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【サーフィン研究所渾身号】Blue.95号巻頭コラムより『大きな心で波に乗れ』_(1549文字)

大きな心で波に乗れ  

“『サーフボード』という本を編纂(へんさん)する”  

そんなことになった。

検索時代なので種類別に分けなくてはならない。

まずはボードの形状だ。

「長い」、

「短い」、

「丸い」、

「四角い」と大別できる。

製造年代の検索もあるだろう。

年代といってもサーフボードには『変革』というデザインの経緯がある。

デューク、

ボックス、

ログ、

フィッシュ&ミッド、

ショートボードと年代は進んでいく。

その中に浮力=体積グループを作ってインデックス(索引)とする。

フィッシュは、

5つの体積グループに分けられた。

a. ボディサーフからショートボード。
薄いもの(ボディサーフはスイムフィン等も掲載すべきか迷った)
b. クラシック・フィッシュからラウンド系のさまざま、
短いスポンジボード
c. 7フィートから8フィートのミッドレングス
d. 8フィート以上のボード
e. ようやく持ち上げられるほどの物体
カラーで検索できたり、

フィンの数やテイルの形状、

使用者(サーファー)側からも探すことができたら、

さらに良いかもしれない。

とすると、

トム・カレンやタイラー・ウォーレンは、

多くのボードのカテゴリーに出てくるサーファーとなるだろう。

カテゴライズすると、

それぞれのネーミングが浮かんだ。

フィッシュならば、

浮力の少ない順に

「ショートボード・フィッシュ」、

「クラシック・フィッシュ」、

「ミッドレングス・フィッシュ」、

「ビッグ・フィッシュ」となる。

サーフボードの浮力は重要で、

表a.の

『ボディサーフからショートボード。薄いもの』

では乗る波が限定される。

e.『ようやく持ち上げられるほどの物体』ならば、

さざ波にも乗ることができる。

逆にd.『8フィート以上のボード』で大波に乗ることもある。

トウ・イン(Tow-in surfing)になれば、

テイクオフがないのでa.でもいける。

わかりずらくなったので視点を変える。

いま私は、

バレル系ならば、

68(シックス・エイト)に乗る。

203cmだ。

小波は86(エイト・シックス。259cm)だろうか。

10フィート(約305cm)ボードも好きだ。

「波に乗る」というのは、

「波面を滑る」ことだ。

波に乗るための道具はどの形でも良い。

前出したデューク・ボードの正体は、

『パパ・ヌイ』というハワイアン・コア製のサーフボードだ。

私は2012年にドナルド・タカヤマが友人に制作したレプリカを直接受け取ったが、

それは50kg以上もある堅い木材だった。

『パパ・ヌイ』に乗っていたのはデューク・カハナモクだ。

彼は近代サーフィンの父として知られている。

オリンピックでは水泳金メダリスト(1912年。合計3つ)であり、

彼が得意とするサーフィンと海洋安全の普及として、

ハワイ州の命を受けて各地にサーフィンを伝道したのだ。

デュークは、

オーストラリアやカリフォルニアで

「安全に、楽しく波に乗ること」を多くの人に説いた。

重たいパパ・ヌイを肩に乗せ、

颯爽と浜を歩き、

それは見事に波に乗ってみせた。

1950年代には、

エルビス・プレスリーにもサーフィンを教えた。

この始祖のおかげで、

サーフィンはたいてい正しく伝わった。

1910年代のことなので、

いまから100年以上前のことになる。

サーフボードという物体の仕分けをしていると、

デュークの亡霊が出てきて、

”Let’s do it with a big heart.”と言ったような気がした。

そんなことを伝えてきたのだ。

これではまるで映画

『フィールド・オブ・ドリームス』ではないか。

それからは、サーフボードの仕分けなどどうでもよくなって、

このプロジェクトは一向に進まないのだった。(了、2022/08/16)