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COLE Firefly ユーザーボイス

2006年12月12日(火)

【AVISO】 COLE "Firefly"

アメリカ、カリフォルニア州でサーフボードに関わる仕事をしてきて12年。

シェイパーはもちろん、メーカーやサーフボード職人たちと多く関わってきた。
自身がプロサーファーであったこともあり、一般の人には足を踏み入れることのできない、工場やシェイピングルーム、またはモデル詳細のいきさつまで、いわば「聖域」での微細を顧客に伝えてビジネスにしてきた。

手前味噌で恐縮だが、超がつくほどの名匠とされるコール・シムラーと、NAKISURFとの間で独占販売権を得たのもそれまでのリレーションシップ、そして歴史と将来への希望以外には考えられない。

最近のサーフボードビジネスでは、モールド、新素材が目白押しだが、その中でもハイテクのリーダーで、その製造行程を超極秘としているAVISOのボード製作秘密を先日初めて知った。
彼らは秘密を保持するために工場をネバダ州に設立するほどの念の入れようだ。
だからここでもどこでもそれは言えないが、それはものすごいものである。
高圧力、高温…、あれ?もう言っちゃいそうになった。(笑)

そのAVISOとコールの初のコラボレーションであるファイアーフライ(FF)のプロトタイプが誕生した。
そしてそれを乗るという機会に恵まれた。

さて、このFFは3フィン全盛の時、コールがネイザン・フレッチャーと共に誰も乗らなかった4フィンに焦点を当て、長い間温め、育んできた新フィンシステムデザイン。

AVISO COLE FIREFLYを持つnaki

一時ソルトクリークの鬼マーク・ガブリエルが「ファイアーフライやばいぜ、乗ったか?」とそればかりみんなに聞いていたのがフラッシュバックされた。

その後、ネイザンと仲良くなったストレッチという奇妙なシェイパーがコールのデザイン、バットテイルまで全てを盗用し、「私のデザインだ!」と言い張り、シェイパー大賞まで取ったものだから、そのコールとネイザンのしてきた課程を知っているディノ・アンディーノを旗本に、当時者ネイザンまでも巻き込んで、コール擁護論を引き起こした。
この内容はハッピーマガジンにまで公表され、業界はちょっとした騒ぎとなった。
しかし当事者コールは涼しいもので、「言いたい奴には言わせておけばいい」と実力と創始者のみができる重く、対決しないという発言をして、イライラしていた周囲をはっとさせた。

話がそれた。
レイルにあるくぼみはコール考案のグラブコンケイブという試みで、クロスやストリンガーをそのままにレイル部の剛性を高めるというデザイン。
レイル剛性を高めると、ボトムターンでの伸びが変わる、折れが少なくなるという重要な利点を持つ。

これを受けて2006年度はファイアーワイアー、パラボリックストリンガーに代表される新システムが登場した。
このデザインが来年からやっているサーフボード工業デザインを新型だ!とハイプ(刺激)しているけど、これもこのコール印のグラブコンケイブを違う形で表現したのだ。
昨今の流行は全てコールのアイディアが実現されているに過ぎない。

その4フィンについてコールと話すと、フィンの角度と距離、そしてそれにあわせたコンケイブとレイル、ロッカーとのバランスが重要なのだと言い切った。

それら全てをシンクロナイズドさせて完全表現できなければAVISO社にはFFを製作させない、という条件付きで製作したのがこのプロトタイプFF。

AVISO COLE FIREFLYを持つnaki

AVISO社も世界的なカーボンファイバー技師がいるので、複雑なコールデザインの再現はお手のものとばかりに製作に入った。
だが通常3週間でサンプルは製作できるのだが、このFFの場合、実に倍の日数を費やした。
完成後AVISOは、すぐにコールのところにこのプロトサンプルを持ち込み、いかに彼の創造を再現できているかをチェックしてもらう。

