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naki's blog

【naki’sコラム】vol.4 ロマン主義者たちの冒険/フィジーの向こう側、南東諸島編 PART3

旅も終焉に近づいてきたある日。俺たちは夜明けからヴィナカ、ディーパーズに詣で、期待以上の波を得ていた。島で遊び、本を読み、釣りをする、という日常。この永遠に感じられる時間が残り少なくなっていることはローガンの発する「後4日」、「残り3日」という毎朝のカウントダウンにも似た言葉から知っていた。
午後遅く、沸き出た雲に覆われ、寒く暗い曇天と化した。みんなはそれぞれビールやラムの酔いに入っていった。デッキから望遠レンズで波を見ていた俺のところにマットがやってきて、「軽くそこ(ディーパー)でやろうぜ」となり、小舟の船長ウエインを従えて、大好きなフィールドに戻り、沖に漕ぎ出た。すると分厚く覆われていた雲が切れ、波の壁が陽の逆光で金緑の、神々しい色となった。そらを見ると風は止み、視界いっぱいに湾曲した波の壁が、ところどころの縁で金緑の色を反射している。例によって不可能に思えるほど奥深くから波に滑り入ると、前方でリップは上部から弧を描き、バレルと呼ばれる円を形成した。そのフックに飛び込むと、重い破裂音が「ヴオッ」と低く大きく轟(とどろ)く。別世界の中に入り込んだ俺はまずボードを降下させ、その狂気のような瞬間を持続させた。精緻(せいち)なる出口に近づいて魂が昇華しているのか、何も聴こえなくなった。無音の、美しいガラス張りのような筒内部を滑り走っている。やがて壁が引きつり、出口が一瞬だけ持ち上がり、閉じた。前方には泡、があるだけだった。だがそのままの姿勢を保ち進行させると、体全体が衝撃に揺れ、そして波の外に放り出された。チャンネルから叫ぶマットの歓声が聞こえ、聴覚が戻ってきた。
遙々、偶然と必然の織りなし、何かの導きから人生を使って探し求めた波に出会えた。発熱と冷却を交互に繰り返し、こころは放心していた。

フィジーイメージ

そのまま数えられないほどの波を乗り、波待ちをしていると、そらは燃え上がり、沸くような暖色に覆われ、やがて蒼く暗い黄昏が降りてきた。ゴムボートに戻り、豊饒波を分かち合った男ーーマットと共にエンジン音を背中にトゥイタイという現在の家に戻っている。水平の線までが曖昧な彼方を見つめ、口をつぐみ、生活全てからはるばる遠く離れて想うことは、今をここで生きている幸せだった。それらを噛みしめて、そらを見ると、降るような何千という星の光芒。
この瞬間に万事、天運が深くつながった。きっとこの旅の円が閉じる瞬間に違いなく、こころのどこにも傷がない傑作な日を俺は忘れることができない。(了、5/5/04)

フィジーイメージ

【いつもの追記】
トゥイタイ号は大きな4本のマストを掲げ、追い風に乗り、予定より2時間も早く本島の港に戻ってきた。数百艘の船、港には暗い顔の物売りがたむろしている。現実が戻ってきたようで、港に着くなり走って売店まで行き、カリフォルニアの自宅まで電話をかけたチャドが「戦争もテロも大丈夫で、波はずっと小さいって!」と報告し、みんなを安心させた。荷を降ろし、トゥイタイ号の、新家族に「またすぐに来るから」と両手で握手をし、お別れをした。途中街で食事をするため車から降りた。渋滞する車をすり抜け、まるで紙のようなドル紙幣を両替すべく銀行窓口の列に並び、弱く息を吐き、今までの時間と島民の笑顔を思い返すと、するりと白日夢に陥った。

フィジーイメージ

輝く対岸から暗い岸にやってきた男は自分なのだろうか。ここには真の笑顔や血の沸騰も、こころの躍動もなかった。もちろん大自然と海の織りなす濃密のかけらすらない。車があふれ、金を数える人々。男は降りてきたのか登ってきたのかはわからないが、気ぜわしい現社会がここにはあり、憎しみや疲労という現代で生きていく重圧が硬くのしかかってきた。
男に今できることはたった今触れてきた原始のこころを想い、やさしくはかなく笑うことだけなのか….。

