新品・中古サーフボード販売、カスタムオーダー、ウェットスーツ、サーフィン用品など。NAKISURFは、プロサーファー、フォトグラファー、サーフライターで知られるNAKIのコンセプトサーフショップです。

naki's blog

弊社コピーライト部ブチョー(来年パイナップルに昇格予定)の仲春初日_(3355文字、中短編です)

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『春海に浮かぼう』

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というキャッチコピーが浮かんできた。

これは春の海で、波に乗って遊んでもらうことを言葉にしてみた。

これだけだと弱いので、

手前に満開桜を前ボケさせて、

夕陽の海に波待ちしているカップルを写真に撮って、

とここは写真家ならではの視点で、

広告写真のイメージラフを考える。

2010_NH_T7629

現在締め切りに追われている。

その締め切りとは、

サーフィンライフのカタログ号、

そしてサーフスタイルのカタログ号に

弊社からそれぞれ出稿掲載する運びとなり、

サーフィンライフのカタログ号には、

AVISO

COLE

SURF PRESCRIPTIONS(Doc=ドッキー)

CANVAS(1/3ページ)

として3.33ページの出稿。

サーフスタイルには、

『NAKISURF』として、

扱いボードを見開き2Pで掲載。

ここはユーザー(読者)が見て、

読んでサーフボード購入を検討するページであるらしいので、

重要となるのは、

各新作サーフボード写真と、

それぞれの説明文ということになる。

じつはNAKISURF扱いの各メーカーは新作だらけなので、

ここには16ページあっても足りぬが、

じつは掲載料というのがあって、

世の中思ったようにはいかないようにできているようだ。

しかし、年度初めであったので、

予算から掲載料をなんとか捻出して、

「いざいざ?」

と出稿の運びとなりました。

それら説明文を書くにあたって、

弊社ではコピーライト部という部署がある。

この部署は俺が勝手に作ったもので、

さらには俺はその『ブチョー』なる役職に自薦して就いている。

これは部長ではなく、ブチョーというのがポイントで、

要はそこも「コピーライト」というところにこだわっている。

キャッチコピー界のことはあまりわからないけど、

コピーライターは、

天才、糸井重里さんを筆頭に野球選手のようにぞろぞろいる。

雑誌広告やインターネットですばらしいコピーを読むと、

蝶が飛ぶような一日となるほど言葉が好きなのです。

ブチョーとして最初の業務は名刺作りだったので、

ここにも言葉遊びを取り入れて、

柳瀬(ゼネラルマネジャー)のところに

「柳瀬(パイナップル)」としたらどうだろうか?