この日のことはStaff Blogにもアップされているが、「ロッカー、レイル、コンケイブ、テイルVEE、フィンの位置、角度、重さ、バランス、ボリュームまで全て完璧だ」とコールから満点合格を得たのだ。
涙ぐむAVISO制作チーム。
夢と情熱の結晶なのだ。

ちなみにこのツール(モールド)を製作する費用は1万ドル。日本円で120万円もかかる。
モデルに対してではなく、サイズに対してだから現在FFは3サイズの生産が見込まれているからこれだけで準備金が360万円。

その記念すべきプロトモデルを試すべく、私が垂涎の読者になりかわり、我が身を挺してニューポートビーチのクローズアウト・バレルに突っ込み、その性能と強度を試してみることとなった。

話題の新作を試してみたいという興味本位なのだが、だれもがやりたいことはこちらがやるということを実践してみた。

このAVISO FFのサイズは5’10”x18-3/4”x2-1/4”と私には少し大きめだが、浮力が足りないよりはいい。
ワックスを塗り、いざいざと、その激浅のショアブレイクに向かった。

ボードをチェックするとポリエスターやEPSのFFと何も相違ないことに気づいた。

特にグラブコンケイブは完璧に再現されていて、黒光りするえぐれを眺めてうっとりとしてしまった。

そのグラブコンケイブの廻りには一段と濃い色の縁取りがされていて、AVISOのブラントはサンプル生産のみにこの色目が付いていると言う。

AVISO COLE FIREFLYを持つnaki

なぜ付いているのかを聞くと、この黒い縁取りは強度が強いもので、最初にグラブコンケイブの強度に対しての敬意だったのだが、実際には必要なく、製品版には反映しないそうだ。

AVISO COLE FIREFLYを持つnaki

バットテイルもカーボンファイバーが入り組んでいて、とてもセクシー。
他のAVISOのように中空なので、叩くと太鼓のような共鳴音がした。
ターンをすると、これがデッキ部だけ凹み、スプリングの役目をするのだろう。

全体の美しさに見とれていたらブラントはすでに海に入っていた。
波はどう見てもクローズアウト、日本風に言うところのダンパーである。

パドリングは安定している。
うれしいのでノーズをダンダンと叩き、海面に共鳴させた。
強度テストをするためにクローズアウトバレルに入り込み、ショックを与えてみようと巻き上げる波のコーナーからテイクオフ。

AVISO COLE FIREFLYに乗るnaki

強いオフショアの割にはテイクオフが早く、波の壁にレイルをセットし、バレルイン。

AVISO COLE FIREFLYに乗るnaki

すると一瞬真ん丸に拡がったバレルが下から吹き上げてくるフォームボール(泡)と交わった。
容赦ない一瞬のワイプアウト。
バックサイドだったのでレイルを掴んだまま、ノーズダイブしてしまった。
すると膝程度の浅さしかなかったので、ノーズはそのまま砂にめり込み、ボードを掴んだまま前転した。
「絶対に折れた….」と後悔するあれだ。
波の中でボードを離し、砂まみれになって上がってきてボードをチェックするが、まさかの無傷。
この強さには驚いた。
俺の体重をノーズにかけてしまったのに、本当に強いなあ、などと独り言。

4フィン独特の切れ込むようなターンもAVISOだとさらなる切れ味となる。

AVISO COLE FIREFLYに乗るnaki

AVISO-FFすごい!と吼えると、「いやまだお前は佳い波に乗っていない」とコールからの声が聞こえるようだった。

AVISO COLE FIREFLY

着替えている間、横に立てかけてこのボードを眺めていると、フェロモンが出ているようで、愛おしくなってしまった。
これをAVISO社に返さずに逃避行か?などという考えも横切るが、ぐっとこらえる。(笑)
AVISO社にとっても大事な001号だからね。

AVISO COLE FIREFLYに乗るnaki

車に積む時にそのフォルムが彗星みたいで、かっこいいなあ、とまたうっとりとした。
ニューポートビーチ市での2006年12月のことだった。
空にはふたご座流星群が見えるらしい。

(2006.12.12)

AVISO COLE FIREFLYに乗るnaki

 

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