星の少ない夜空だった。
早朝の風の予報は、
「北北東の風3?4メートル」
狙いの南茨城は東まじりの風に弱く、
また急激に進んだ朝方の涼しさもあり、
「むむむ?」と少し迷うコンディション。
いくつかの天気予報をチェックすると、
1日を通して複雑に風向きが変わるようだった。
ここ数日は、
モニターと向かいあう日が続いていた。
こころが海を求めていたのだ。
仕事前の数時間。
あくまで「予報」と割り切って、
朝方の風の弱い時間帯にかけてみた。
夜明け間際の海は、
静寂に包まれているようだった。
北北西の微風。
波。
速めのブレイクだが、
十分に美しいと思えるフェイス。
朝陽が水面をキラキラと照らしてた。
「思いきり駆けられる」
静寂の海、
ひと度うねりが入り出せば、
そこには興奮と歓喜が入り乱れる。
それを知っているからこそ、
夜明けから車を走らせて「この場所」に向かうのだ。
無限に寄せては返すと思われる波。
しかしその一本一本には個性があった。
速く崩れてしまうもの。
波が厚く途中で消えていくもの。
しっかりとフェイスを張ってブレイクしていくもの。
白き波頭。
それらを越えて沖に向かう。
自分が乗る一本の波に狙いを定める。
胸の高鳴りをおさえつつ、
波のピークへと漕ぎ出す。
ブレイクする波。
テイクオフする瞬間は、
頭によぎるすべてが「空(くう)」となり、
その先の斜面だけを見つめている。
波のボトムからトップへ。
切り立つ波頭では、
ボードを寝かすように下方へ向ける。
走る。
熱くなる血。
このときを求めていたのだ。
崩れる波面を抜けてプルアウトしたとき、
飛翔したこころが静かに雄叫びをあげていた。
仕事前の豊満すぎるひととき。
約2時間の波乗りは、
欲を満たすには充分すぎるほどだった。
胸のうちは興奮から充足へと変わっていた。
.
あまり時間がなかったので高速で帰ることにした。
車のスピーカーからはお気に入りの音楽。
緩やかなリズムに身を委ねながら、
空いた高速をここちよく走る。
その音楽を遮るように、
甲高い警告音がきこえた。
ミラーには明滅する「赤い光」。
背中に冷たい汗を感じた。
すぐさま左車線により、
後方からの「赤い光」に追い越させる。
覆面パトカー。
すれ違いざまに発せられる声。
「この車両についてきてください。」
突きつけられた違反状、
それは高速道路の「通行帯違反」だった。
追い越し車線を走り続けたという違反である。
追い越しをかけたまま、
約2キロの距離を走り続けていたようだ。
うつくしき波の代償は、
点数1点と罰金6000円。
サーファーなら、
混雑の少ないグッドブレイクの代償としては、
些細なものと感じるべきだろうか。
いやはや、
これぞ人生におけるバランスの妙。
スピードは守っていたのですが、
このような違反があるとは・・・、
実際に取り締まられて勉強になりました。
高速道路のイチバン右車線は、
「追い越し用」なので走り続けちゃダメなんですね。
「あの波良かったなぁ?」
なんて気を抜いていたのが災いしたようです。
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このシーズン、豊富な波が続いています。
みなさまもどうか、
お帰りの運転には十分お気をつけくださいね!
Keep Surfing!! Safe Drive!!
(じゅん)
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