Matt Biolos MAYHEM(メイヘム)
MAYHEM(以下M):昨日のコリーのパイプからログキャビンまで抜けたバレルをネットで見た?ロストのサイトでダウンロードしているから見ようぜ。でもいいや、今シエィ(・ロペス)から電話がかかってきて、タヒチのモラーという偉大なサーファーがパイプで亡くなったんだって、こんなの悲しいよな。
話に戻ろう、サーフボードに対してのインタビューだっけ?

NAKI(以下N):そう、ボードについて聞きに来たんだ。
コリー・ロペスとクリス(・ワード)のサーフボードを削るときはどんなことを気にしてというか、重要なことは何なの?それと、ロッカーや長さ、レールの厚さ、ボトム状態、ボードの幅、テールやノーズの幅などどうやって決めているんだい?これについては彼らとはど?のように話し合っているの?

M:コリーとクリスが乗る板は、毎回のように進化させている。激変してるわけじゃないけど。絶えず少しずつボードは変化している。波が小さければデッキのカーブとロッカーは平らな曲線であることが求められるし。レイルに関しても同じ事(丸くということ)が言えるんじゃないかな。
大きなマニューバーを描くサイズのある波のときは、パドリング性能を少しでも得られるよう、彼の姿勢を保つためにデッキにヴィー(V)を入れちゃうんだ。これはマックススピードに速く達するために求められることのひとつ。で、クリスはこの反対なんだ。クリスはワイルドなバランスを求めているというか、よりピーキーな性能を好む、と思っていると優しい好バランスのデザインを気に入ったりもする。ミステリアスなグレイトサーファーの一人さ。
アウトラインに関しては、極最小限的なアウトライン。つまり曲線の数が少なければ少ないほどいい。基本的には波を捕らえ、波表面上でバランスが取れるようにフォーム(ブランクス)はできる限り軽くしている。
彼らの希望は、他に余計な浮力を使わないでレイルとボードを削ってもらいたいんだ。エッジに関しては、たいてい俺のお任せさ。特にそれぞれの要求がある場合はガンを削る際だね。そのガンを削る要望ってのはロッカーと、それとエッジを厚ぼったくすること。彼らがこうした注文をつけてくるということは、ボードの性能を熟知しているのを表しているんだ。なぜならロッカーを強くしたら、波のフェイス上に体をキープし、波を走りぬけるのにエッジは厚めにしないといけないっていうのがセオリーだからね。
一方、ロッカーが弱めのボードを削るときは、ショートボードのようエッジをつけてやるのさ。これで俺が言いたいことが分かるだろ。直線的なロッカーにはボードが波をいい感じに捕られるようにデリケートなエッジをつける。もちろんこれはターンの性能をさらにアップさせるためさ。
ガンに関して言えば、コリーはテイクオフのタイミングが遅れちゃうぐらい強いロッカーが好きなんだよ。エッジに関してはセンターからノーズ側ーーつまり前足側のエッジを使う傾向にある。
彼のボードの特徴は、エッジがフィンから1フィートも前に付けてあること。ーーほんの少しだけかな。それと形状はより丸みを帯びている。
ことショートボードに関して、彼は少し強めのロッカーを好むけど、そうした板でも素晴らしいスピードを生み出す力を持っている。
彼のテイクオフは恐ろしく速いよ。他の奴らがまだパドリングをしているのに、すでに彼は上体を起こして(立ち上がって)ボードを巧みに操っている。つまりコリーには意図的にスピードボードを作る必要はない。スピードを出すのは彼自身の技術ということ。その分俺は他のことを攻められるというわけ。彼は俺のボードが速いって言ってくれるけどね。(笑)
クリスは逆にボードのパドル性能やロッカーの安定性を考慮している。あんなにパドルが速いのになぜだろうと思っていたら、彼はピークの後ろから波を掴む性質があるからこのファクターを求めていることに気が付いたんだ。ピークの後ろから波に入り、ピークの斜面で加速していく、だからあんなにスピードが付くんだ。
まあ、ふたりともボードの注文に関してはそれほどうるさくはない。ただこう言うだけさ、「ヘイマット!?このボードはダメだ!This board sucks!」ってね。また彼はどこが悪いのか俺に教えてくれる。それでコーリーが持ってきた調子が良い古いボードと見くらべてチェックするんだ。でもね、俺はどの部分に変化をつけて削ったか彼には言わないんだ。 
そして彼が「このボード調子がいいね」って言ってきて、俺はその変化をつけた部分がうまく機能していることを実感するのさ。
より大きな波用や、長いボードを使うときはより厚く削るよ。でもその分レールは薄くするけど。コリーが乗るようなデカイ、ヤバイ波のときは、何層にも巻いたボードが必要なわけだし。一方、波が小さければ小さいほど、ボードはより薄く、レールはより厚くする。まあ、状況に応じてってとこかな。コリーやクリスが地元のフロリダやメキシコ湾、Tストリート、あるいは日本でのコンテストに使う板は、ストリンガー部が2インチより薄めの板で、レイルが分厚いのが適しているとわかってきた。ちょうど今の時期のオーストラリアでサーフィンするなら、2 1/8インチの厚さの板でレールは少し薄めのがい?い。
俺は常彼らが旅する場所の波質を考えている。彼らのボードはこうしたことを考慮に入れて決めている。俺はそれらにちょっとしたスパイス(ひねり)を加えるだけ。どんなボードも同じマシンシェイプで削り出され、同じモデルが生み出されるんだけど、俺はそれに自分の手でちょっとした調整を加えている。

