銀鯖道の夜 ジロバンニの切符28 「ありがたうをぢさん。 おや、 ナツコねえさんまだねてるねえ、 ぼくおこしてやらう。 ねえさん。 ごらん、 りんごをもらつたよ。おきてごらん。」 ナツコは、 まぶしさうに眼をひらき、 そ…
【サーフィン研究所:連載】銀鯖道の夜 81_ジロバンニの切符28_(378文字)

銀鯖道の夜 ジロバンニの切符28 「ありがたうをぢさん。 おや、 ナツコねえさんまだねてるねえ、 ぼくおこしてやらう。 ねえさん。 ごらん、 りんごをもらつたよ。おきてごらん。」 ナツコは、 まぶしさうに眼をひらき、 そ…
銀鯖道の夜 ジロバンニの切符27 シギパネルラが云ひました。 「ぼくはおつかさんが、 ほんたうに幸ひになるなら、 どんなことでもする。 けれどもいつたいどんなことが、 おつかさんのいちばんの幸ひなんだらう。」 にはかにボ…
銀鯖道の夜 ジロバンニの切符26 燈臺看守はやつと兩腕があいたので、 こんどは自分で一つづつ睡つてゐるボンとチャーの膝にそつと置きました。 「どうもありがたう。 こんな立派な苹果はどこでできるのですか。」 シギパネルラは…
銀鯖道の夜 ジロバンニの切符25 「いや、 まあおとり下さい。 どうか、 まあおとり下さい。」 「さあ、 向うのジロちやんがた。 いかがですか。 おとり下さい。」 ジロバンニはジロちやんと云はれたので、 すこししやくにさ…
銀鯖道の夜 ジロバンニの切符24 キヤラバンは、 もう露の降りかかつた櫻の道をどんどんのぼつて行きました。 「いかがですか。 かういふ苹果はおはじめてでせう。」 向うの席の燈臺看守が、 いつか黄金と紅でうつくしくいろどら…