Donavon Frankenreiter (ドノバン・フランケンレーター) 「サーフィングはライフスタイル、音楽は俺の表現だ」というドノバン。

 

全米を廻るUSツアーを大盛況で終え、そして5月はヨーロッパツアー。その旅はドイツから始まり、アムステルダム、パリ、マドリード、バルセロナ、ポルトガル、ロンドンまで続いた。そのツアー中に国際電話をかけてきて、ここにいるかのように「ヘイ、波はどうなんだ?」って波情報を聞いてくる。「帰り次第、例の場所で波乗りしようぜ、次の、次の月曜日だぞ」と念を押す。戻ってきた彼は例の(岩の多い誰もサーフしない)場所で波に乗りそれまでの心を満たす。今朝も波をチェックし、ラグナの自宅へ戻り、ヘンドリックスと遊んだ後、 自由な気持ちという意味の「FREE」という新しい曲を書いた。

最近のカルチャーなのか、サーフィングと音楽の結びつきは明らかとなり、ドノバンはこのことを非常に好意的に捉えている。「ジャック(ジョンソン)が、俺たちに道をつけてくれた。その道をしっかりと俺スタイルで歩き、幅をもっと拡げたい」
最近の活動はこうしたライブ活動で、直接ファンにメッセージとメロディを聴いてもらい、その間に曲を作っている。
「ゆったりできるし、豊かなインスピレーションが沸くからこの峡谷に囲まれた自宅で書くことが多いな。今書いているのは「FOOL」という曲で、なぜ多くのみんなは、そんなばかみたいなことをしているのか?という疑問を詩にしたもの。それら新曲を集めたフルアルバムを10月に発売する。9月に日本に行くから一緒に行こうよ。東京、福岡、大阪、名古屋、富山と廻って奄美で波乗りしようぜ。

Style is Everything. 昔から生き方にこだわり、サーフボードの最小単位であるシングルフィンで、世界7つの海の波に乗った。音楽も昔からゆっくりと蒸留させるようにこだわり、自分を曲げずに活動してきた。そんなスタイリッシュな彼は、これからも独創的に波に乗り、音を暖めていくのだろう。 ゆったりとした日々は飛ぶように過ぎ、明日からテキサス州各地でライブ、そしてニューヨークへ出発する。ギターケースに古いテレキャスターと、スリンガーランドだけを詰めて、海と波乗りの魅力、生き方の自由をたっぷり詰めた音楽を伝導するために旅立っていく。

メンフィスブルバードを下って
あのバーを探しにビル通りを走っていこう
俺の黒いキャデラックには手をつけずに
あの娘がここに戻ってくるのはわかっているんだ

彼女はやさしく心地良く
俺をグルーヴさせてくれるんだ

俺はあの娘になにをしてあげられるのか
俺には君しか見えないんだ

俺が見えないのか?
俺しかいないってことをわかってほしい
俺を舞い上がらせてくれ

あのバーを通り過ぎようとしている
彼女がそんなに離れていないことは知っている
その辺りの酒場でうろついているのだろう
あの娘はどこでもジャック・オンザロックスの名前で知られている

こっちにきなよ、そして
俺を舞い上がらせてくれ
俺を舞い上がらせてくれ

あの娘とのひとときを終え
彼女は俺にワインボトルを手渡した

俺は知っている
この最高なひとときが長くないことを
せめてあの娘の気持ちを感じたい

俺はあの娘になにをしてあげられるのか
俺には君しか見えないんだ
俺が見えないのか?
俺しかいないってことをわかってほしい

こっちにきなよ、そして
俺を舞い上がらせてくれ
俺を舞い上がらせてくれ

(作詞ドノバン)

乾いたオフショアに揺れる樹木、波に乗るイルカの群。海面に漂うジャイアントケルプ(海草)をたぐりながら波待ちする自分の姿。俺が焦がれるのはいつもカリフォルニアの海だった。冷たい海水の上には透き通った青い空。ピアの向こう側に沈むオレンジ色の太陽、笑顔のサーファー達。渡米した今もこの自由な空気がたまらない。朝起き、外に出て深呼吸する。草木の香りをたっぷり含んだ大気でカリフォルニアを実感する。

渡米2度目の早春。サンクレメンテ・ピアに波をチェックしに行くと、セットで腰くらいの日、サーファーはだれもいない。ピアの上に立ち、下を飛び交うペリカンや真上から見える波を観察していると、長髪長身のサーファーが踏切からやってきた。個性的なワイドアウトラインの4フィンの黄色いサーフボードを持っている。彼はゆっくりとしたリズムのパドリングで沖に出て、波をのんびりと待っている。やってきた波をカジュアルに追いかけ、波に乗り、ブルーグリーンの斜面に芸術的なマニューバーを描いた。スピード、パワーのかけ方も芸術的で、ぼくはまるで白日夢(デイドリーム)を見ているような錯覚に陥った。その中で「この世で一番自由なサーフスタイル」をこの長髪サーファーは表現した。寝ても覚めても波乗り一筋だった俺に新しい神様が来訪した瞬間だった。興奮しながら小一時間、一挙一投足、瞬きもしないようにして彼のサーフセッションを拝んでいると、新しい世界の扉が開いていった。その証拠に彼が上がった後は、波はこなくなってしまった。
宿に戻る途中にマーケットに寄り、サーフ雑誌(サーフィングマガジンだった)をチェックすると、先ほどの神様サーファーが大きく掲載されている。クレジットに目を落とすと、「オレンジカウンティのドノバン・フランケンレイター」とあった。ぼくがドノバンを初めて知った日だった。