N:例えば俺(NAKI)みたいな中級レベルのサーファーにも同じことが言えるわけ?小波でも同じってこと?

M:そうだね。でも、中級レベルのサーファーにはボードが薄すぎるのは勧められないな。そのようなサーファーが小波で用いるのに適しているのはフラットデッキ。でもそうした形状の板はパドリングしにくいよ。だから、混雑した場所でサーフするには厳しいかな。なぜなら熾烈な波の取り争いのためのデザインではないからな。中級者にとって大事なことは、最大厚みはそのままでいいけど、レイルを少し厚めに作るということ。そうすればパドリング能力が得られる。
コリーにとって小波用サーフボードとは、通常が2 1/8"の板なら、2インチ程度に薄くした板だ。サーフィンを極めつつある連中には、コリーのモデルを勧めるよ。その下の段階ではクリスの板をオーバーサイズで選ぶといい。あのデザインはテイクオフが速いし、さっきも言ったように波の傾斜を最大限に使えるからね。
さっきNAKIは自分で中級と言っていたけど、俺は上級者に見える。つまりNAKIのような身のこなしが軽い、飲み込みが早い上級サーファーにはコリーが使うようなモデルが合うというわけ。
NAKIモデルを作ろう。今TATAKIが好きならばここから進化させて、なんだっけ、そのNAKISURFのスペシャルモデルにしよう。名前は何?WASABI?それで決まりだ。

N:最高。俺も多くの人が小さすぎるボードを乗っていると思ってたから、日本の多くの波の特徴である柔らかく緩慢な波に併せてデザインしよう。フィンもデザインしてもいいかい?俺のアイディアをメイヘムにプルーヴしてもらい、すごいボードになるだろうな。
そうだ、聞きたいことがあったんだ。最も幅広い場所(ワイデストポイント)、そしてノーズ幅というのはどんな意味を持つの?

M:すべてはロッカーなんだよ。ボトムロッカーがどのように削られるかにかかっている。まずは全体の輪郭(アウトライン)を決め、それにそってロッカーを決める。またはその反対の時もある。とにかくバランスが大事。だから「『ワイデストポイント』で1インチ狭いアウトラインがとても大事なんだ!」なんて言う奴は信用しないこと。だってロッカーがそのデザインに合ったように機能していないと、何の意味もなさないんだよ。
もちろんアウトラインを2インチ前方に持ってくることだってできる。ロッカーさえそれに合うように削られていれば、2インチ後方のアウトラインのボードと同じような感じを得ることができるよ。サーフボードは本当にバランスが大事なんだ。

N:腰程度の波の時、コリーとクリスはどんなボードに乗るの?具体的なボードの数字は覚えている?

M:具体的に?

N:そう。

M:いいよ、もちろんさ。コリーの一番短い小波用のボードは長さ6'1"で幅が18 1/2"'、厚さが2"のフラットデッキ。かなり弱いロッカー、テイル、幅14"でノーズは約11"。ノーズロッカーはかなり弱め。でもテールはかなりのキック力に耐えられるように仕上げた。彼が生み出すターンはこのボードの形状に支えられているといっても言い過ぎじゃない。テイルは多少厚め。このため、どんなに鋭いターンをしようが、板は沈みこまない。コンケーブはだいたい深く入れている。時にはさらにちょっとしたダブルコンケイブを隠して加えることもある。

N:隠す?

