Naki's Impression

COLE
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Black Diamond 4'7"x20-1/8"x2-1/2"

Black Diamond

友と分かち合うサーフボードがあることを知った
3人いれば3種類のサーフボードがあって、これはその1本である
【ブラックダイヤモンド】
と名付けられたサーフボードの誕生物語である

Black Diamond

-- ニライカナイの友に捧げる --

 

昨年の夏、中村竜ちゃんが「ボードを短くして、車のトランクに入るようにできませんか?」
と聞いてきた。
できるとは思うけど、むずかしいかなぁ、というのが最初の感想だった。

なぜそんなデザインにしたいのかを彼に訊くと、

1)持ち運びがしやすい。

2)車のトランクや後部座席に入ると、複数名でサーフィンに行くときにとても都合が良い。それは

3)盗難防止にも役立ち、

4)ケースに入れ、ボディボードと言えば飛行機のチャージもかからない。

5)新型なのでかっこいいし、

6)色んな波に普通に乗れて、

7)収納も簡単。

8)子供も乗れて、

9)エレベーター、はたまた電車も楽勝。

という9つの明確な理由だった。

なるほど、幼いときから天才のほまれが高い竜ちゃん。
彼がこんな夢ボードの製作を願っている。

弘法大師=空海が天才だということはすでに有名だが、彼は、
「わが身の力を問いかけて、崖から飛び降り、天女に抱きとめられた」
とされている。

竜ちゃんの場合は、
「わが身の力を問いかけて、ボードを短くし、空に舞ったらコールに捕まえられた」
といった感じだろうか。

Black Diamond

ということでこのボード製作は、当世きっての銘シェイパーである天才コール・シムラーがこんなコンセプトをいたく気に入り、自ら挙手し担当することとなったのだ。

当初のコードネームはその名の通り「トランクボード」だったのだが、この名前を考えているときにiTunesから偶然かかってきた(1970年代を代表するロックバンド、キッスのヒット曲)『ブラックダイヤモンド』が印象的で、俺がそれを提案すると、コールも竜ちゃんも賛成してくれ、正式名称を「BLACK DIAMOND」とすることとなった。
ブラックなので、当然カーボンファイバー製を直感させる。
最終モデル完成の暁にはAVISO製も作ることとなるだろう。

さて、その提案から製作に入るのだが、ブランクスやレイル形状、さらにはアウトラインに到るまで紆余曲折すること7ヶ月、第一弾のボードは俺が日本に行く日に完成した。
それを弊社池谷が梱包し、提携茅ヶ崎HRSまで送ってもらい、竜ちゃん家のある鎌倉から国道134号線の松林から断片的に海を見ながら取りに行く。
昔は片側一車線だったのでやたら混んだのだが、現在は上下2車線となり、渋滞解消され走りやすくなった、と感動していると、チサンホテルが登場した。
ここを右折し、HRSに到着。主宰の山田さんに迎え入れられ、まずは実物を見たら、やたら感動してしまった。

短いが危惧していたやたらな厚みもなく、うーむさすがはコールだと唸り、ボードの天地を入れ替える。
天井が低いのに軽くノーズとテイルが逆さまとなり、ノーズの高さは胸の少し上くらい。
ラピュタプラグがトライフィンの位置で埋まっていて、その位置は少し広めだ。
ボードがルースなので、乗り味がやわらかくなりすぎないようになのだろう。
こんなところにもコールマジックが配慮されていてにっこりほっこり。

自分用のバットフィッシュ5’5”も届いたので、乗ってきた竜ちゃん号に積み込もうとボードを持って外に出ると、さっきまで曇っていたのにすっかりと晴れている。

Black Diamond

チサンマンションから入り込む日差しにブラックダイヤモンド、バットフィッシュが神々しく輝いた。

ボードスペックを見ると、「FOR RYU AND NAKI」と書いてあり、こんな共有ボードは初めてなので、なんだか少しこそばゆいような恥ずかしさがある。

Black Diamond

サイズは4’8”x20-1/8”x2-1/2”で、実際には4’7”の長さだという。こんなことはよくあるので気にしないが、今日石垣島で嘉良さんというシェイパーと話していたら、ボードサイズがグラッシング中に縮むことはよくあるそうで、きっとこれも縮んだのだろう。

さて、ノーズは竜ちゃんの要望通り、ラウンドではなく、ポイントであった。
尖ったノーズがしっかりと胸を張っているように見える。
レイルはミディアムテーパー、それがテイル前方でエッジを立たし、名前の由来となったダイヤモンドテイルとラインはつながっていく。

Black Diamond ©RYU PHOTO

これは割れているスワロウと、四角いスクアッシュテイルの混合で、コール曰く両方の利点を備え持ち、最近大流行しているバットテイルもこの亜種だそう。

Black Diamond

ロッカーは弱いが、それがソフトなゆるやかさにつながっている。
しなやかで美しいフォルム。
コンケイブはほとんどフラットだが、探るとシングルやダブルか潜んでいる風のコール流。 俺とコールは最後まで4フィンか、3フィンかを迷ったが、短いので回転性能は高い、と先読みし、トライを選択したのは正解だった。

