新品・中古サーフボード販売、カスタムオーダー、ウェットスーツ、サーフィン用品など。NAKISURFは、プロサーファー、フォトグラファー、ルポライターで知られるNAKIこと、船木三秀のコンセプトサーフショップです。

naki's blog

【naki’sコラム】vol.50 心技体を磨く日

強力な、南南西うねりと南うねりのコンボがズドンズドンズドーンと切れ間なく届いている。
「それにしてもどうしてこんなにうねりがあるのか?」
と思い、米海軍が発信している海洋情報を調べてみると、やはりそこに詳しい概要が載っていた。

英文なので、俺なりに訳してみました。

このうねり(185-200度=南南西うねりのこと)は、ニュージーランドの東にあったサイクロン(温帯低気圧)によって6月18日~21日頃に作られました。
激しい強風、長く、広い距離を動かす風、嵐のように吹き荒れた風は約3日間ほぼ同じ位置にありました。
そしてそれは3500nm(6482km. 1nm=1.852km)ハワイから離れたところにありました。
このうねりは、185-200度のバンド(領域)でやってきていて、土曜日にピークを迎えます。
そして日曜日にその威力を下降させます。

もうひとつのうねり(175-185度=南うねりのこと)を作ったサイクロン(温帯低気圧)は、先週の月曜日(6/15)に南寄りにゆっくりと移動しながら、この火曜日まで8日間かけて発達しています。
ハワイから約4500nm(8334km)離れたところで、175-185度という狭い領域からの激しい強風によるうねりです。
これは次の火曜日まで間違いなくしっかりとしたうねりを出力し、その高波を保持し、もしかしたら大波をもたらすかもしれません。
続報は月から火曜日頃、このサイクロンがブイ51003を追い越すので、その際に新しいアップデート情報をします。

とあって、なんて詳しい概要なのだろうか!と息を飲みながらその英文を追いかけていた。
こうして南半球の、しかも8000kmの彼方からこのうねりが届いていることに壮大なロマンを感じた。
そして、別情報を見ると、
「南うねりをもたらせているこのサイクロンは、継続して発達しながら大きくなっている」
となっていて、これはこの波が当分続くことを意味しているようだ。
しばし大波の日々だなあ、とハワイにいることの凄さと怖さを感じる。
本日2ラウンド終了。
この日の波乗りはこちらに詳しい。
https://www.nakisurf.com/blog/naki/column/column-49
(コラム「波乗りは自分への挑戦」)

本日のホワイトハウス。
うねりがリーフに対して限界まで来ている。
昨日も会った伝説のオライアンと顔を合わせると、
「波が横からきちゃっていないか?」
というようなジェスチャーを苦い顔をしながらした。

西側までも水平線の彼方からブレイクする大波状態。
長老フレちゃんはBD3を駆って、闘牛岬の沖にセットし、
「スタンディングバレルを3発決めたんだ」
と誇らしげだった。
これもシークレット。

うねりが入ると海の表情も変わり、こんな恐ろしげな「ジャイアン波」も現れる。
特筆すべきは手前のカレントで、すごい流れでしかも渦を巻いているのはわかるだろうか?
ここを身ひとつで通るのは、サーファーの特権であろう。
一本波に乗るごとに、俺は年を取り、そして何にも代え難い経験を積み重ねていた。
「自分への挑戦」ということを昨日知り、それを今日も継続させられるのはすばらしい。
まるで日本の台風時のようですね。

翌日も、南うねりコンティニュー。
さらにうねりの高さを上げたので、西のシュネレガンズに行く。

南うねりの逆イナリーズ状態で、レフト(グーフィー)100%のバレルバレルバレル日となった。
波のコーナーが自分の前に来たら、全力で漕いで、さらに漕いでテイクオフをするときに右手でレイルを掴む。
そうしないと波壁から振り落とされてしまうような気がするのか、とにかく反射的にレイルを掴む。
そのままバレルインとなるわけだが、浅いのと水の量が多いので、セットアップするには覚悟が必要だ。
今日のうねりは砂の段を駆け上がり、バレル内部を一度大きくし、その後「スクエア」と呼ぶ段状に形を変える。
一瞬、軽自動車くらいは入れそうだった波穴が、その後、人がようやく通れる程度の狭さに縮小する。
その際に正確な滑走ラインを走っていないと、気がつく前に巻き上げられて逆さ視界になっていたり、『フォームボール』という泡絨毯みたいなボトムに吸い込まれることとなる。
こういうショアブレイク系のバレルメイクは見ていると簡単そうだが、実際には難易度がとても高いのです。
さらにはこういう横から来るうねり日は、強烈なサイドカレントが発生し、それは時速4km程度にも達していた。
そのため一本乗ると一度上がって、砂浜を上流まで歩き、またやりなおしをするというルーティーン。

濡れたまま歩くので、ワセリンをつけておかないと肉という肉が擦れるのもこんな日ですね。
強い流れがあるために一度巻かれるとなかなか上がらない拷問系で、気持ちの用意がなければたった一本の波で溺れてしまうだろう。
「絶対に(海面に)上がるぞ!」
という強い意志と、波の爆発下でもリラックスできる精神状態が必要とされるのです。

↓こんなブレイクとなっているシュネレガンズ、
今年(2009年)の夏は南うねりが当たり年だというので、大波、強波を多く経験できそうだ。

大波になると、『地獄からの使者』に思えるカイル鞠黒と一緒に行き、彼はお気に入りのキャッチサーフ5′0″で、俺はいつものBD3でサーフ↓

「キャッチサーフはボディボードと同じソフト素材なので、バレル内でボードが体にぶつかってきたときに安全だし、何よりもこのレイルが画期的で、どんな波壁もホールドできるんだ」
というカイルの言葉は実際にホワイトハウス、イナリーズをこのキャッチサーフで滑ってきているので、とても説得力がある。
「腕肩が熱くなってきたよな。もう上がろうか」
怒濤の2ラウンドをこなし、俺たちは「風雲たけし城」だったら間違いなく予選通過だよな、と波にやられまくったお互いを讃えあう。
ポートアレンのマックでダラー(1$)メニューのMcDouble(ダブルチーズバーガー、チーズ一枚。100円!)と、アイスクリームコーン(ソフトクリーム)の250円ランチを受け取ってドライブスルーを抜ける。
俺はどうしてもマックダブルを先に食べてからソフトクリームを食べたかったんだけど、溶けてベトベトになってしまい、やむなくソフトが先になってしまった。
カイルはそんな順番はおかまいなしで、
「こういうときは先にソフトを食べるのが合理的かつ当然だろ」
と言いながらデザート先行の逆食事をしていた。

オフィスに戻り、写真仕事。
写真集最終作業のキャプションを選んでいます。
昨日千葉、本日湘南にいるきんちゃんからは
「波ないよー、みっちゃんの力でなんとかしてね~」
と言うので、
「今メジャーはシカゴ対シカゴ、ニューヨーク対ニューヨークのインターリーグ戦をやってますよ~!野球観戦などいかがでしょうか?」
と返す。

今回は波を愛する人たちに向けて書いてみました。
夢のような波はあなたのそこまで来ています。
たとえ波のない日でもその時を思い描いて・・・。
「心技体」を磨く日。

(了、2009.06.27)

»Naki’sコラム一覧へ戻る