「自分がもし炭坑夫だったら、
地下に人生の教訓を掘り出そうと努力したであろう。
ぼくにあっては、
飛行機は決して目的ではなくて手段だ。
自分を創り上げる手段だ。
農夫が鋤(すき)を用いて田畑を耕すように、
ぼくは飛行機を用いて自分を耕すのだ」
いまから69年前、
あるひとりの思想家がこの世を去りました。
彼の名はサン・テグジュペリ。
南米の新航路調査などをおこないつつ、
作家として数々の名作を残した人物です。
代表作『星の王子さま』は、
今もたくさんの人に読み継がれる名作。
サン・テグジュペリは、
自身の飛行経験を通して得た思想を、
うつくしく哲学的な文章という形で、
人々にいまも伝え続けています。
「ひとり空を飛行すること」で彼の思想は、
より創造的なものになっていったのでしょう。
普通では経験できないことから、
多くの知識を与えられて、
小説という形で人々に感動を伝えたのです。
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普通では経験できないこと。
それはサーフィンにもいえることだと思います。
サーフボード一本で海に漕ぎ出して、
盛り上がる海水を追いかけて、
うごめく水面を浮遊しながら滑っていく。
これは普段生活する陸上では想像もつかない行為で、
何もかもが斬新で不思議な世界です。
沖から海を見れば、
遥か続く水平線だけがあって、
陸側を見れば、
人々が普段の生活をする土地が広がっている。
そこで得られるものは、
空を飛行することにも似ている気がします。
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サーフィンは道具をそろえることから始まり、
ひとり海に漕ぎ出すところまで、
未経験の方にはなかなか想像ができないために、
敷居が高いスポーツと思われがちです。
しかし、
実際にサーフィンをしている方からすれば、
思い立って始めてしまえば、
「難しいけど感動的で楽しいスポーツ」で、
輝かしい波乗りライフが幕を開けます。
それどころか、
その難しさに一気にのめり込み、
海のこと、道具のこと、天気のこと、
そのすべてが楽しくて仕方ない日々となります。
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そう考えてみると、
サーフィンをする方の言葉は、
まだ波乗りを知らない人への魔法の言葉になるのかもしれません。
期待がふくらむ海までの道のり、
朝陽に照らされた海面の輝き、
沖から迫ってくるうねりへのドキドキ感、
波のパワーを一気に感じる瞬間、
波の斜面がみせる美しさ。
ぼくらがその経験を多くの人に伝えることで、
本当の海の大切さを伝播できるはずです。
その場所で経験した言葉には、
純粋な楽しさと感動があふれ、
より良い「海とのつきあい方」を創造していく使命があるのかもしれません。
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飛行家サン・テグジュペリはこう残しています。
「大きな冒険や勝利、創造的な行動に邁進するとき、人はこの上ない喜びを得る」
たった一人の思想家の思いは、
ストーリーという形で時代を超えて語り継がれ、
世界中の人々のこころに浸透しています。
空の冒険、
海の冒険、
空と海は似ているのかもしれません。
「空を自由に飛ぶ=波に自由に乗ること」
http://blog.nakisurf.com/naki/archives/45475
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暑い夏がやってきました。
サーフィン世界へのトビラが大きく開かれる季節です。
サーフィンという創造的な行動に邁進しつつ、
海の良さや波乗りの楽しさを、
より多くの人に伝えることで、
ヨロコビを分かち合える環境づくりも進めたいですね。
海の大切さを伝えるのはサーファーの使命。
サーファー同士が手と手をつなぎあい、
海とのライフスタイルや未来を、
希望に満ちたものにしていきましょう!!
(じゅん)
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