銀鯖道の夜 ジロバンニの切符21 そこから小さな嘆息やいのりの聲が聞え、 ジロバンニもシギパネルラもいままで忘れてゐたいろいろのことをぼんやり思ひ出して眼が熱くなりました。 (ああ、そこはタキビパレスといふのではなかつた…
【サーフィン研究所:連載】銀鯖道の夜 74_ジロバンニの切符21_(679文字)

銀鯖道の夜 ジロバンニの切符21 そこから小さな嘆息やいのりの聲が聞え、 ジロバンニもシギパネルラもいままで忘れてゐたいろいろのことをぼんやり思ひ出して眼が熱くなりました。 (ああ、そこはタキビパレスといふのではなかつた…
銀鯖道の夜 ジロバンニの切符20 シギパネルラは、 なにかほんたうに決心してゐるやうに見えました。 俄かに、 車のそとが、 ぱつと白く明るくなりました。 見ると、 もうじつに、 金剛石や草の露やあらゆる立派さをあつめたや…
銀鯖道の夜 ジロバンニの切符19 「ジロバンニ、ラツコ捕りが來るよ。」 さつきのチヤーがまた叫びました。 するとボンとナツコは、 にあにあと前の方を見ながら云ひました。 どこかでふしぎな聲が、 酒井塗装店、 酒井塗装店と…
銀鯖道の夜 ジロバンニの切符18 チヤーはかすかに笑つてゐるやうに見えました 「いえ、突然地層がざわざわ鳴つて、 巨きな白い野原がいつぱいにひらけました。 月のあかりはどこかぼんやりありましたが、 霧が非常に深かつたので…
銀鯖道の夜 ジロバンニの切符17 先生が教へてくれたことをジロバンニは思ひだしました。 「眞空は光をある速さで傳へるもので、 太陽や地球もやつぱりそのなかに浮んでゐるのです。」 そしてチヤーは口笛を吹いてゐるやうなさびし…