ワサビ(山葵)は、アブラナ科ワサビ属の植物。日本原産。
食用。
独特の刺激性のある香味を持つ。
そのワサビではなく、ここではサーフボードのワサビのお話です。こんな始まりは古典的だなあ、と自分で思います。
さて、このワサビはこのNAKISURFをスタートさせる際に「何か目玉商品はないかなあ?」とメイヘムに話して、俺はSD2のバージョンアップを考えたのです。
ロスト社のベストセラーSD2。
これはフラットデッキ気味の少し厚めのレイルでした。小波はいいけど、パンチが出る波だと操作が少しむずかしかったので、思いきってテーパーレイルを提案して、シャークから盗用した幅広なアウトラインで回転性能を引き上げました。それをテイルで絞るのは、ダブルバンプ・ウイング。メイヘムが長い間アイディアとして持っていて、それをこのモデルで実現しました。そして面積のあるラウンドスクアッシュで波へのパンチ感を高めます。
最近シャークモデルが流行していますが、小波でも限りなくシャープな波乗りをしたい人への提案なのです。
複雑なボトム形状はメイヘムのお家芸。広く長いシングルコンケイブの中に、さらに2本のコンケイブを彫り込み、トライケイブとし、加速性能と操作性を確保しました。
メイヘムと話をすると、アンディ・アイアンズにトラッスルズWCT戦でワサビを渡したらものすごく気に入って、このデザインを2007年度のSD3とすることにしたそーです。ワサビはNAKISURFと日本正規代理店専用だから、アメリカでは少し仕様を換えて、SD3だなんて憎いね。
「トヨタ車がアメリカでものすごく評価され、しかも売れている」と聞かされたような、誇らしい気持ちとなった。
さて、11日前に届いたワサビ。ここでも書いたけど、最初にAVISO RNFに乗り、それからQちゃんことクアッド・ラウンドノーズ・フィッシュに乗り続けていた。
乗らなかった理由はこのペラペラのワサビには波が大きすぎたから。それだけ。
フィンはFUTUREボックスだったので、クアッドフィンのサイド2枚をつけて、バックフィンにはVF460を取り付けた。かっこいい。
マット(・アーチボルド)のシグネチャーモデルのアストロデッキを付け、ワックスアップしていざ出撃!
ワサビはカリフォルニア原産のサーフボード。それをここノースハワイのノースショアで試すことは究極のテストなんだろうな。
さて、最近毎日参拝しているソフトサンドに着いた。ここはリーフの廻りに砂が付き、この10日間はキラみたいなコンディションとなっている。今日からようやく波は下がり、ワサビの出番が来たのです。
ここを簡単に説明すると、大きな砂浜が左右に3kmほど拡がり、ここにだけ浅いリーフが突き出ている。その一番沖にバレルオンリーの浅いリーフがあり、そしてリーフと砂ミックスのバレル&リッピングピークはセカンドセクションと呼んだ。コーナー沖のメインブレイク、手前にリッピング3連発できるインサイド。
どこでサーフしてもディープな感覚となります。それほどまでに波は分厚く、掘れ、強く、斜面は長くと、波乗りのエッセンスが詰まっています。
上手く乗り継ぎ、砂浜に立つと、ロマンチックで胸にしみいる風情となる、そんな場所。
手強くてやさしく、大らかで清らか。
女の人に例えるとそんな波。
さて、俺のボードサイズは…。
えーと、5'10"x19"x2"と書いてある。んー、これじゃASPサーファークラスの浮力だよ。道理でペラペラで軽いわけだ。
昔取った杵柄というわけではないが、このボードは乗れるだろう。そしてこれはメイヘムからの回答だからと、自らを納得させる。
いつも言っているポジティブシンキング(前向き思考)ですね。
浮力が足りないだろうボードを腕に挟み、自信を持っている風に浜を歩いていると、向こうからジョン(・ペック)がダブルストリンガーを持ってやってきた。
少し世間話をして、一緒に沖に出ることにした。裸でも熱いのにジョンは長袖スプリングを来ている。ワックスの塗り方も渋いし、なんといっても眼光の深さにやられてしまった。さすが1960年代のレジェンドだけある。しかも超アンダーグラウンドだけど、ジョエル(・チューダー)がジェリーさんと共に愛してやまない伝説のサーファーだ。
なんでも仕草がかっこいいなあ。ちなみに彼はトヨタ・タコマ4WDに乗っている。(これもかっこいい)
さてさて、サーフボード話に戻る。
浮力がないけど、パドルは進むぞ。これなら大丈夫というくらい進む。
きっとレイルは薄いけど、ボリュームがあるのだろう。コンケイブの揚力かなあ。
沖に出ると、すぐに波は来なかった。早く乗りたくて、今か今かと水平線を見ながらワクワクしながら待っていた。
やがてセットのラインが見えた。昨日より西うねりっぽいので、ピークの芯より少し肩側に移動しながらテイクオフ。斜面は切り立ち、ブレイクが速いので走り抜けるだけだったが、この加速に驚く。ダックダイブのバランスもすばらしく、海面に上がってきてもぐらりともしない。
なぜだ?
