「ライフワーク」という言葉があります。
人生をかけて行なう仕事とは？
“いつも身近にあった森を開発の手から守り、
その森が世界遺産にまでなったという物語”
これは実際にあった話で、
白神山地に生きる自然への案内人、
市川さんという方のストーリーです。
ぼくはこの話を聞いて、
本当の意味でのライフワークを知りました。
白神山地のブナの森は、
腐葉土につつまれた自然の宝庫。
その森が美しい水を生み、
人も含めた生態系を作っています。
その森の中心にいるブナを伐採し、
材木で利益をあげられる杉の植林計画が進みました。
市川さんはこの計画に反対して、
豊かな自然の意味を訴えたそうです。
孤立無援の運動からはじまり、
徐々に賛同者が増えつづけて、
数十年後には白神山地が世界遺産に登録されました。
「山の中に入っていると、
街にいるときと頭が変わってくる。
街の頭が全然なくなる。
何にもなくなる。
頭の中がどんどん澄んで、
冴えていく。
そうして山と自分の境目がなくなっていく。
獣になっているんだね」
自然と向き合い、
ひたすら無心で過ごすとき、
こういった感覚になることがあります。
日の出前や夕暮後の海で、
ひとり黙々とサーフィンしているとき、
海との一体感を味わえます。
そんな身近な自然にも、
身を置くことで多くの発見があります。
「獣の頭になっているから、
初めて足を踏み入れたところでも、
こっちに行けば良いって直感が教えてくれる。
怪我をしないのは、
無理をしないから。
例えば、
急な斜面に大きなマイタケがあるとするでしょ。
大抵の人は頑張って無理してでも採ろうとする。
でも、私は危ないと思えばやめる。
これは、動物も同じような感覚で生きていると思う。
人間だけが無理をする」
自然を知る人の深い言葉ですね。
無理をするのは、
他人の目を意識するからだと思います。
他人の評価を気にして生きているのは人間だけ。
評価への期待がときには力になり、
ときにはプレッシャーとなって重くのしかかります。
純粋にサーフィンをしているとき、
そんなものをすべて超越している時間があります。
頭の中が空になり、
波のことだけを考える時間。
それは海が与えてくれる、
かけがえのない時間なんだと思います。
サーフィンというフィルターを通して、
海とつながりを持つこと。
それを人生のなかで、
長い時をかけて続けていくことも、
ライフワークのひとつだと思います。
無理することなく、
自分のペースに合わせて、
少しずつ限界を高めていくことで、
いつも新鮮な発見を見つけられる海の世界。
波乗りに魅了される日々を、
ライフワークとして楽しんでいきたいですね！
今週もよろしくお願いします。
（じゅん）
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