いろいろなボードに乗ることで、
サーフボードにある疑問が生まれました。
「長さの違いで乗り味がなぜここまで変わるのか?」
そこには「プレーニングエリア」というヒントがありました。
プレーニングエリアとは、
ノーズロッカーからテイルロッカーまでの、
「ボトム面のフラットな部分(水面との接地面)」をいいます。
※Planing(プレーニング)・・・1. 木材の平削り、2. 船体の滑走
では、
サーフボードの長さでどのように変化するのでしょうか?
[パドルスピード、滑走速度]
もっとも速く感じた順位は、
①ロングボード、
②ミッドレングス、
③幅広ミニボード、
④ショートボード、
このような順番になりました。
[クイック性・回転性]
①ショートボード、
②幅広ミニボード、
③ミッドレングス、
④ロングボード、
滑走速度とは逆のパターンになりました。
ここにプレーニングエリアが関わっているようです。
それぞれ乗ってみた実感を書いてみます。
【ロングボード(9 feet over)】
ロッカーのない広いプレーニングエリアで、
ボードが走り出したらかなりの速さを感じます。
小さな波でも劇的にテイクオフ可能となり、
面白いほどグングンと走っていけます。
その反面、
回転性はヒジョーに重く、
ターンは腰を入れて徐々にゆっくりとしていく必要があります。
急激なターンをしたい場合は、
テイルをグッと踏み込んでピボット的なターンとなります。
※CANVAS『パーチェス』…ぼくにロングの道を教えてくれたモデルです。
【ミッドレングス(6~8 feet)】
長さがあるのでプレーニングエリアが広く、
滑走速度が上がり安定性も増します。
その反面、クイックな回転性などは低下します。
ショートに比べて速度のある豪快な乗り味です。
小波でも簡単にテイクオフができる上に、
ボード自体にかなりの安定感あるので、
サーフィンを始める方やビギナーの方におすすめです。
エッグやガンなどもここに当てはまるでしょう。
※もちろん最高峰ミッドレングス『ミニノーズライダー』もここですね♪
【幅広ミニボード(5〜6 feet)】
ワイド幅がありロッカーが弱い分、
ショートボードよりもプレーニングエリアが広くなります。
なので速度を出しやすく滑走に安定感もあります。
ノーズエリアに幅を持たせることで、
テイクオフ時の加速と安定感も増します。
ノーズの浮力でパーリングもしにくくなります。
クイックな回転性も可能で一挙両得デザインです。
※CANVAS『バターゾーン』やDOC『MST』などミニシモンズ系はここに当てはまります。
【ショートボード(ハイパフォーマンス系)】
ノーズロッカーを強めることでパーリングしにくく、
クイックな回転性も可能になるので、
速いアクションに向いたハイパフォーマンス系デザインとなります。
その反面、反り返ったロッカーの抵抗が増し、
テイクオフや滑走時のスピードが低下します。
よってパワーのない小波には向かないデザインとなります。
『ルースキャノン』や『ライトニングキッカー』といった、
若干ワイドノーズを取り入れたデザインはCOLEの専売特許ですね。
□
【テイクオフについて】
パドリング時はノーズが少し上がり、
接地面はテイル側にズレていきます。
この角度が付いたノーズエリアが水の抵抗を生むので、
パドリングの初速(走り出し)では、
抵抗の大きいロングボードよりも、
ミニボードやショートボードのほうが速くなります。
ただ走り出した後は、
プレーニングエリアの広いロングやミッドレングスが劇的に速くなります。
テイクオフに関しては、
事前にスピードをつけたロングボードが一番速いのですが、
キックテイクオフ(刺し乗り)ができないので、
沖からうねりを狙って加速する必要があります。
一方でショートやミニボードは、
さっとボードを回してキックテイクオフができるので、
波がブレイクする寸前のポジションからは有利になると思います。
いろいろ試乗実験した結果、
幅広ミニボードが万能と言われることを理解しました。
適度なプレーニングエリアが生み出す加速性、
また幅があるアウトラインは安定感が良く、
短さで取り回しもしやすいデザインだからでしょう。
速度と回転性の両立バランスとも言えると思います。
サーフボード選びは、
どのようなサーフスタイルを目指すかで、
その人に合ったデザインを見出していく楽しさがあります。
