Facebookにあふれる大雪の写真、
そんな真っ白な世界にまじりながらも、
友人たちの南国トリップの投稿がたくさんアップされていました。
一番寒いシーズンを見越して、
インドネシアやハワイに旅する人が多く、
サーファーにとって今が旅シーズン真っただ中なんですね。
そんな旅の話題で思い出したのが、
ここに掲載した一枚の写真です。
カリフォルニアに居住していたころに、
時間を作ってはアメリカの自然保護区を旅していました。
アメリカには雄大な自然が残っていますが、
もはや人間の手で守らなければ、
無垢な状態を保てない場所も多く、
そういった保護区を国立公園としています。
“保護すべき自然”と”保護のための資金”。
経済社会ではお金の面が大きく関わるので、
観光と保護を両立させたアイデアが国立公園なのでしょう。
そのアイデアの源となった場所、
それがこのイエローストーンなのです。
世界初の国立公園となったイエローストーンは、
冬は豪雪、地下には世界最大級のマグマがあり、
野生動物があふれるパワースポットでした。
この写真は、
草が生い茂る川原にふと現れたエルク(大鹿)。
立派な角に雄々しさが宿ったその姿に見とれました。
そこには数人のフォトグラファーと観光客がいて、
とっさにカメラを構えたぼくに、
隣にいたおばさんフォトグラファーが話しかけてくれました。
「ちょうど良い時に来たわね。
運が良ければ交尾の瞬間が撮れるかもしれないわ。
あなたの望遠じゃ距離があるから大変でしょう。
これ予備のカメラ用だから使いなさい」
そういって余っていた三脚を貸してくれました。
その様相にトラベラーたちがどんどん集まってきて、
ギャラリーはあっという間に総勢30人ほどに増ていく状況。
結局、雄鹿と雌鹿は一定の距離を保ちながら、
目の前では結ばれることなく森の中に消えていきました。
おばさんフォトグラファーは、
「恥ずかしかったのかしら。
野生動物の撮影は長い時間が必要なの。
今回はおあずけね」
と笑っていました。
今考えてみれば、
助手を連れていたおばさんは、
動物専門の報道カメラマンだったのだろうと思います。
(笑顔がイキイキしていて素敵な人だったなぁ)
カメラをしまって帰路につく間、
その日起こったことに考えを巡らせていました。
「人知れずおこなわれる野生の営み」
たとえその瞬間を目撃できなかったとしても、
自分のカメラに残された現実の記録より、
謎と想像に満ちた世界のほうが魅力的ではないか、と。
実はこの日の前夜、
湖に沈む夕陽を撮影していた時のことです。
辺りはもうまっ暗になり、
駐車場まで数キロつづく木道を歩いていました。
そんなとき数メートル先の闇から怪しい光が!
その光にすべての身の毛が逆立ちました。
数メートルの距離にこちらを凝視する大きなエルク!
ブルル〜ッと大きな息を吐き出し、
ぼくめがけて向かってきました。
幸いにも木道には手すりがあったので、
そこから踏み入ってくることはなさそうですが、
手すりと飛び越えんばかりの勢いで近づこうとします。
カメラの三脚を高々と上げて威嚇すると、
エルクは完全な戦闘モードに入ってしまったようです。
ひたすら逃げるしかないと覚悟を決めて、
必死に反対方向に走り出しました。
手すり越しに追ってきたエルクでしたが、
木々や間欠泉が障害となって難を逃れることができました。
手すりがなければ本当に危なかったです。
その日の夕陽がこちら。
我が身を救ってくれた木道も写ってますね(笑)
「人には踏み入れられない自然の世界」
多くのことを経験したつもりでいても、
この世の中は分からないことだらけなんだと、
壮大なイエローストーンの自然が教えてくれました。
このところの大雪、
冬の低気圧で荒れる海、
神秘に満ちた自然の世界は日々の生活にも溢れています。
自然と歩調を合わせて、
ぼくらもまたまっすぐに生きることで、
少しずつ理解を深めていけるのだと思います。
波への憧れを抱いて生きる楽しさを享受しつつ・・・。
(じゅん)
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