と役職を変更しようという提案をしたのだが、

「名刺というのは、

相手に名前と所属、連絡先を示すためのものですから、

“パイナップル”ではとっても疑問だらけな会社となってしまいますよ」

と諭され、一瞬で却下されてしまった。

それにもめげず、コピー業務は勝手に継続していった。

糸井さんの日産自動車での名作「くうねるあそぶ」

というコピーを

「のるおよぐあそぶ」と盗作して、

サーファーにアピールしようとしたり、

「海、営業中」

とか、

「スリル波」

と名作を数々生みだした。

「名作」と書いてあるのは自分が書いたからに他ならず、

これを人前で伝えるときは、

「いやいや?つまらないコピーですいません」

と蛭子さんのように照れ笑いするようにしている。

へりくだるのは日本的で、

「ドーダ!」と威張るのがアメリカ的。

俺は日本人なので、

先方に対して謝りながらのプレゼンが性に合っているようだ。

とにもかくにも、

こうして言葉を色々なところから見つけてきて、

つなぎ、紡いで、それを歓びにして業務は進んでいく。

「世界最速の魔法」

「緻密な操作性」

「波を滑る電流」

「滑走の真髄」

「夢の乗り味」

「甘美なるボードエクスタシー」

と去年のサーフィンライフ・カタログ号に書いた。

その各ボードの説明文はこんな感じでした。

「サーフボードのロマネコンティ『HPS』の新作。

バターが溶けるような乗り味と、

稲妻が落ちるような速度に酔うように乗るべし。

ポリ製のしなりと、

エポキシ樹脂の高強度を獲得した伊東一刀斎のような剣豪ボード。

美板送生涯(美板をもって生涯を送るべし)」

とHPSでやって、

「今も語り継がれるネオクアッドの元祖総本山

『ファイヤーフライ』の新作。

濃厚でありながらシャキッとした乗り味は、

艶と華があって颯爽としている。

まるで小粋なボードが美しい波を口説いているのではないか、

と思えるほどに春風味が体を吹き抜けていくよう」

と、これはグラスホッパー初登場時の説明文。

AVISO BD3のもありました。

「膝波から8フィートオーバーまで。

短身に豪勢なる性能を持ったサーフボード業界の異端児。

この超性能は負け知らずの連勝中で、

ビーディー3ではなく、

『雷電3』と別名を付けそうになったほど。

タクシーに、家族旅行の車内にというコンパクトさ。

正統なる極上滑走の興奮をあなたに」

そんなことを去年に書いていたのか、

と思いながら今年版を書いています。

来月の頭には書店に並ぶそうなので、

ドーゾドーゾ見つけて読んでみてください。

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2010_inaris_V3977

コピーライターは思ったより楽しいので、

大好きな『カルディ・コーヒーファーム』社に仕事はないものか?

とコネをたぐり、

なんとかカルディ社の人事部の人とお会いする運びとなった。

その人事部の人は、コーヒー色のランボルギーニで現れ、

俺はそれを見て、

「さすが世界のスーパーストア・カルディは違う」

とうなってしまった。

聞くと、

ガソリンでなく、コーヒーを燃料として走るのだそうで、

「”偉大”の上位語はなんだろう?」

と、感嘆符を忘れて、最上級の賞賛の言葉を考えてしまったほど。

“コーヒー豆で作成”というコーヒー名刺を受け取ると、

「コピーライターとして雇ってください」

と即座にお願いした。

ランボルギーニの人は俺の目をちらりと見て、

テーブルの端に視線を落とし、ややあってから

「それではこのコーヒーを飲んで、コピーをお願いします」

と熱い紙コップを渡されながら言われたので、

俺も同じように外に止まっているランボルギーニの尾翼を見て、

それからもったいぶるように

「ジャングルの息吹がそよ風となり、舌に吹き抜けていくようだ」

と書くと、

「船木さん、すごいです!

この豆はエチオピアのジャングル産なんですよ!

どうしてわかりましたか?」

「味覚をイチローさんのように、

つまり彼がバッターボックスに入るように研ぎ澄まして集中してみました」

と言うと、

「それではイチローさんの言葉で、一番好きなものを教えてください」

「満足は求めることのなかにある」

としっかりと答えながらこの試験は満点だろうな、

と自信たっぷりに次の質問を待っていると、

ランボルギーニが見える窓から拍手がわき起こり、

「なんだなんだ?」

とやっていたら目が覚めてしまった。

求職劇の全ては夢だったようで、

強い雨が屋根を叩いていた音が拍手だった。

でもまだ夢をひきずっていて、

その余韻なのか

『春のパンケーキ』

という字面が頭に残っていた。

そのイメージもしっかりとあって、

「とちおとめイチゴをたっぷりと生地に練り込んだ、

ピンク色のふっくらパンケーキ生地に真っ赤なイチゴが3個のっていて、

そこに桜の花びらをあしらった豆乳クリームがふわりと咲いている。」

というものだった。

これは何かの予告編なのか、

それともただの春の夢なのか?

と思ってオフィスに来て暦を見ると、

今日は『啓蟄』だった。

『仲春』というのがあって、

それは

「春という季節を3つに分けた真ん中をそう呼ぶ。

その期間は啓蟄から清明前日まで」

ということで、

今日からつまり春の中の春となったようですよ。

その夢だったのかなあ、

と思った日です。

そうだ、コピーライト部は昨年まで

「ブチョーのひとり業務。たまに亮が補佐」

だったのですが、

晴れてJUNという子分ができて、

ふんぞりかえる胸と、

ブチョー用の背広はどこにもないけれども、

彼が日替わりトップページ、

https://www.nakisurf.com/index.html

そしてツイッター、

ミクシー、

マイスペース、

フェイスブックと、

「縦横無尽の表現」をしてくれているのです。

なので、来年には彼をブチョーとして、

俺はパイナップルに昇格しようかと思っている。

パイナップルの上は何にしようか?

と考えていると、

また単語が止まらなくなってしまった。

結局パイナップルの上の役職を

『永谷園の松茸の味のお吸いもの』

としようと思ったが、

「合成味覚は良くない」

と感じ、現在難航中です。

決定したらここでお知らせしますね。

すばらしい春の中の春の日、初日をお幸せにお過ごし下さい!

土曜日もNAKISURFにお越しくださってありがとうございます。

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