元ブーギャルのGWストーリー_小笠原の塩

お知らせ

あなたはブーゲン派? それともナインボール派?

これにビビビッと来た方はいますか?

今年のGWが始まる数日前。

姉御肌の友人マキチンが我が家へ遊びに来てくれました。

「GWに女4人で小笠原に行くんだ?」なんて会話から小笠原話がスタートし、

彼女が今から11年前に、小笠原へ住み込みバイトへ出た話を聞いた。

小笠原の父島には、かつてブーゲンとナインボールというキャバレー的なお店があり(今も?)、

ブーゲンはサーファー系の色黒な女の子が、ナインボールには色白の女の子が働いていたそうで(笑)、

小笠原の海に何かを求めて移り住んだ女の子達が多くバイトしていたそうな。

BBをこよなく愛するマキチンは、当然のように色黒派のブーゲンで働きながら、

沢山のsurfer girl達と小笠原時間を満喫した元ブーギャル(ブーゲンで働く子の意 らしい 笑)なのだ。

そんなマキチンがGWの小笠原旅から戻って書いた日記がとても心に響くものだったので、

こちらに掲載させていただこうと思います。

ではではぜひぜひ。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

? A Tribute Column to 大木眞さん ?

11年前、23歳、Laid-Back極まりないアタシは(数年に渡るCA生活から)帰国後
いきなりの都会生活に馴染めず、思いつきだけで父島へ向かった。
それは、「父の余命は長くてあと2年なのよ
と、母に告げられたほんの半月後ぐらいだった。

”普通に就職して社会人になる”ということへ心の準備ができないまま。
これからうちの家族はどうなってしまうんだろうとか、
言葉にできない不安や悶々とした気持ちを胸にとにかく小笠原丸に飛び乗った。

スーツケース半分は好きなCDとVictorのラジカセに深夜特急などの旅にまつわる本。
とりあえず先のことは後で考えようとデッキで風に吹かれながら思っていた。
うねる青い青い波間を見つめながら極力無心を決め込んだ。

知らない土地へ行くことへの抵抗感や所持金が果てしなく少ないことへの心配はほとんどなかった。
むしろ、歩けば人や車や物だらけの都市部から少しでも遠ざかりたかったし、
TVもろくに写らないような静かな場所へ行きたい気持ちのほうが強かった。

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当時、50mも無いような小さな商店街に畳3畳分ぐらいのスペースしかない
あばら家のようなお店があった。ドアを開け中に入るとうちの父親と同年代、
雰囲気もよく似たおじさんがバンジョーを弾いていた。
手編みっぽいラスタ柄のベレーやスカーフ、白い貝やビーチグラスを麻紐で結んだだけの
シンプルなアクセサリー類、ジャンベとか。なんでもありの雑貨屋さんだった。

レジの前にパッケージされた「小笠原の塩」が遠慮がちにカゴに入って売られていた。
真っ白で目が粗く、素朴なパッケージもかわいかったのでお土産用に何個か買った。

おじさんが「お買い上げありがとう。君はかわいいから一曲弾いてあげるよ。」と
バンジョーを演奏してくれた。Country & Westernの聞き覚えのある曲だった。
内地の父はどうしているのかな? とふと頭の片隅で思った。

おじさんがあまりにフレンドリーなので色々とこちらからも話してみた。
父は大学時代の友人といまだにCountry Travelersという下手なバンドやってますよ。とか。

おじさんはしばらくじーっと私の顔を見つめ、その瞳がだんだん赤くなり、
そして突然涙をこぼした。かつて過ごした内地での生活への懐かしさや、
繋がることの嬉しさから思わず感極まって泣いてしまったんだって。

おじさんは青学時代”青山Blue Mountain Boys”というCountry & Western Bandのメンバーだった。
(マイ母は当時追っかけでライブによく行ったそうな。
お洒落でかっこよくてモテモテバンドだったらしい。略称はブルマン。)

子供のような笑顔で色々な楽器を奥から出してきて見せてくれ、演奏してくれた。
「もともと茅ヶ崎出身、今は小笠原で塩を作っているんだ、せがれは君と同じ歳ごろだよ
」と
嬉しそうに話してくれた。

それが最初で最後に見た大木眞さんの姿。
内地へ戻ってからもたまに物産展で見かけては懐かしく父島を思い買い続けた大木さんの塩。

????????????????????