と竜ちゃん号に積み込むと、やはり横積みができる。
なんともすごい。

Black Diamond

話は逸れるが、最近発見された宝石ブラックダイヤモンドは、ボルツ・ダイヤモンドとも呼ばれ、黒色不透明が珍品だとされて高級宝飾、つまりアクセサリーとしてティファニーなどで製品化している。

Black Diamond

で、冒頭に書いた友、竜ちゃんがニライカナイ島に持ち込み、俺のテストと相成ったのです。
最初に竜ちゃんの前情報を一切入れないように努めた。
このブラックダイヤモンドのことで何か言っているときは、聞いていて、そうでない達人技を用い、無論自らはこのボードについて尋ねないようにした。

Black Diamond

こうして無垢な状態でこのニライカナイ島でのテストに挑むのだ。
このキャッスルポイント、ボッコンリーフを前にし、いざいざとワックスを塗り込む。
干潮なのでビーチエリアにしかサーファーはいなく、目指すピークは全くの無人。
FINはRaptorフィン、インサイドフォイルを持つ「R5」が竜ちゃんにより装着されていた。
かっこいいなあ。

Black Diamond ©RYU PHOTO

リーシュプラグに紐を付けるが、竜ちゃんはそれまでノーリーシュだったようで、紐が通りづらい。 リーシュが付いて準備完了。

ボード写真を取ると、ニライカナイのヒロ君がAVISO FFを抱えて歩いて行った。

Black Diamond

パドルを始めると、その速さにびっくり。
もう通常ボードと同等で、短いボード特有のパドリングのストレスは皆無。
「おまえ浮くなあ」とノーズをなでなでする。
途中でテイクオフの練習をしてみると、思っていたよりも普通に立てる。
波に近づくと、小さいが掘れ上がるリーフ独特のフォーミングで、その後は深くなるのか、スープが跳ね上がって沈み込む。
ベルサイユ宮殿の晩餐会テーブルのように隆起した棚が、うねりの角度とサイズによっては底からめくれ上がって一瞬四角いバレルとなるが、干潮のため、膝程度しかなく、かなり危険なのでそのエッジからテイクオフ。
おおー普通に乗れるぞ!!
テイクオフしてボトムターンをするとするすると前に出ていく。

Black Diamond ©RYU PHOTO

これはかなり調子良いのでは?
という自分の予想通りターンも痛快で、レイルに体重を乗せるとテイルから水を押し出すように加速しながら波の上に登っていく。
波の最上部でレイルを切り返し、滑り降りると、前から柔らかで小さな白波がやってきたので、エイ!とテイルを踏みながらトップターンすると、クインと、テイルが前を向きテイルスライド。

敏感で道楽なボードだなあ。
それを腿の後ろでぐっと抑えて元通りにする。
俺はもう40代なのに10代の技が1本目で出来てしまった。
懐かしい感覚だなあ。
うれしくなりながらもこんなことをさせてくれる性能におそれいってしまう。

次の波は緩い斜面だったので、「カットバックづくし」で攻めてみた。思いきって切り返すよりも、軽いタッチで「シャッター」とターンすると波が追いついてきて、その上に引っかけて返し、それでまた後ろにターンと、8の字ターンの連続をする。
インサイドで気持ち良くプルアウトし、朝陽が斜面に差し込む小さな虹色のギラギラを見ながらパドリングバック。
命名をカットバックづくしよりも「カットバック祭り」としようか、などとどうでもいいことを深く考える。
至福の時である。

Black Diamond ©RYU PHOTO

調子に乗った俺はスキーのような平行スタンスでスーッと流し乗り。

ギターを抱えて弾き語りするのは流しというビジネスであるが、ブラックダイヤモンドを抱えて海沿いの街を流したくなるほど夢がある乗り心地だった。

Black Diamond ©RYU PHOTO

これはトリミングのみのライディングでニライカナイから内地まで到達したような永遠なる感覚だったなぁ。

そのまま波の上でオトナゲなく「ゼェッヒー」とヨロコビ声を上げてしまった。
これを聞いた人は笑うだろうが、幸い周囲に人はいない。

そのままセッション中盤に強いトップターンを試みると、あれ?沈…。
どうやらテイルが少し沈みづらいらしい。
竜ちゃんは平気だと言っているから俺のせいかも、とスタンスをチェックし5cmほど後ろを踏むと解消されたが、まだ浮き上がる感じがある。
でもね、試作第一号だからこれは十分に許容範囲だ、とワハハな気持ちで海から上がり、ウエットを脱ぎ、清々しい気持ちのまま散歩し、川横に花の写真を撮りに行く。

Black Diamond

竜ちゃんが「かわいいのがいますよ」というので小川をのぞきこむとアカハラ(イモリ)だった。

Black Diamond

ここは農薬とは無縁の場所なのだなあ、と真っ青になった空を見て感じ入ってしまった。

Black Diamond

後ほど、コールに長い文章のメイルを送り、ブラックダイヤモンド#001号機は最高だったけど、スピードがついているときテイルが沈みづらいよと伝えると、改良機#002号を作ってくれるそうで、これで全て解決と相成りそう。

友のサーフボードデザインが世界のシェイパーによって実現して、理想郷とされるニライカナイ島で一緒に乗るなんて夢のような話だけど、そんなことが起きた2007年の初春。

Black Diamond

旅で会ったみんな、ありがとう。
またすぐにそちらに行きますね。
(了、3-12-07)

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