フィジーイメージ

「(飛行機の)時間が迫っているから飯は取りやめにして戻ろう!」とローガンが道の向こう側から叫んでいた。我に返ると、そこには街の喧噪と、だるい蒸し暑さがあった。

My outer island Fiji trip was one of the most exciting boats trips yet because we were exploring new territory, I felt just like I was a surfing Christopher Columbus. It was fricken beautiful to be with my woman,Aud and an amazing time with freinds.Thanks Fiji, Arch
P.S.
marlin curry sushi-unreal-sooo good, no need for wasabi,so good-try it, go head.

このフィジー南西諸島を廻るボートトリップは、人生で一番エキサイティングなものとなった。友人たちと新しいテリトリーを探す旅は、サーファー版コロンブスだな。サンキューフィジー!アーチ
追伸:マーリン・スシカレーは逸品だった。ワサビもいらないんだからな、今度試してみなよ。(笑)

フィジーイメージ

 

名前・あだ名:マット Matt Archbold (CA)
生年月日:1968年6月12日
ホームタウン:サンクレメンテ
スポンサー:RVCA, Crossing Wetsuits,Santa Cruz Surf board, Osiris, Astrodeck,T.Petterson
身長・体重:5’9″・165lb
サーフボード:5’11”-18 1/4-2 1/4 channel bottom, 5’11”-18 1/8-2 1/8,
5’11”-18 1/4-2 1/8 DBL SW,? 5’11”-18 1/4-2 1/4 DBL SW
6’0″ Round Tail, 6’1″-18 1/4-2 1/8 Pin Tail.Eric Arakawa,
6’3″-18 1/8-2 1/8 Pin Tail, 6’5″-18 1/8-2 1/8 Pin Tail,
今回の旅で好きな波は?:ラトゥーズ、ヴィナカ
どこでフィジータトゥー(リーフでの傷のこと)を入れました?:ヴィナカでバレルから出てこられなかったとき。
フィジーのローカルについてどう思いますか?:フレンドリーで幸せな心を持っている。

名前・あだ名:オードリー Audrey
ホームタウン:ニューポート
誰がストライプマーリンを掛けましたか?:スーパーマン
今回の旅で何匹の魚を釣りましたか?:いっぱい。確か6匹かしら。

名前・あだ名:アッシャー Asher Pacey (AU)
生年月日:1980年4月29日
ホームタウン:クーランガッタ
サーフボード:7’2″, 6’10”, 6’6″, 6’4″, 6’1″channel, 6’1″
スポンサー:Darcy Surfboards, Xcel wetsuits, SMP,Smith,100% Surf
どのくらい釣り道具を持ってきましたか?:今回のためにいっぱいもってきたよ、
たくさんのルアーとタックル、釣り竿を3本、トローリング用、キャスティング用、
ボトムフィッシング用に分けて。

名前・あだ名:ブラック Geoff Brack/Little Jimmy (CA)
生年月日:1983年12月13日
ホームタウン:サンクレメンテ
身長・体重:5’7″/140
スポンサー:Lost, Osiris, Island style, Dragon Eye wear
サーフボード::5’9″, 5’10”, 5’10”, 5’11”, 6’0″, 6’4″, 6’6″
フィジーのローカルについてどう思いますか?:今まで会った人の中で一番フレンドリー
マングローブについてどう思いますか?:パリダイス(スペルが違うので彼の造語かも)

名前・あだ名:ロボ John Robertson(CA)
生年月日:1981年11月15日
身長・体重:5’10″/150
ホームタウン:サンクレメンテ
サーフボード:5’11”, 6’0″, 6’1″, 6’4″, 6’10”
スポンサー:Rusty, Osiris, Vezix, Electric
何本バレルをメイクしましたか?:たくさんすぎてわからない。

