだ。『ZEN PRO – The Vertical Master -』決定。(メモ用紙に特徴を書き始めた。ラウンドスクアッシュ、スワロウテイルをメインに考えているらしい)

コール メモ

船木:
じゃあNAKISURFはすごいことになるよ、コールだけの独占デザインにZEN、ZEN2、ZEN-PRO、retroというラインアップだ。

コール

COLE:
いやあお前の情熱の結果さ。(笑)
そうだ、俺もうひとつアイディアがあるんだ。
ボンザー2007復刻版。名付けて『ネオ・ボンザー!』ものすごく走るボードになるよ。リーフとかで最高だからNAKIがまず乗ってみたら。

コールサーフボード

船木:
!信じられない。俺の友人でキンチャンズのキンちゃんという人がいるんだけど、彼がボンザーのリクエストをブログでされたばっかりだよ。さてはふたりの談合か根回しじゃないの?(笑)

COLE:
ボンザー作ろう作ろう。何がいい?フィンは?(と言ってまたメモに書き始めた)3フィンと4フィンの2バージョンにしよう。ここにチャンネルみたいなドームが入るんだ。速いんだぜ。乗ったことないの?俺ボンザー大好き。3フィンにしてみたらスケルトンフィッシュとかと比較できるでしょ。それがいい。(と言いながらオーダーカードに記入していく)

コールスケッチ

コール

船木:
ありがとうコール。最後に納期をもっともっと速くしたいんだけど、プレシェイプをオーダーしておくというのはどうかな?

COLE:
どういうこと?オーダーが入っていないのにプレシェイプをなぜ作るの?

コールサーフボード

船木:
要はスケルトンフィッシュだったら2インチ刻みでNAKISURFがプレシェイプを持っておくんだ。
それでお客さまからオーダーが入ったら、ここから多少はサイズを変えられるでしょ?

COLE:
変えられるよ。長さで1/2インチ、幅1/8インチ、厚み1/8インチを前後させることは可能だ。そしてボリューム、テイル形状、レイルに、さっき言ったフィン位置も変えられるな。そうか、わかったぞ。ある程度の調整が可能だから一歩進んだストックボードなんだな。オーダーが来てからブランクスを探さなくてもいいし、そうだな、これなら注文を受けてから4週間あれば完成するよ。

サーフィン

船木:
いいアイディアでしょ?で、プレシェイプはどういうカテゴライズにすればいいの?

COLE:
ファイアーフライ、スケルトンフィッシュ、フライトデッキはAシェイプだ。HPS、ダイアモンドバックがB、ZENシリーズはそれのみのC、ピストルはD、ブレットフィッシュ、バットフィッシュはEとしよう。

船木:
プレシェイプ最高!今タロー(柳瀬)とオーダーを決めたんだけど、どうかな?最初だから3種類に絞ってみた。

A.ファイアーフライ、スケルトンフィッシュ、フライトデッキ用
5’8" 19 1/8" 2 3/8"
5’10" 19 1/4" 2 7/16"
6’0" 19 1/4" 2 1/2"
6’2" 19 3/8" 2 9/16"

B.HPS、ダイアモンドバック用
6’0" 18 3/8" 2 1/4"
6’1" 18 1/2" 2 3/8"

C.ZEN用
5’11" 19 1/4" 2 1/4"
6’0" 19 1/2" 2 3/8"
6’1" 19 1/2" 2 1/2"
6’2" 19 3/4" 2 5/8"

COLE:
すごいな、NAKISURFはまた進化したな!
よし波乗りに行こうぜ、リビエラは?

 

(了、サンクレメンテ、アントワンズ於、8/3/06)

コールシェイプ中

 

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