| ロスト・クロニクル 知られていそうで、知られていないロストの歴史のお勉強をしましょう。 1985年、マット・バイオロス(メイヘム)が学校の仲間と落ちこぼれを意味するチームを作りました。そのまま自作のTシャツ、ステッカーであったり活動は続いていきました。 1994年、オレンジ群に「楽しく過激に!」というコンセプトでロストエンタープライズを設立。創始者(オーナー)は前出のメイヘムとフロリダからの奇才マイク・レオラ(マック)。 最初のオフィスは、サンクレメンテ産業街のロス・マリノスの裏通りのメイヘムとマックの自宅。ここに雑用係の浮浪者ランドルが加わって「ロストハウス」となり、波乗りとパーティに明け暮れた。(現在のロストハウスはサンクレメンテの丘の上にあり、世界中のチームライダー達を収容する施設となっている。実際には金銭面に乏しいアーチストやサーファーのたまり場となっているわけだが、ここから新しいムーブメントが生まれていることは否定できない) 彼らにはもちろん夢があって、メイヘムは世界の一流シェイパーとなり生活を安定させ、毎日波乗りをしていたい。マックはこの会社によってアメリカンドリームを掴みたい。ランドルはぐうたらに毎日寝て暮らしたい、といったものだった。 翌年には懲りずに『ホワッツ・ゴーイン・オン(What's really goin' on!)』をリリースし、それが大当たり。当時無名だったサブライムの音に乗せ『ホワッツ・ゴーイン・ロング(What's really goin' wrong!)』というこの時代にはありえなかったバラエティタイプのサーフビデオを連発し発表する。 スターリング(出演)に自社のライダーはもちろん、缶詰を歯で開けるサーファーや、自称世界チャンピオンのギリガン、しゃべりっぱなしのヴィンス(日本版では編集によってカットされている)、シリアス側には伝説カリスマサーファーのマット・アーチボルドを起用するなどして、バランスのいいサーフムービーに仕立てた。サウンドトラックには当時まだ世に出ていないさっきも出てきた『サブライム』や『エバークリアー』を使用するというセンスも光らせ、ニューエイジサーファーのバイブルとなった。なんといっても圧巻は、ロストのマスコットのランドル先生によるめちゃくちゃぶりで、髪の毛を燃やされたり、スケートボードのハーフパイプで大転倒したりと大爆笑。これがバランスよく編集されてサーフムービーとしては大ヒット。 このランドルを使ったコミカルなマーケティングが行われ、その一環としてメイヘムの写真と故意にすげ替えたりしたため、ロストのシェイパーはランドルだと信じているサーファーも多かった。実際のランドルは、調子の良い便利屋浮浪者にすぎないのだが....。 サーフボードに目を移すと、メイヘムがコリーとの発案によって1970年代フィッシュと、現在の軽いウレタンフォームとの複合させた『ラウンドノーズフィッシュ』なるツインフィンを開発。同時にこのボードを主題としたビデオ『5'5''x19-1/4''』の制作が開始された。メインライダーのコリーがこの年のASP/WCTにクオリファイした。 ロストのボードは、その表面に描かれたペイントワークも有名だが、天才ドリュー・ブロフィーもここで頭角を現したアーチストだろう。ドリューは複雑なペイントペンによるアートワークをほとんど下書きなしで描き、メジャーへの階段を登り始めた。 メイヘムボードの特徴は、そのコンケイブにある。複雑な流れのコントゥアー(起伏)をクリエイトすることによって、バランス性能、スピード能力をマキシマムまで持っていき、それによって波の上での様々なアクションを可能にしていく。以前コリーが「メイヘムの板は世界一速いぜ」と語ったのは誇張ではない。マジックボードの制作本数の多さも彼のシェイプの魅力でもある。このマジックボードをスキャンした「プラグ(型)」を多数持ち、それを使用することによりマジックボードを増産させている。彼を信頼するサーファーもスポンサーを問わず世界中から注文が殺到し、早朝から深夜までシェイプルームに閉じこもりっぱなしでデザインを追求している。事実サーフィング専門誌を広げれば、誰かが彼のシェイプしたボードに乗っているのが掲載されている。 ムービービデオでのマーケティングは成功を収め、前出の『5'5''x19-1/4''』、トム・キャロルがゲスト出演している『オンザロード(On the road)』、コーリー&シエィ、ギャベン&シェーン・ベッシェン、アンディ・アイアンズ、クリス・ワードのオールスターメンバーによるメンタワイボートリップの『ロスト・アット・シー(LOST AT SEA)』、そして3部作となる『アクロス・アメリカ(ACROSS AMERICA)』のVol.1の7作が現在までリリースされている。 チームライダーの顔ぶれがブランドカラーとなるわけだが、今までにのチームライダーを羅列すると、クリス・ワードを筆頭にシエィ&コリー・ロペス兄弟、クリスチャン&ネイザン兄弟、ディノ&コロヘ・アンディーノ親子、メイソン&マイク・ホー親子、ケーシー・カーティス、ネイト・イヨマンズ、ストライダー・ワズルアスキー、サクソン・バッチャー、ジャスティン・マタソン、ジョン・ロバートソン、カイル・ガーソン、ジャスティン・ポストン、テッド・ナヴァロ、ディーン・ランダーゾ、アダム・ビアーズ、マクア・ロスマン、カラ・アレキサンダー、デヴィッド・ウエアー、アーロン・コーミケン(ゴーキン)。最初のクリス・ワードは世界一の天才サーファーとして知られているし、最後に出てきたゴーキンは、エアで空中を一回転する「ロデオフリップ」を世界で一番最初にメイクしたサーファーとして、脚光を浴びている。2000年までのチームライダーにシェーン・ベッシェンまでいるのだから、層の厚さとキャラクターの多さはものすごい。 現在では大きなカンパニーに成長し、ロストハウスから大きなコーポレイトオフィスに変革を遂げたロストだが、メイヘムの瞳の輝き、マックの野望、ランドルの希望(ちなみに2004年に「俺に月給約80万円をよこせ!」と裁判を起こしたため、即日解雇されている)は創立当初から何も変わっていない。(了、2004年ふなき) |
