「今回の旅でまたどこかで再会できるかしら?」と期待しつつ、
父島到着初日に「小笠原の塩」をお土産屋さんで買った。
パッケージの名前が大木洋となっていた。
二代目なのかしらと思ってさほど気にもとめなかった。
味や粒の感じも前買ったときとちょっと風味が違うような気もしたけど
自然の甘みがあるところは昔と変わらない。世界で一番好きな天然塩の味だ。

2日目の夜、泊まっている奥村のトレーラーハウスから歩いて行ける距離にあるヤンキータウンへ。
客層はほとんど父島ローカルという観光色が限りなく薄いバーだ。
島唯一のサーフショップRAOオーナー宮川さんがいい店だよと教えてくれ、
宿近くに住んでる緑のJerry Lopezロング板のKenさんからも、
今晩ライブあるよとオススメされていたし、とにかくどんな感じなのか様子見のつもりで。

Jiroさんという一風変わった酔っ払いおじさんといつの間にか仲良くなっていた。
70年代Huntington Beachに住みBenihanaで料理修行してた話、
白いワーゲンに乗ってた話、つながる繋がる果てしないStory。

背中に大きなイーグルが翼を広げたTシャツは彼がエアブラシで描いた作品だとか。

島社会はいい意味でも悪い意味でもかなり狭いのでお互いほとんどが知り合いで顔見知り、、、
というのは11年前と変わらず。Jiroさんに「小笠原の塩」の大木さんをご存知ですか、と聞いてみた。
このバーにライブ聞きに偶然来ていたりしないかなーという期待感を胸に…。

「君、大木眞を知っているの…?あいつは数年前亡くなったんだよ。ヨットの海難事故で…。
今は息子の洋が塩造りを継いでいるよ。コーヒー山に行けば息子の洋に会える。
是非会ってやって昔の話をしてあげてくれよ。」

私は過去にタイムスリップした証言者なのかしら。
一瞬言葉が出ない。頭の中で大木さんと過ごした少ない時間の断片的な記憶を辿る。

「あいつの最期は壮絶だった。ひとりヨットで海に出た時強風にでも煽られたらしいんだよ。
頭を強打したのか意識朦朧としていくなか自分の体を海に放り出されないよう
ロープでマストに縛り付けたんだよ。最期の力を振り絞ったんじゃないかな。
そのままヨットは流され数日後遺体と共に浜に打ち上げられてたんだよ。行方不明にはならずにね…。」

素敵な大木さんが亡くなってしまったことは本当に悲しい出来事だけど、
ウォーターマンらしいカッコいい死に様だなと思った。

死に様というよりは生き様かな。
どちらだろう。
Everything happens for a reason…

????????????????????

この話は映画でもなく小説でもなく今回の旅で私に与えられるべくして与えられた衝撃のストーリー。

「島が人を呼ぶの。来るべきときが来たらその人を選んで島が呼ぶんだよ。」

しのちゃんが行きの船で言ってくれた。
そんな言葉を胸に噛み締めながら残りの時間を過ごした。

「大らかな気持ちで受け入れ、手を差し伸べてあげることが本当の優しさであるということを、
この旅で出会った人々や大自然に教えられた。
都会に居てもこのPeace Mentalityは忘れたくないなと強く思った。

最終日、船のデッキから少しずつ遠ざかっていく父島の光る水面や山、
鳥や植物、自然の息吹のひとつひとつが愛しくて、大雨に打たれながらひたすら眺め続けた。

泣いている姿を人に見せるのは嫌いだけど、23歳だった過去の自分の気持ちと今がシンクロして
泣きたくないのに涙がボロボロこぼれてしまった。島を去るのが悲しかった訳じゃなく、
過去の自分と対面していたんだろうと思う。

仲間たちがシュノーケルや山歩きを通じてここの自然の素晴らしさを体感してくれたのなら
遠く離れた”秘密の場所”を教えた甲斐はあるのかしら。

Bonin Blueが広がる海洋島父島、いつも心の理想郷として思い出すことになりそう。
思い出深い優しい時間と旅をありがとう。

大木眞さんのご冥福を心からお祈りいたします。

先代の意思を継いで塩造りをされている二代目にはこの味を守り続け頑張って頂きたいです。

■小笠原の塩
http://www.ogasawaranoshio.com/index.html
■大木眞さんの記事
http://amanakuni.net/Namaenonai-shinbun/Namae91-Ogasawara.html

