はじめての海。
そこは興味と驚き、歓喜とおののき、
期待と不安が入り交じる最高の場所だった。
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高校生の頃に、
ある雑誌でみた波を滑走する人たち。
その写真が脳裏に焼き付いた。
その記憶はやがて鮮明なイメージとなり、
大きくふくらんでいった。
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18歳の春。
ぼくは「波乗りへの一歩」を踏み出した。
オーストラリアに留学していた友人にサーフボードを借りて、
ハダカではまだ冷たい海に漕ぎ出していった。
ボードの上にいることさえままならず、
白い波にただただ飲み込まれるだけだった。
やっとの思いで沖に出られても、
波待ちのポーズさえ取ることができなかった。
それでも楽しくて楽しくて、海へと通いつめる日々。
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少しずつ、
本当に少しずつだが、
進歩していくことに震えるほど感動した。
波のパワーを受けたサーフボードが、
スピードを得て海面を走り出すあの快感。
はじめてボードに立てた瞬間の歓び。
サーファーならば誰もがその感覚を知っている。
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覚えたてのダックダイブ。
波をくぐるときに目を開けて、
頭の上を越えていく白波を目に焼きつけた。
陸上では味わうことができない、
そのすべての景色に興奮を覚えた。
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友人と酒を呑めば波乗りの話ばかり。
波のことを考えれば、
すべてが”うわの空”になった。
彼女、お金、食事でさえニの次になり、
波乗りに夢中になった。
気付けば海がすべてだった。
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社会人になり、妻子を持ち、
いつの日か、
人生に「責任」というものを持つようになった。
あの海に夢中だった日々から何が変わったのだろうか。
毎日のリズム、生活スタイル、金銭感覚、
それらは大きく変わり、
いわゆる「大人」と呼ばれる人たちの仲間入りをしたようだ。
ただ「自由」だけを求めていた日々は、
遠い昔のことのように感じる。
現実を考え、
安定した将来を望むことが当然になった。
・・・それでも変わらないものがある。
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波乗りをはじめたあの日、
冷たい海に足を踏み出したときのこと。
その感動は今も変わらずに続いている。
海に行くたびに変わらず続いている。
20年たった今も、
海は興味と驚き、歓喜とおののき、
期待と不安が入り交じる最高の場所なのだ。
ひとつの人生において、
「自由」とは何度も形を変えつつ、
こころの片隅に灯りつづける火のようなものなのかもしれない。
その火が消えない限り、
日々の営みには感動があふれ、
輝きに満ちたライフを送ることができるのだろう。
冬を越えて春になり、
暑い夏が目前に迫ってきた。
ぼくはまた、
波へと向かう「あの一歩」に想いを寄せる。
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これからサーフィンを始めようとしている方、
NAKISURFがその想いを応援いたしますので、
ぜひ海への一歩を踏み出してみませんか?
最高の夏が待っていますよ?♪
(じゅん)
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