M:そうだよ。俺はそれをファイブ(コン)ケイブって呼んでいる。

N:ファイブケイブ?

M:つまり通常はシングルコンケイブ。その中に通常のダブルコンケイブを掘る。これでトリプル。そしてサイドフィン横にさらに二つのラインを入れ、先のダブルコンケイブ内にその二つのラインを入れるわけ。

N:その技術を応用するとスピードが増すわけ?

M:より揚力が増すね。

N:揚力って、テイクオフの時に感じるけど、乗っているとより顕著に表れるものでしょ、どうやってそれを制御しているの?

M:でもファイブケイブは本当に小さい波用のボードを削るときしか入れないし、全体的に見れば大きく、深いコンケイブなんだ。

N:ということは、大きなパワーが要求されるの?

M:狭いテイルブロックならパワーがそれほどないサーファーのためのボード。さらに狭いノーズにすると、パワーをそれほど必要としないでボードを振れる。そのデザインならすばやい動きが可能だ。コリーやクリスのよりも薄いレールにするべきだろう。だってコーリーの体重は75キロ、クリスは80kg近いオール筋肉だろ。その狭いノーズテイルデザインは、技術力がある日本人サーファー用だね。体重が58kgや63kg、またはそれよりも軽いといったような。脚力がコリーやクリスと比べて弱いサーファーにはもってこいの板だ。でもパドルは遅いし、パンチが出ないからこの中間というセッティングも考えよう。

N:プラグについてもっと聞きたいんだけど、マットはどのぐらいのプラグを持っている?

M:たくさんある。コリー用だけでも数え切れないくらいある。コーリーのプラグを俺は8B(エイト・ビィ)って呼んでいる。つまり彼のボードは8Bシリーズってこと。例えば8B、これは通常のコリーモデル、つまりプロフォーマンス、これから出るWCTモデルとなるんだ。ストック用のボードによく使われるプラグだね。つまり巷で出回っている一般的なボード。このモデルがロストの名を世界に広めたって言っても過言じゃない。
それから、クリスのプラグが8つある。みんなも知っていると思うけどSD-IIから派生したデザインだからね。それにシエィ、ディノプラグがある。あとタタキプラグなんてのもあるし。最近の若い連中はSD-IIを好んで使っているよ。ノーマルなデッキでね。

N:小波用?

M:そうだよ。あとSB21っていう究極のショートボードがあるよ。最近ストック用に削ったんだけどノーズロッカーがより強めで、テールロッカーが弱めで、よりパワーが必要とされるボードだ。ディノやディーン・ランダーゾのようなパワーサーファー向けのボードだね。これをやや発展させ、乗り易くさせて、WHIPLASHとした。

N:シエィモデルってどんなボードかな?

M:正直な話をすると、シエィ・ロペスは掴みようがないサーファー。彼はどんな板も乗りこなす。いつも新しいことにチャレンジしようとするんだ。この点がコリーとの大きな違いだ。もちろん、コリーだってその気持ちは持っているけどね。ただシエィは全てのプラグからオーダーをかけてくる。

N:じゃあ、シエィはチャレンジ精神、または好奇心旺盛ってこと?

M:その通りだ。そして様々な反応を示してくれる。コリーもだけど、シエィは真のテストライダーだ。その素質の一つとして、よく話し、意見を言ってくれる。だからシエィモデルには彼の要求がよく反映されている。
でも、シエィモデルをオーダーするとき、例えば日本のサーファーがオーダーするような場合、通常は8B-2を手に入れることになる。これはコリーモデルをベースとして、テールロッカーを多少弱めにしたもの。つまりシエィモデルはコリーモデルと極めて近似している。ただ、テイルキックの代わりにロッカーを平らにしてVEEを少し入れている。これでSB-2モデルより多少スピード性を増す設計なんだ。
でもディノモデルは全く違う。ゴーキンモデルも違う。それからナキも知っているように、それぞれのボードもまた、トライフィッシュやタタキ、ラウンドノーズフィッシュ、スピードデーモンといったスタイルに分かれている。スピードデーモンはごく最近考案されたスタイルのボード。最近の俺はよくそれを削っている。コーリーが小波用に使用している板は何?って聞かれたときは、それはスピードデーモンだって俺は答えることにしているほどだね。

N:ショートボードとスピードデーモンの違いって何かな?

