現在のサーフィン観には、
2つの大きな流れがあると言われています。
その2つとは、
「Shredding (シュレッディング)」と、
「Wave Sliding (ウェーブ・スライディング)」。
これはサーフィンのスタイルにも通じる、
大きな2つの流れとなっています。
まず「シュレッディング」というのは、
いわゆるハイパフォーマンス系サーフィンのことで、
パワースナップなどの派手なリップアクション、
長きに渡り主流となっていた攻撃的マニューバーを表しています。
※サーフラインでの「Shredding」の定義
http://www.surfline.com/surfing-a-to-z/shredding-definition_69650/
一方で「ウェーブ・スライディング」とは、
ジョエル・チューダーを筆頭にカリフォルニアで再興した、
クラシックログ、フィッシュといったトランジションボードなど、
オルタナティブボードでのサーフィンを表しています。
「ウェーブ・スライディング」のもともとは、
行き過ぎたハイパフォーマンス系デザインへの、
対抗として生まれたアプローチだったようですが、
今ではニュースタンダードとなりつつあります。
(オルタナティブ・・・伝統・主流からはずれた)
みんなが同じような尖ったボードに乗り、
サーフスタイルという個性を失った世代への、
対抗的アプローチデザインだったのですね。
このライディング観の違いは、
ボードの見た目やマニューバーの違いだけでなく、
サーフィンに対するメンタル面の違いもある気がします。
「シュレッディング」なサーフィンでは、
スラスター(トライフィン)ボードが好まれます。
タイトでクイックな反応、
バーティカル(縦への動き)なマニューバー、
イージーな回転性を求めるデザインが主流です。
一方で、
「ウェーブ・スライディング」のサーフスタイルは、
シングルフィン、ツイン、クアッドなど、
フィンの数(に合わせたデザイン)も多種多様です。
ファット気味で浮力のあるボード、
テイクオフからグライドまで加速性を感じる、
レイルサーフィンを基本とするルースな乗り味など、
多様なマニューバーが魅力となっています。
名手タイラー・ウォーレンは、
オルタナティブボードの特徴をこう表現します。
「速くて、フリー。
オルタナティブなサーフボードに乗るときは、
スラスターとはまったく違う考え方をしなければならない。
まずメンタリティが違うんだ。
自分が何に乗っているかということを理解すること。
(オルタナティブボードと)スラスターとの大きな違いは、
レイルをしっかり使うこと。
もちろんテイル加重も大切だけど、テイルのみに偏らずに、
ぼくの場合、両足のつま先やかかとへの加重で微調整しているんだ」
タイラー・ウォーレンの代表作「Bar of Soap」など、
彼がボードをシェイプする際に意識することは、
「すごく速くて、ルース、そして反応が良い」
という、この3点を挙げています。
これはオルタナティブボードの魅力を、
ひいてはサーフィンの楽しさを端的に表しています。
▽タイラー・ウォーレンのサーフボードストック
https://www.nakisurfshop.com/SHOP/101712/list.html
もともとが自由を愛するサーフィンの気風において、
この「2つの大きな流れ」に境界線は存在しません。
もちろんショートとロングの垣根さえ、
本来なら存在するはずのないコトなのだと思います。
大きな海を行き交う潮流のごとく、
互いの流れが行き来し、
ときにはまじり合いながら、
それぞれの良さを高めていくカンケイ。
サーファーであるぼくらを主眼とすると、
多種多様なサーフボードがある今、
それはもっともシアワセな時代なのかも知れません。
「それぞれのボードを知ることで見える世界を楽しむ」
そこに本来の自由と個性があるのだと思います。
ハイパフォーマンスボードとオルタナティブボード、
それぞれ一本ずつをクルマに詰め込んで、
「今日の波はどんなコンディションだろうか?」
「その波をどっちのボードで楽しもうか?」
と、ワクワクしながら海に向かう朝。
サーフボードを選ぶ些細な時間も、
ぼくの人生には「かけがえのない欠片」になっています。
どうぞみなさまもスバラシイ波乗り時間をお過ごしください!!
(じゅん)
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