わたしたちサーファーは波乗りを通して、
自然の脅威は日常と隣り合わせだということを日々学んでいます。
この9月に起こった台風被害、河川の氾濫、噴火や地震、
世界的にみても平和な日本ですが、
自然災害がとても多い国だということを再確認しました。
地形的にとても複雑で自然豊かな島国。
わたしたちの祖先はその豊饒な自然に適宜順応し、
海、川、山、森、そのすべてに畏怖をもって接してきました。
八百万の神(すべての自然物に神が宿るという考え方)という言葉があるように、
あらゆる自然現象は神(自然)の意思によるものとして、
神道によって自分たちの生活をつねに戒めてきたのでしょう。
生きていくための恩恵があれば、戒めとしての祟りもある。
日本人はその繰り返しの中で生命を享受してきたように思います。
たとえば各地にある「お祭り」。
もともとは五穀豊穣や無病息災など、
自然に感謝する意味を込めて行われたものが多いそうです。
新たな土地に家を建てる際も、
地鎮祭を行ない、その土地に住む神さまを祝い鎮める。
自然と寄り添いながら生きる民。
春の訪れとともに大地に種をまき、
夏は台風や豪雨の被害にあわないことを願い、
秋にやってくる実りに感謝をささげ、
冬の寒さに耐えうる体と精神を養う。
わたしたちは季節の移り変わりにあわせて、
願いや祈り、感謝をお祭りという形で表現していたのですね。
今回の記録的な大雨で、
わたしの故郷の栃木県や隣の茨城県では、
多大なる水害、被害が発生しました。
子どもの頃から川遊びで慣れ親しんだ川だったので、
今回の洪水被害には驚くばかりでした。
思い返せば、祖父から、
鬼怒川は「鬼が怒る川」といって昔から洪水が多いんだよ、
…と子ども時代に言われていたことをふと思い出しました。
わたしたちサーファーは、
海と接することで楽しみながら自然を学んでいます。
ときに自然がみせる脅威やパワーも目の当たりにします。
楽しさ、恐ろしさ、強靭さ、癒し、
たった1日で変化してしまう波の姿。
サーファーの意思とはつねに無関係にある波に、
わたしたちは適宜順応して波に乗っていくだけ。
自然と生きるということは、
「自然を制御すること」ではなく、
「自然に順応して生きること」なのでしょう。
それらを肌を通して学べる波乗りの世界はすばらしいです。
今の生活環境はさまざまな人工物で埋め尽くされていますが、
わたしたちも自然物の一部であることを忘れてはいけないと、
日々、自然を通して再確認していきたいものです。
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マンデーヤザワ
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