春一番、桜、お花見、
ふわりとした言葉に気分が上がります。
春は遠出でもしたくなる季節ですね。
飛行機の普及で世界は狭くなり、
時間的にも便利な世の中になりました。
移動といえば・・・、
何かの本で読んだのですが、
とても面白い研究をご紹介します。
(すいません、その書籍名は失念してしまいました)
“動物の燃費”を研究したグループがあったそうです。
「消費エネルギー:移動距離」
このような式で測ったところ、
もっとも燃費の良い動物は鷲だったそうです。
ぼくら人間はかなり低い位置にランキングされたとのこと。
さらにそのグループは、
「人間が自転車に乗ったとき」というのも調査したらしく、
その結果は一気にトップランクに上がったそうです。
動力源は人の力のみですが、
自転車という道具を手に入れたら一気に上位へ。
そう考えたら、
人の歴史は弱さとともに進化してきたと言えますね。
弱さを補うために創造力が発達し、
さまざまな道具を作ってきたのだと思います。
100年を優に越えるという自転車の歴史ですが、
ちなみにロードレーサーの瞬間最高時速は、
なんと「70km」を記録しているそうです。
進化するテクノロジーのなかでも変わらずに、
フレームとタイヤで形成されつづける自転車は、
「遠い過去という未来からやってきた乗り物」
なんて言われます。
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もちろんサーフボードも、
生身の人間を動力源としています。
ただサーフボードの進化は、
海面への接地面、水流、波のチカラ、
そういったものを利用することで速度を得る、
というデザインの進化を辿っているのでしょう。
速さと乗りやすさを求め、
その形状やサーフスタイルまで取り込み、
たくさんのボードデザインが生まれています。
バルサボード時代からの歴史をひも解けば、
高速性を求めたボブ・シモンズというボードビルダーが、
サーフボードに大きな変化をもたらしたと言われています。
1940年代当初のシモンズはまだ速さの追求のみで、
止まれないほどのモノ凄い速さだったそうです。
まだニス塗りバルサの時代に、
ファイバーグラスでコーティングされたシモンズボード。
「シモンズが海に入ってきたら、
周りのヤツは轢かれないよう気をつけろ」
そんなことまで言われていたようです。
シモンズのデザインは、
数十年ののちに再び脚光を浴びて、
短く改良され、コントロール性が増し、
現代版ミニシモンズというデザインテンプレートが生まれるのですね。
フィッシュの原型にもなっているというシモンズデザイン。
その系譜にあるのがCANVAS『バターゾーン』、
DOC『ミニシモンズ・サング』ですね。
そしてタイラー・ウォーレンの『バー オブ ソープ』も同じ血筋でしょう。
純粋に高速滑走を楽しめて、
現代風の機能性を身につけているデザイン。
とにかく速い敏捷性と、
グーンと伸びるようなターン。
気付いた時にはそのトリコになっていました。
あのトム・カレンやロブ・マチャド、
ケリー・スレーターまで魅了するデザインテンプレート。
ケリーはタイラー・ウォーレン『The Soup』に乗ってこう言ったそうです。
「これは間違いなく、近未来のサーフボードのカタチ」
さまざまな角度で進化していても、
結局は板きれ一枚にデザインを施されたサーフボード。
サーフボードも自転車と同様に、
「遠い過去という未来からやってきた乗り物」
なのかもしれません。
刺激的な滑走、
波を滑る浮遊感、
日常では味わえない気持ちよさ。
船のような移動手段にはなりませんが、
ぼくらサーファーの心を飛翔させてくれます。
夢を育む道具としては十分なサーフボード。
このストレスの多い社会の中で、
毎日を刺激的にしてくれる波乗りの世界。
ぼくにとってサーフボードとは、
未来へと続くノアの方舟のようなモノです。
さぁ、春波の季節を楽しみましょー!!
(じゅん)
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