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コメント

    • min
    • 2009.05.13

    マキチンさん、僕の父の思い出話をありがとうございます。

    • Maki
    • 2009.05.13

    minさん

    はじめまして。(・・・という気がしないのですが)
    弟さんでしょうか。こちらこそありがとうございます。
    コメントを読み胸が熱くなりました。
    大木さんとは一度しかお会いしたことがなかったのですが、
    小笠原の塩を通じていつも温かい素敵な笑顔やお人柄を思い出しておりました。
    父島旅行の際、小港へ向かう道にコーヒー山を見つけたのですが、
    結局お兄様とは会えずじまいの旅となってしまい残念に思っていたところです。
    こうしてご親族の方からリアルにコメントを頂けることを大変嬉しく思っております。

    Yusuke君、

    Blog編集ありがとう。
    写真も私が一番気に入っている一枚を選んでくれたことに感激しました。
    この写真は朝一人早起きしドライブがてら宮ノ浜で見た朝日なの。
    (波乗りもここでした)
    Lets meet up soon, my friend!

    • yusuke
    • 2009.05.13

    >minさん
    このストーリー、もの凄い繋がりで鳥肌が立ちました。
    今朝トモキくんからメールがあり、
    このお話がminくんのお父さんのことだと知りました。
    トモキくんが載ってるってことで、昨日たまたまコンビニで
    GAINERを買ったら、minくんも出ててびっくりしました。
    んで、夜にブログを書きながら、minくんの名字を思い出し、
    「minくんは小笠原に住んでいたから、もしかして…?」なんて
    思っていたのですが、まさかその通りだったとは…。
    昨日という1日がとても不思議でなりません。
    今度トモキくんと湘南遊びにいきますね。
    minくん、またお会いできる日を楽しみにしてます。

    >マキチン
    素晴らしい旅の思い出、そして心に響くストーリー、
    シェアしてくれてありがとう。
    沢山の出会いが廻り巡って一つにつながって、
    驚きを通り越して心が震えていました。
    近いうちに、小笠原の塩でご飯を作ってゆっくり飲みましょう。

    • Maki
    • 2009.05.14

    Yusuke君、
    >近いうちに、小笠原の塩でご飯を作ってゆっくり飲みましょう。
    それSounds fantastic!
    先週波乗りにおにぎりにして持っていったらすごい美味しかったよ!
    ゆで卵+塩、トマト+塩とかシンプルなものほどこの塩の美味しさを感じるのだよ。

  1. >マキチン
    ん?、想像するだけですごい楽しみだね。
    来週にでもぜひやりましょー!

    • min
    • 2009.05.28

    >Yusuke君、お久しぶりです。
    すごい偶然なつながりですね!
    以前、トモキ君に紹介してもらってからずっと会っていませんが、これを機会にまたお会いしたいですね。

    ゲイナー、見てしまいましたか(笑)。
    ホントはバシッと決めてる写真も渡していたのですが、ちょっとダサめの普通な写真が採用されました(涙)

    >Makiさん、こんにちは。
    僕が島にいた時とギリギリかぶってないかな?
    ブーゲンには出入りしづらい諸事情があったので(笑)、かぶっていても顔を知らないかもしれないね。

    おにぎりにオガシオは抜群ですね!これからの季節、スイカにもどうぞ。

  2. >minくん
    お返事ありがとうございます!
    これを機会に再会ぜひです。トモキ君と湘南行きますね!
    先日早速、トモキ君とマキチンはご対面しましたよ?。

    ゲイナー見ました。買っちゃいました。笑
    バシッと決めてる写真見てみたいです。
    掲載写真も、きれいな水と美しいボトムターンで
    素晴らしかったですよ? (^^)v

    • トモミ
    • 2012.05.31

    マキって…まきかなぁ~?(笑)

    私も 同じ頃 ブーギャルしてました!!

    アメリカン帰りのマキって言ったら彼女しか思いつかない(〃^ー^〃)

    私~トモミ(笑) 一番末っ子だった福島っぺの(^o^)v

    元気にしてるかな~

    • Brasil
    • 2016.03.13

    初めまして 母島在住のBrasil
    と言います。

    大木さんには凄くお世話になりました。
    そして昨日父島で何年ぶりかで奥様にお会いしました。

    今日母島に帰りロングボードを小笠原に送る方法調べていたところこのぺーじに会いました。

    ありがとうございます。brasil

    • Brasilさま
      はじめまして、ナキサーフです。
      コメントいただきありがとうございます。

      現在は取り扱っておりませんが、大木さまにもたいへんお世話になりました。
      サーフギアのことなど何かございましたらお気軽にお問い合わせくださいね。
      今後ともどうぞよろしくお願いします。

NAKISURF千葉上総一宮

千葉県長生郡一宮町一宮9355-10
TEL:0475-36-3883
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年中無休です。

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またはお電話いただけたらと思います。

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