それから時は16年ほど経ち、西暦2005年。彼と妻パトラ、息子ヘンドリックスの住む家には、6ダースほどの古いサーフボードが集められ、それらを持って波乗りに行き、レイルを傾ける。音楽部屋には古いレコードや8トラック、1970年代のジュークボックス、旧時代のオルガンがある。ガレージには1950年式ハーレーダビッドソン、ランドクルーザー40、ヴォルボ-XC90が収まっている。
彼と一緒にサーフィンしたり、旅に出たり、彼のライブに行ったりと、友人のような関係となったのだが、あの日を思い出すと、崇拝すべき人物が目の前にいることに驚きを覚える。俺にとってのカリフォルニアはドノバンを知ってから変革を遂げた。のみならず人生に変化をもたらすほど重要な鍵となった。

 

ドノバン ライブ

ドノバン サーフィン

Rocky Shore

ドノバンとギター

ドノバン スマイル

ドノバンとギター

Terraza Wave

ドノバン サーフィン

ドノバン サーフィン

ドノバンとサーフボード

ドノバン サーフィン

ドノバン

ドノバン サーフィン

ドノバンとギター

ドノバン サーフィン

ジミ・ヘンドリックス

海とペリカン

ドノバンとギター

- 昔のサーフボードやギターを なぜ集めているの?

ドノバン(以下D):当時優秀だった物はカルマ(仏教において業のこと)、不思議な強いパワーが詰まっているんだ。それを手にすることによって、パワーを与えてもらえる気がする。昔の物は個性的だな、その時代が物体から伝わって来るんだ。モダンだった日々の魅力。サーフボードやギターは本当に魅力的で、触れたとたんにどうしても欲しくなってしまう。その気持ちに準じていたらこんなに集まってしまった。

 

- ドノバン的なスタイルはどんなインスピレーションからそうなったの?

D:俺のスタイルはあくまでも自発的だ。内から湧き出てくるような、それを表現しているだけさ。ファッションについてもそうだけど、人真似ではダメだぜ。自分でこの色を着たい、この形を身につけたい、そんな欲求から俺のファッションスタイルというのが成り立っているわけ、そのライン上に俺がいるんだ。

 

- 波乗りの魅力は?

D:夢さ。生命の誕生した源に近づいていくという神秘的なファクターが大きいと思う。夕陽の中でボードの上に浮いていると、それだけでセラピーというか、深い気持ちとなる。健康的だし、世界中どこに行っても海はあるわけだから、旅をしながら波に乗ったりするのは、究極の楽しみ方なんじゃないかな?砂も好きだし、潮の匂いもなんでも海に関する物は好きだよ。

 

- 音楽について

D:音楽は本当にすごい。何のジャンルでも聴くし、音楽があれば俺は幸せさ。アーチストを特に挙げるとすればジミ・ヘンドリックス、ベン・ハーパー、トム・ペティ、BBキング、エリック・クラプトン、ボブ・マーレイかな。彼らは天才だね。

 

- これからのカリフォルニアと、ドノバン自身はどうなりますか?

D:カリフォルニアはどんどん開発されているよね。人口も爆発的に増えているし、毎年変な事が起き始め、もう昔のここではなくなっている。さっきも話したけど、サーフィングと音楽のメッカだから俺はここを離れるつもりはない。でもいくら人が増えても波はあるし、お陽様の照り方もきっと変わらないでしょ。 俺は??そうだな、音楽にさらに力を入れてやっていくよ。究極の夢を追い求めて行くんだ。最高な波を求めて世界中を旅し、そのことによって自分を磨き、様々なことを経験して自分がグル(導師)に近づけるようにカルマポイントを増やしていくさ。

 

ドノバンは「軽く浸かってくる」と崖を降りた。入り江は崖に囲まれているために風は感じず、暖かい陽が集まっていた。ドノバンが岩の間を縫うようにして波に乗った。彼は岬から発生するバックウオッシュを利用し、深いターンや速いトリムで乗ってくる。
彼の横を滑降するペリカンの群れを見ていたら幸せな気持ちに包まれた。
ドノバンが海から上がり、沖を振り返ると、アザラシが岩の横ーーたった今波乗りしていた場所に顔を出していた。
「クールなアザラシだぜ。あいつ俺と一緒に遊びたかったのかな?」とドノバン。
俺たちは波を求めさらに北上する。もう一度波の場所を見ると、一匹のイルカがポイントを流れるように泳いでいた。それはきっとドノバンのソウルを求めてやってきたイルカだったのだろう。(了、6/1/05)

*最防具(サイボウグ)誌#2掲載

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