M:スピードデーモンの特徴はラインに沿って動きを加えた、より直線的なアウトライン。通常のボードよりも直線的なテールロッカー。普通のノーズロッカーと同じ量だけど、より幅広のテールとノーズを併せ持った直線的なテールロッカーに仕上がっている。これによって、輪郭が直線的なイメージを抱かせる。また、その厚さのためにレールも丸みを帯びている。レールが2 1/8"の厚さで、8B-2モデルのショートボードも在庫用のボードも、スピードデーモンの2インチボードと大差ない感覚を掴むことができる。また、2 1/4"の8B-2モデルと2 1/8"のスピードデーモンも厚さの点で似たような感じのボードだ。

N:つまりレールが決め手ってこと?

M:21/8"のスピードデーモンと2 1/4"のショートボード及び在庫用ボードはレールの形状は同じ。NAKIが他のプロサーファーに頼んで自分の板をデザインしてもらうとしたら、そのボードは機能性のあるものに仕上がるかもしれないし、その反対の場合だってある。究極の高い性能を混ぜ合わせたサーフボードを大衆向けに作りたいと思っても、一般サーファーのみんながそのボードを乗りこなせるとは思えない。特にコンデションの悪いトラッスルズや風で波面がでこぼこになった日本やフロリダのような場所では過去数年間、俺は一般向けにフィッシュを削って?きた。それはNAKIも知っているはずだ。そうして削られたボードはフィッシュであったり、ショートボードだったりした。でもフィッシュっていうのはまた違った感覚のボードなんだな。
こうした間も、コーリーや他のチームライダーたちは大会用に至高のボードを要求してきた。でも、彼らのボードは一般には市販されていない。これは今考えると何だかもったいなかったな。もっとこの種のボードを調べて市場に出せばよかった。だってフィッシュや普通のショートボードでは全ての波を乗りこなすのは難しいだろ。そういうわけで、小さな波に適したスピードデーモンが考案されたんだ。
ここでパワーサーフィングの話題に変えよう。この俺やさらにパワーのあるケーシー・カーティスはこの種のボードを使わない。だってターンの際も安定したパワーをボードに伝えなきゃいけないし。俺は自分の体重を利用するし、ケーシーはパワーをフルに使う。このタイプのサーファーには、ノーズを1インチ切り取って、テールも同様に1インチ切る。ということはノーズとテールが広くなる。ロッカーは多少弱めで、全体的に少し幅広。長さ6'2"で幅18 1/4"、ノーズとテールを1インチずつ切り取る。つまり、長さ6'0"で幅18 1/4", ノースは11 1/4"、テールは14"。一方で通常の6'0"の板をオーダーしたいなら、幅18"のテール幅13 1/2"、ノーズは10 3/4"となるんだ。わかるかな?

N:すごい!このスピードデーモンは日本の波にとって適したボードとなることは間違いない。

M:スピードデーモン、SD-IIのオーダーは結局いっぱい届いた。これは最新のモデルというのもあるけど、結構すごい反響だ。またこのおかげで東海岸ではラウンドノーズフィッシュの注文が殺到しているしね。温故知新というやつ?かな?

N:じゃあ裏の目玉商品はラウンドノーズフィッシュというわけ?

M:NAKIもラウンドノーズフィッシュを乗りこなすからわかると思うけど、ラウンドノーズって他のモデルとは全く感覚の異なる板でしょ。そんな理由でも若い連中は持ちたがるよね。商売にとってもこのボードはキーを握っている。波がいいときは誰だって最高の性能を持つボードでサーフしたいでしょ。そのとき、自分の中で最高のサーフができれば幸せでしょ。俺はそのサーフボードを乗ったみんながびっくりするような究極のものに仕上げればいいわけ。
だから彼らはスピードデーモンをまずは手に入れ、それから次にフィッシュを手に入れる。フィッシュは楽しいから。サーフィンに真剣に取り組んでいる連中は3本ほどボードを持つ傾向にある。それから頭半サイズの波で使用するためのラウンドピンの2インチ大きな板を持つのがベストだろう。その後、ガンを持つ。あらゆる条件下でのサーフに使用するボードを手に入れたいなら、ボードが持つ各性能はそれぞれ大きく違うことを頭に入れてもらいたい。

N:シエィに戻るけど、彼がマット(メイヘム)のボードを試すとき、どのようなテストライディングを行い、それを伝えてくるの?

