アウトからセットの波がやってきた!
周りのサーファーはパドルしはじめている。
「きっとセットは数本あるはずだ」
一本目のセットは数人が追いかけて、
意気揚々と乗っていった。
沖合にみえるうねりの群れ。
「よし、次のセットがきた」
少しブレイクしずらそうな波。
周りに残っているサーファーたちがパドルしはじめた。
沖にはさらにうねりの筋がみえる。
「よし、さらにもう一本奥のセットを狙うぞ!」
沖にむかってパドルアウトする。
もはや周りにサーファーは誰もいない。
3本目のセット・・・、
セットはやってこなかった。
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しばらく待って、
今度こそ、セットの波に乗ることができた。
しかしその波はすこし厚めでブレイクしずらい波。
「もしかしたら違うセットのほうが良かったのかも」
早めにプルアウトして違う波を追いかける。
しかし、
次の波はブレイクさえせず、
テイクオフもできない波だった。
「せっかく掴んだあの波をインサイドまでしっかり乗れば良かった・・・」
人が多いスポットに入っていると、
そんな悪循環な状況ってよくありますよね。
周りの環境に流されることなく、
見定めた「手中の波」をしっかりと乗れば良かった。
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「先の雁(かり)より手前の雀(すずめ)」
日本にはこんなことわざもあるように、
この状況はさまざまなシチュエーションで起きることです。
それは世界でも認められているようです。
なぜなら、
同意のことわざが世界中にもあるのです。
「手中の一羽は、茂みの中の二羽に値する」(英語)
「森の中の10羽より、手中の一羽」(スウェーデン)
「手中の一羽は、飛ぶ鳥100羽に勝る」(スペイン)
「手中の雀は、屋根の上の鳩に勝る」(ポーランド)
「手中のシジュウカラは、空を舞う鶴に勝る」(ロシア)
予想の中にいる多くの鳥にこころ奪われず、
いまあなたの手中にいる鳥を逃さずに。
(先の分からない大きなものより、
小さくても確実なものを手にする方が賢明である)
そんな格言ですね。
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サーフィンにおいては、
限られた波を入水しているサーファーたちで分け合う、
それが一般的なシチュエーションとなります。
その中でも、
自分が追い始めた波は、
インサイドまでしっかりと乗っていくことで、
波回りのリズムが良くなったりしますよね。
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一波入魂。
たとえテイクオフからつまずきそうになったり、
レイルを深く入れすぎて失速しそうになっても、
サーフボードに必死に食らいついて乗っていくこと。
そういったサーフィンは次のステップに繋がる気がします。
プロの選手が「負け試合」だからといって、
途中であきらめて力を抜いたプレイをするのは、
得るものは何もないどころか、
観客の間にもつまらない雰囲気が流れてしまいます。
どんな状況でも逆転を信じて、
あきらめずに「一球入魂」することで見える世界があります。
それはサーフィンのたった一本の波でもおなじこと。
やっと手にした「手中の波」を、
しっかりと感じて丹念に乗っていくことこそ、
ハッピーグライドの世界観なのだと思います。
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鳥が青空を滑空するように、
サーフボードと一体になり波を滑走する。
頭上には快晴の空、
足下にはうつくしい波、
そして心には自由を!!
冬を越えて、春に芽吹き、
夏を前に飛翔する波乗りへの情熱、
「手中の波」へと想いをめぐらせましょう!!
初夏の楽しい季節がやってきました。
みなさまもハッピーグライドを楽しんでくださいね♪
(じゅん)
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