もちろん波のサイズやパワー、
厚い波なのか、掘れた波なのか、
リッパブルな波か、グリグリのバレル波か、
そういったシチュエーションにも左右されます。
1本のボードですべてを極める達人系を目指すも良し、
クヌヤロとごゆるりの両極を楽しむも良し、
さまざまなボードでバラエティに富んだサーフライフを送るも良し、
まさにサーフィンには現代に忘れがちな自由さがあるのです。
その場のリズムに合わせて笑顔で波に乗ること。
波乗りが奏でるハッピーライフをどうぞお楽しみくださいね♪
(じゅん)
Warning: Trying to access array offset on value of type bool in /home/xs902368/nakisurf.com/public_html/blog/showroom/wp-content/themes/muum_tcd085/functions.php on line 746
とても興味深い内容です。
ライディングの解説DVDはよくありますが、板について掘り下げて説明するDVDやWeb siteはあまりないです。
ところで、以下の部分についてもう少し詳しく(?)教えていただけますと幸いです。
パドリング時はノーズが少し上がり、接地面はテイル側にズレていきます。
この角度が付いたノーズエリアが水の抵抗を生むので、
パドリングの初速では、ミニボードやショートボードが速くなります。
パドルすることで揚力が発生し、ノーズが上がることは理解できます。(←あってますか?)
角度が付いたノーズエリアが水の抵抗を生むとありますが、それはノーズエリアが長いロングのほうが
抵抗が大きいから、初速はミニボードやショートボードが早いという意味でしょうか?
また、記事については一般的なショートボードのことを記載されていると理解しておりますが、
ショートボードでも、ロッカーを抑えている所謂小波向けと言われている板はプレーニングエリアが
ミニボードのように長くなると思います。
そういった場合には、どうなるのか興味があります。
今後の板をオーダーする際に参考にいたしたく教えていただければ幸いです。
Warning: Trying to access array offset on value of type bool in /home/xs902368/nakisurf.com/public_html/blog/showroom/wp-content/themes/muum_tcd085/functions.php on line 746
たいちちさま
早速のコメントありがとうございます!
ノーズエリアの抵抗についてですが、
パドリングの揚力によってノーズが上がることで、
ボードの前面には水面の山が生まれるようです。
ちょうど船を思い出すと分かりやすいのですが、
走り出してすぐは船首下の水面が盛り上がるようなイメージでしょうか。
ボードが大きければ大きいほどその水面の盛り上がりも大きくなるようで、
初速(パドルをし始めた瞬間)に関してはロングのほうが重さを感じます。
(といってもパドル2〜3掻き程度の差ですが・・・)
逆にショートボードはその盛り上がりが小さい分2〜3掻きでトップスピードまで持っていけます。
いざスピードがついてしまえばロングのほうが速いというのが実感でした。
その分、反り返ったロッカーのプレーニングエリアが狭いショートは、
ロッカー部の水面抵抗と滑走速度で、パワーのない小波では失速しがちのような気がしました。
反面、ボードを簡単に返せるのでコンペなどアクション重視のサーフィンには向いているのでしょう。
たいちちさまがおっしゃる通りに、
ポイントノーズでもロッカーを抑えた小波向けショートは、
抵抗も少なく滑走面積も広いのでミニボードに近い速度を得られます。
幅の広いミニボードはレイルサーフィンで良さを発揮するのですが、
プレイングマンティスのような小波用ハイパフォーマンスは、
ショートとワイドミニの良いところを合わせたイメージで、
アクションもしやすく小波でもしっかりパワーが得られるデザインなのだと思います。
全体のアウトラインやボトムコンケイブなどによっても速度感は変わりますので、
今後もいろいろと乗り比べてご報告させていただきますね!
ご質問のおかげで、さらに掘り下げられました。ありがとうございます!