M:まずーー彼はかなりポジティブな感覚の持ち主ということを頭に入れておいてもらいたい。ボードを実際に乗ってみて「これが俺が本当に欲しかったボードだ!ベルズの波にマッチしそうだね。でもこれをハンティントンのよれよれ波では乗りたくないな。あそこでは速さが伴ったオフザリップを10回も決めないといけないし。--- 続けて言う ---でもこのボードも欲しい、ベルズで試してみたいんだ」
彼はとにかくボードを実際に試し、そのボードがどこの波に一番適しているかを決めるんだ。もちろん大会で使用することだってある。時にはボードを手にするなりこう言うんだ、「!....。わかった!」とね。他にはこういうコメントもある。「俺はこのボードを大会で使ったことはないけど、スピードも良く出る板で、高いエアを決めることだってできるからまあまあだったよ」
このことから推測するにエアに向いているボードが必ずしもいいボードとはいえないんだ。
時にはたった一本のボードを持って、「俺はこのボードで何でもできるんだ。ベルズでサーフすることもできるし、ボックスでチューブに入ることも。腰波ヒートで5回もフルターンを決めたさ」って言う時(要はマジックボードのこと)もある。

N:めったにないんだ?

M:ないね。10本に1本くらいの確率だな。

N:そんなに珍しいものなの?

M:そんなもんだよ。でもそのことを知りえる高いレベルの連中なんて、世界中探したって、30から40人ぐらいしかいないんだから。その確率なんて知りようがないというのも事実かな。

N:じゃあ、マジックボードって呼ばれる究極のサーフボードが世の中に存在するけど、そのボードから何を学ぶの?

M:まずはボードのカーブを入念にチェックする。寸法も同じように調べ上げる。それから、その二つの関係も。試してみたり、じっくり精査する。以前2年間シェーン・ベッシェンの板を削っていたとき、絶えずこうした努力の繰り返しだった。とにかく必死にマジックボードをコピーしようとしたり、労力を惜しまなかった。だって彼はいつもマジックボードだけを欲しがったからね。好きなのは6'2''と6'5''のピンテール。でも彼が最後まで最も欲していたのは、どんな波にも対応できる究極のボード。彼は偉大だよ。世界中で行われる大会には、毎回4本のボードを持って行くけど、各地の波に最も適したボードをその中から選び出してケースに入れるんだ。そんなの俺にだってできる芸当じゃないよ。

N:コリーについては?

M:うーん、彼はいったん気に入ると、壊れるまで使いこむ。
でも、壊れても気にしない性格なんだよね。サーフトリップには毎回6本のボードを手にして行くけど、全部最高だよって言うんだ。彼は各ボードについていちいち細かく言及しない。ただ人それぞれ性格に違いはある。
もし、細かいことが気になるようなら、シエィの考えで物事を捉えたらうまくいくんじゃないかな。

N:コリーは素晴らしい才能を持ったサーファーだけど、彼のサーフスタイルは他のサーファーとは違う。
彼は広めのスタンスが独特だけど。そのスタンスに合わせたボード作りってどうなの?後ろ足をよりテール近辺に置いているの?

M:そうだよ。広めのスタンスといっても前足はそれほど前方には置かないで後ろ足がテイル寄りに位置するんだ。シエィの方がむしろ前足を前にポジショニングをとってサーフする。広いといってもこういう違いもあるんだよ。だからシェイにはノーズを多少厚めにしているんだ。
最初から言うと、コリーはバランスを取るために後ろ足を後方に持っていく。店頭に置いてあるコーリーボードを他のブランドと比べてみれば一目瞭然でテイル幅の広さがわかると思う。フィン前に弱く付けてあるバンプ(ウイング)もそのままテイルまで結ぶからテイル幅が広くなる。この傾向はスピードデーモンではない普通のボードでさえそうなんだ。それが特徴的なコリーのサーフスタイルに結びついているのかもね。
1993年に初めてクリス・ワードを目にしたとき、彼のスタイルも全く同じだったぜ。

N:クリス・ワードは初期のロストチームライダー。彼はマットにどんな影響を与えた?

