コリー&シエィ・ロペス、クリス・ワードを筆頭とするロストプロライダー達。加えて、アンデイ・アイアンズやオッキー、タジ・バロウ、シェーン・ベッシェン、ブルース・アイアンズ、クリスチャン・フレッチャーのメイヘムボードを愛するスポンサー外のプロ達。
彼等に渡されるボードは通常のそれとは違い、プロ仕様(スペック)なのだ。一級品のサーファーたちが使うのは材質の予算を度外視したスペシャル品。何が違うのかというと、まずはブランクスが違う。クラークではウルトラライトフォームを使用し、EPS、XTRでも同様に特Aとされるシェイパー確保分を用する。
一般人には少しずるいように感じるが、サーファーの頂点に立つプロサーファー、特にアンディやオッキーに代表される世界チャンピオン、プロ達には相撲界で言う横綱特例がサーフボード業界でも施行されている。
ガラスクロス、デッキ面は通常SとEの2層で巻いて行くのだが、プロ達のボードはガンタイプでないかぎり、Eクロスを下に一層、3/4パッチと呼ばれるノーズ部がないカットのクロスを足が乗るところだけに入れる。ノーズ部が弱いが、この重量バランスが重要と言うシエィ・ロペスの意見を聞いたことがある。
そしてレジン(樹脂)をその上に乗せ、メイヘム指名の熟練グラッサーが均一に樹脂をガラスクロスに浸透させ、余分な分を削いでいく。普通は強度を考えて、少し厚めに樹脂を残すのだが、プロスペックは可能な限り取り去ってしまう。
ポリエスター製だと強度に問題があって -- つまり弱すぎて、こうして一般販売などは考えられなかったのだが、今回NAKISURFが選んだのは強度に定評のあるXTR(EPS)。これならプロスペックを一般サーファーが使用してもクラークの一般販売並に強度を確保できた。
さらにプロスペックの秘密は、それらのオンフィンにある。「取り外し式フィンシステムに無い」とされるマジックを求めて、オンフィンを設定。オンフィンはかさばるし、フィンを変えられないデメリットがあるが、プロ達は複数のボードをそれぞれ持ち、こういったデメリットに対応している。
マジックと書いたが、これは「オンフィンのドライブ感」を求めて、なおかつメイヘムとのリレーションで各モデル、そして各々サーファーに合わせてフィンの角度、高さを調節してあるのでマジックになっているのかも知れない。事実、ほとんどのサーファーがオンフィンを使用している結果もある。私は最近リムーバブル(取り外し式)フィンの愛好者で、そのバリエーションを楽しんでいる。彼らトッププロとは取り組み方が違うので便利な性能を選んでいる。
ちなみにこのサイコワード・プロスペックは、フィン取り付け前にフィンベースの底を少しサンディングすることによって高さを抑え、そのボード性能を極限に高めるというXTRチューンを施してあることも見逃せない事実だ。
サンディングもメイヘムシェイプを理解した熟練者のみが、メイヘムとのコミュニケーションと共に微妙に付けられたエッジ、コンケイブ、レイルを忠実に仕上げていく。書いてみると簡単だが、グラッシング後のボードは、エッジ開始終了の位置やコンケイブの深さとプレーシングが実に重要だから納得できる。ここまで書くと、いかにプロサーファー達へのボードは採算度外視なのかがよくわかる。
完成したサーフボードは実に美しい。どの世界の道具でもプロ仕様は美しいが、サーフボードのそれは芸術に等しいだろう。重量を計ると2.45kg!通常のXTRのこのサイズだと2.88kgだから実に400gも軽量化に成功している。
で、私もプロの端くれなのでオーダーは当然プロスペック。 乗った感想はノーズに重量がない分、重量バランス的にノーズが振りやすく、自分のスタンスに合ったエッジとコンケイブでテイクオフからファーストターンがガシッと決まる。メイヘムとクラフトマンズの小さな魔法の積み重ねが凝縮されたサーフボード。ある意味究極で、極限まで理を詰めこんだロストのプロスペックXTRシリーズ。EPSシリーズも近日中に発売致します。(7/19/06)
