浮力かバランスなのかは不明だが、浮かぶとすぐにパドリングを始められるのはありがたい。
戻る途中にジョンがセット波の一本目を乗った。おおー、いきなりワイプアウトだ!なぜか無性にかっこいい。ワイプアウトでさえも伝説に立ち会っている気がして、体が昂揚する。
「イエー、ジョンさん!」と心の中で叫んだ。
次の波はレイト気味だったが、少し無理やり降りると、そのまま浅いバレルに包まれた。水のカーテンがきれいだなあ。ジョンさんも見ている。うれしいなあ、とフェイスに出てきたらもう最高速に達し、カットバックで戻る。
フィンからキュューンと高音を出しながら波しぶきが上がっているのだろう。ターンをしているのが気持ちいい。フックに戻して、セクションエンドに引っかけるようにリッピング。
!!
ボードの返りが異常に速い。そのまま乗りつぎ、インサイドでロールインからフローターのアクション。
今週はRNF、Q-RNFとカービング傾向の強いボードを乗り込んできたからだろうけど、一瞬だけASP選手の気持ちとなるような錯覚に陥る。
加速。
あっというまに最高速を越えるものだから、ターンのタイミングを逃し、走りすぎてカットバックをしてしまった。少し速度を抑えめとし、ターンをセクションにはめこんでいったら大正解。
これも自分のサーフ能力がこのボードによって、エキスパート級となった気がし、感慨深く波待ちしていたが、次の波でワイプアウト。それを見たジョンが笑っている。俺も笑顔。
このボードデザインは、小波有利と謳っているだけあり、加速感、ターンの回り込み、テイクオフの安定性、すべてに満足し凱歌をあげる。
さてさて、そろそろまとめないとね。
現代のシェイパーは、みんな小波用ボードで勝負しています。いろんな珍しいボードデザインが出つくして、どんなのがでてもユーザーはびっくりしません。
そこにクラークフォームが昨年倒産し、さまざまな新素材が登場しました。その隙間を埋めるためにオーストラリア産、スペイン産、メキシコ産のブランクスが流行しました。そこで登場したのが、羽根のような新EPS素材、そしてこのオーストラリア産の真っ白なブランクスです。こんなボードを持てば、「えー?こんなに軽い」、または「このデザインかっこいい!」と話題がふくらんでいきます。
動き軽く、返しは速く、加速も申し分ないすばらしいワサビさん。元々は自分のデザインが世界のトップシェイパーによってこうして形になり、新素材を組み合わせたボードを使って、太平洋の真ん中の波に乗るというのはやっぱり凄いことです。(了、11/27/06)
【追加】
これを書いた翌日、南南西うねりが入ってきたので、南のホワイトハウスに。今海から上がってきたところだが、この波質でもワサビは大活躍で、今朝も満ちたりた気分だ。
薄いリップに引っかけるオフザリップ、トップからボトムまでのカービング。インサイドの小さいセクションの小回りという名ターンの数々を演出してくれた。「上手くなったのかなあ?」と自分で自惚れてしまうほど調子が良い。
こういうデザインなら『波乗りの達人」を簡単に産み出せるのかもしれないな。
(さらに追記)
今日がジョンさんの地元ケカハ小波を攻めるべく、車にワサビ5'10"を積んでいると、持っているボードからシャリシャリと音がした。
あれ?これはEPSなのか?と思い、手でデッキを軽く叩くと、「チャンシャン」と高音。EPSかも?と柳瀬に電話すると、「ストリンガーを見ればわかりますよ。その付近が泡だっているようであればEPSです」だって。
それならこれはまさしくEPSだ。ポリエスターだと思って今まで乗っていたから、自分のいい加減さにびっくり。で、このEPSは自身2本目の所有となる。
すごく硬い。前のクアッドシャークはもっと柔らかくフットマークができたけど、このEPSは今のところ何もついていない。テイルをハッチバックドアで軽くぶつけんだけど、黒くなっただけで壊れなかった。ポリエスターだったら壊れていただろう。テイル付近のクロス目が層となり、網目みたい。(11/30/06)
