M:クリス・ワードはその頃本当に若かったな。確か13,14歳ぐらいだったかな。彼はここ(サンクレメンテ)出身の連中で、初めて世界で通用する才能を持ち合わせたサーファーだった。彼も若かったし、俺も若かった。俺らは本当に幸運に恵まれていた。
その頃はティミー・パターソンがクリスにボードを削っていたんだけど、実は俺はどんなボードが彼に一番マッチするのか、日々試行錯誤を繰り返していたな。もちろんティミーは俺なんかより経験も豊富だった。でも俺はティミーも考えていなかったあるアイディアをラウンドテールのボードに思いついたんだ。それは若い連中、クリスやコーリー、アンディ・アイアンズらが好む革新的なーーレイルをより丸くし、よりコンケーブを深く入れることだ。このボードは、それまでのとは全く違う感覚に仕上がったんだ。簡単に言うなら「扱いがやさしくなった」という感じかな。

N; 「扱いがやさしくなった」?

M:イエス、本当に扱いがやさしくなり、躍動感あるボードに仕上がったんだ。もちろん彼らを魅了したよ。それらボードの全てがマジックボードというわけではなかったけど、既存のものとは明らかに違っていたな。
サーファーの足元で板は生き生きと波の上を走っていった。同時にこれは中毒的な魅力をも帯びていたんだ。同時に未来を背負う子供たちもそのボードを欲し始めたんだ。俺を新たなステージへと導いてもらうため、ティミーの経験、知識は大いに役立ったわけなんだ。こう言うのもなんだけど、ティミーの板は少し保守的過ぎたかな。俺のはまさに時代の最先端を走っていたと自負している。
でも、ティミーのような世界クラスのシェイパーの力がなくては自分のオリジナルなボードを世に生み出すことはできなかったから感謝しているさ。

N:以前にオーダーフォームを見て気がついていたんだけど、ロペス兄弟のフィンの角度(寝かせ方)が違うよね。コーリーのボードのフィン角度は8度で、シエィのは7度。両者の角度の違いは何?

M:コーリーのボードはボトムにコンケーブが少し深めに入っている。だからバランスを取るためにフィンを少し寝かせて取り付ける。そうしなければ完全にならないんだ。一方で、特殊なボードであるシエィのコンケーブは少々浅め。コンケーブが深ければ深いほど、フィンは寝かせ気味に設定したほうがいいんだ。

N:こうした違いも彼らの才能を助けているわけだ。ハイエンド(最高級)・サーフボードのデザイン、性能について教えてくれる?

M:残念なことにハイエンド・サーフボードは壊れやすいんだ。NAKIも知ってのとおり、ウルトラライト・フォーム、ウルトラライト・グラス、ウルトラライト・グラスオンフィンを使用してるから、もの凄く軽いんだ。反応に素早く対応するボードとしては最も優れているけど。

N:コリーのボードのように?

M:まさしくその通りだよ。さっきも言ったけどワサビも革新的なボードだし。とにかく凄く軽く、薄く削るんだ。ボードを薄くするときは、フォームは柔くなっちゃうんだ。なぜって、ブランクを深く削ると内側は柔らかいんだ。その柔らかな軽いフォームに軽いグラスジョブ(ラミネート巻)が必要。それから軽いグラスオンフィンも必要だ。ハイエンド・サーフボードを乗るにはーー誰かスポンサーが買ってくれるにしろ、値は高くつくよ。だって年間に最低10本は必要となるわけだからね。

N:これまでブランクスの密度の違いにーーブランクスの内側は密度が低いことには気が付かなかったな。

M:それはNAKIがシェイパーではないからさ。クラークフォームに関してはそうだよ。全てのブランクがってわけではないんだ。
他に言うならエポキシ・ボードがハイエンドだろうね。俺は進んでそうしたボードは削ろうとしない。せいぜいカスタム・オーダーで削るぐらいかな。チームライダーを除いては、一般サーファー向けにエポキシボードを削りたいとは思わない。だって非常に軽くて、耐久性もあり、値段が高いでしょ。実際、これらのボードは高い性能を持ち合わせている。他のシェイパーに上手にそのボードを削らそうと思ったら、困難を伴うのも事実だ。供給に間に合わせることが難しいんだ。ただ俺のチームライダーは必ずクイバーラックの中にエポキシを1,2本持っているよ。とにかくエポキシは市販で売るには適していない。削ることはできるけど、値が張りすぎるんだ。製作するのも高度なテクニックを要するし。

N:通常より2倍ぐらい高いの?

M:2倍ほどじゃないけど1.5倍ほど割増だな。

N:そのくらいなら高いとは思わないけど...。耐久性にも優れてるんでしょ?だったら得してるんじゃない?

