「自分のサーフィンに合ったサーフボードのタイプ」
この乗り味に出会ったときの衝撃は、
まるで「はじめて波に乗れたときの楽しさ」に似ています。
ましてや様々なボードに乗った経験があれば、
なおさらにその驚きは大きなモノになるでしょう。
今日はぼくが経験した、そんなお話を書きたいと思います。
トライフィン全盛期にサーフィンを始めて、
攻撃的なサーフィンこそがすべてだった時代に、
ぼくはカリフォルニアのサンディエゴに留学しました。
当時はケリーやアンディ・アイアンズがWCTを賑わし、
エアリアル専門のコンテストツアーが開かれるほど、
トライフィンのハイパフォーマンスボード全盛。
そんな中でも、
ジョエル・チューダーやスキップ・フライがいた、
サンディエゴ(北サンディエゴ群)には特有の流れがあり、
シングルフィンやフィッシュなどに乗り、
波をクルーズする巧いサーファーが多かったのです。
そしてカリフォルニアを席巻したフィッシュのブーム。
ぼくはその流れに影響されて、
早速レトロフィッシュを1本購入しました。
フィッシュの初乗り、
そして衝撃のサーフ体験。
そのスムーズな加速感と浮遊感に心を奪われました。
軽くて簡単に動かせるショートボードと違い、
つねにレイルの入りを意識していないと、
ターンすることが難しい反面、
レイルをしっかり入れた際のスピード感や、
波の中腹からトップでの速さ、
そのグライド感覚はショートボードにないものでした。
「これこそが自分に合うサーフボード形状かもしれない!」
そんな風に感じたことを覚えています。
それからというもの、
食事を肉から魚メインに変えて、
ハンバーガーも柔らかい白身のフィッシュバーガーに。
のり弁の魚フライはソースでなく醤油をかけて、
焼いたサンマの骨をキレイに抜く技術を磨き、
さらには魚の気持ちを知るためにフィッシングも始めました。
なかでも美しい自然の中でする、
トラウトフィッシングは最高に楽しいです。
もちろんフィッシュであらゆる波にも乗ってきました。
上の写真は広範囲の波に適応するフィッシュボードで、
中央カリフォルニアをトリップしたときの写真です。
人それぞれに波乗りのクセや動きがありますが、
自分のサーフィンのスタイルには、
スラスターやシングルフィンよりも、
ツインフィンの形状が合っているようで、
じつにスムーズな気分でサーフィンができます。
良い波に乗れたあとには思わず、
「フィ〜ッシュ!」と叫んでしまう自分がいるのです。
サンディエゴ・フィッシュ。
スティーブ・リズというニーボーダーが生みの親で、
今もさまざまな進化の過程にあるデザインだそうです。
そしてその元にあるのはボブ・シモンズの流体力学デザイン。
当時のサンディエゴでは、
フィッシュのルーツを探るプロジェクトも展開されていました。
ラホーヤでサーフィン中に亡くなった謎に満ちたシモンズ。
サーフボードがまだクラフト品だった時代、
シモンズが削った革新的なボードは、
デュアル・フィン(ツインフィン)で効果を発揮したそうです。
今はさまざまな改良のなかで、
「ツイン」、「クアッド」、「ツイン+スタビ」に進化し、
速さだけでなくコントロール性能も取り込んだデザインになっています。
そう考えると、
ぼくはシモンズ系ボードに魅せられているのかもしれません。
Tyler Warren『Bar of Soap』、
DOC『ミニシモンズ・サング』、『フライングタートル V12』
このあたりが純粋なミニシモンズ系デザインですね。
Tyler Warren Shapesには、
まさにサンディエゴ・フィッシュのデザイン、
『Dream Fish(ドリーム・フィッシュ)』があります。
フィッシュの良さを残しつつ、
タイラーによるモダンアレンジを施したフィッシュ。
ハイドロダイナミック・フォルムの加速性に、
タイラーの特徴であるスムーズ&パフォーマンス性を加えた、
まさにスーパーフィッシュボードの様相を呈しています。
「今ふたたびのフィッシュ」
巷ではすっかりフィッシュブームが去った今、
このフィッシュこそが今もっとも興味をそそられるボードです。
一時のフィッシュブームが去った今だからこそ、
「ホンモノの真価」を問われるフィッシュデザイン。
タイラー謹製のドリームフィッシュには、
いにしえのフィッシュをはるかに超えた、
加速性能とパフォーマンスが宿っているのです。
「レッドブル、翼をさずける〜!」ではありませんが、
ドリームフィッシュが、
「サーファーに尾ひれを授ける〜!」
今年の夏は尾ひれのあるボードで、
波を自由に遊泳したいと思います♪
みなさまも自分のサーフィンに合うボードと出会って、
最高のサマーグライドを実現させてくださいね!
(じゅん)
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