名前・あだ名:イエン Ian(Fiji)
生年月日:1968年5月11日
ホームタウン:フィジー
Oakley, Viti Surf Legend
身長・体重:6’3″/95kg
サーフボード:6’0″から9’2″

名前・あだ名:ナキ naki (JP)
スポンサー:Body Glove, Lost, Cole, Astro Deck, Mil Frutas Design Clothing
生年月日:1965年10月26日
身長・体重:5’7″/63kg
サーフボード:6’0″,6’4”,6’8”
他に持っていったもの:カメラ、フィルム、タオル、足ひれ、トランクス、サングラス
これからしたいこと:第3の島に住みたい

名前・あだ名:ローガン Logan Dulien
生年月日:1979年4月22日
ホームタウン:ニューポートビーチ
スポンサー:RVCA, D.L.C., Vezix
仕事:ムービーディレクター, Potent production CEO
サーフボード:5’8″-1 1/8-17 3/4, 5’10”-2-18,6’6″-2 1/4-18 1/4, All D.L.C.,Videos too
好きなカメラ:キャノンG.L.

名前・あだ名:ケンウォージー Jason R, Kenworthy/Worthless(役立たず)
生年月日:1973年3月5日
身長・体重:5’11″/170lb
カメラ:EOS-3X2, EOS-1Vx2, Experimaental new Cannon 100 to 600IS Lens, EOS-1WS,Camera board
好きな本:Johny Cash, Autobio

名前・あだ名:チャド Chad Stewart Towersey/Tido(CA)
生年月日:1979年9月20日
ホームタウン:ニューポートビーチ
サーフボード:6’8″gun, 6’4″mega fish,6’2″shorty,D.L.C.only
スポンサー:Volcom, DLC Surfboards

名前・あだ名:トリー Tori Barron (HI)
生年月日:1980年1月27日
ホームタウン:サンセットビーチ(ハワイ)
身長・体重:5’6″/135lb
サーフボード:5’8″, 5’11”, 6’3″, 6’6″, Tim Barron Shapes 3rd stone glass jolos
スポンサー:Billabong, Osiris, Barron Shapes, Sticky bumps, Da Kine
i-podの中に何の曲が入ってますか?:Olivea, All Hawaiian music, Lovely Day, 2Pac,?? Bob Marley All, Still Plus

名前・あだ名:ジャラ Jarrah/Tutty(AU)
生年月日:1983年6月10日
ホームタウン:クーランガッタ
スポンサー:RVCA, NEV, Osiris, Jetty Surf
身長・体重:5’11’・75キロ
サーフボード:7’0″, 6’7′, 6’5″ 18 1/4 2 1/4, 6’3″, 6’3″ 18 1/4 2 1/4 round pins all, 6’2″
今回の旅で何匹の魚を釣りましたか?:ワフー、カジキ、たくさんのリーフフィッシュ
カジキについてどう思う?:いつも釣ることを夢見ていたんだ。俺の夢が叶った。すごくうれしい。

名前・あだ名:ガーソン Garson(FL/Costa Rica)
生年月日:1977年10月26日
ホームタウン:フロリダ、プレヤハモサ(コスタリカ)
サーフボード:5’10”, 5’10 1/2, 6’0″, 6’1 1/2, 6’3″, 6’6″, 7’2″
スポンサー:Volcom, Ron Jon, Vezix, Wooster, FAB
今回の旅で好きな波は?:ラトゥーズ
誰に一番感銘を受けましたか?:アーチボルト。彼だけはレベルがずば抜けていた。

名前・あだ名:ランディー Randy Bonds/The Kid(大きな子供)(CA)
生年月日:1977年5月10日
ホームタウン:サンタクルーズ
サーフボード:2 squash, 6’3″, 6’3″, 2 round pin, 6’6″, 6’8″ M-10 surfboards
スポンサー:Volcom, Reef, Smith, M10 surfboards, OAM
好きな本:Autobiography-Johny Cash

 

*(初出誌)サーフファースト#017 2004年7月号P132より26ページ掲載

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