M:そうだね。より強いしな。

N:サイモン・アンダーソンが過去にトライ・フィンを生み出して業界に新しいものを与えたよね。じゃあ次にサーフボードの形状に関して起こるであろう革新的な事って何だと思う?

M:コンピューターの画面上でデジタルにボードをデザインできるような時代が到来するだろう。実はこれは今俺が試みていることなんだ。サーフボードはデジタルデザイン化され、より完璧なボードが創作されはじめた。シェイプ方法もコンピューター上に映し出されるんだ。マシーンでフォームを削り、仕上げる。繰り返し削っていくうちに完璧に近づいていく。俺はこう思う。だって、サーファーが探しているのは限りなく完璧に近いマジックボードでしょ。
トライフィンのような次世代のサーフシーンに大きな影響を与える画期的なデザインに関しては、俺は次に何が発明されるか、まだ予想できない。とにかく現在の段階で技術的な革新は、コンピューターの画面上でどんなボードをシェイプできるかをデジタル的に決めることができるということ。どんなカービングを描くかとか、各種寸法も入力できるとか。デザインしたサーフボードが入力されたディスクを持って、シェイパーマシンに差し込む。そうすればマシンが自動的に削ってくれるんだ。それだけの作業で俺の役目は終わり。
過去10年間、シェイピングマシーンを使用してボードを削り、そこでは以前削ったボードを感覚で模倣していた旧来のスタイルを根底から覆す。つまり旧来のマシーンで現場においてデザインを決める必要はないってこと。ディスクに保存されたボードのデザインを元に、他のボードと全く同じ物が生み出される。こんな革新的なことは他にないでしょ。型どおりのボードを作れるんだ。不滅の型ができるわけ。こうした事実を組み合わせると、コンピューター・デザイン・マシーンにより画面上でデザインを自由自在に決めることができ、各デザインに応じて正確にボードを削っていくことができる。
サンディングも素晴らしい出来が期待できる。わかる?上手にサンディングされたハンドシェイプのコンピューターでデザインされたブランクを手に入れ、圧縮されたグラスをかけ、型どおりに削る。つまり、各サーファーの型を手に入れることもできるんだ。例えば、たった今ボードを1本シェイプし、中国やユーゴスラビアに輸出し、現地ではそのボードの型と同じ物が作られ、廉価版として、あるいはスノーボードとして売られる。要するにコピー(複製)されるということ。でも、全ての型が同じ。だから1本ボードを削れば、同じ型が何度も繰り返し使われる。いつでも同じ性能のボードを作ることが可能ってこと。全て一緒。スケートボードやスノーボードのようにね。わかる?とにかく、近い将来起こるであろう技術革新では、様々な型をコンピューター上に導入するシステムを構築することが求められる。コンピューター化されたボードを完璧に仕上げるために。それからそれを圧縮し、吸気コートさせなくてはいけない。エポキシーのような素晴らしいボードを不滅にするためにはありとあらゆる技術が必要なんだよ。

N:こういうボードの時代が来るかな?

M:どうかな?シェイパーはもちろん、全ての工場の設備を変えなくてはいけないわけだし、今すぐには無理だね。でも俺が言いたいことが分かるでしょう。最新テクノロジーが産むサーフボードっていうこと。こうしたボードには全てモールド(型)が存在する。だからデザインを変えることはできない。変えるには新しいモデルを作らないといけない。完璧なボードかどうかは分からないかもしれないけど、とにかく俺は削るとする。すると、シエィはこう言うだろう、「最高に軽くて、耐久性があり、よく走るボードだよ。でも、少しエッジをここに付けたい」
.....。残念だけど、それは不可能なんだ。そうするには新たなモールド(型)を作らないといけないんだ。だからコンピューターでシェイプされたベースのボードを手に入れるならば、完璧にシェイプされたコンピューターデザインのボードを選ばなければならない。デザインも仕?繧ーも各個人の持つ違いも全て考慮に入れ、型を決め、コンピューターでシェイプする。
この考えこそ、サーフシーンの新たな時代を築くと俺は信じている。

N:まさしくその通りだ。

M:こうした考えを実行に移そうとする人たちはすでに俺の周りにいるよ。俺の知っている連中さ。

N:ありがとうマット。

M:波はどうかな?風が止んだな。

(了、12/05/2005対談 マット&船木)

 

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