上総一ノ宮駅の西側を通ろうとすると、

人であふれかえっていた。

普段は人が少ない地域なので、

何かあったのかと驚いた。

水守食堂の前から、

玉前神社方面まで両側駐車が続き、

まるでお祭りみたいな人出だった。

閑散とした駅側に戻り、

タカラ亭のお母さんに見た混乱を伝えると、

「トリモモよ！

クリスマスなんだから」

そうきっぱりと言った。

さらに続けて、

「あの肉屋さんはわからないけど」

そう前置きしてから

「川のところのカラアゲはレイトウだからダメよ」

彼女の思考が鶏肉からつながったのか、

わりと大きな声で冷凍かどうかが重要だと教えてくれた。

「けどね、（一番の）稼ぎ時が今日なのよ」

あの昭和風精肉店のトリモモ繁盛がうれしそうだった。

私は、

タカラの親父さんが切ったイナダを味わいながら、

ある日だけのトリモモに民が群がることについて、

それがキリシタン由来となると、

織田信長ならどう思うのだろうか？

これが小説にならないだろうかと思いをめぐらせていた。

できれば夢枕獏さん風の細緻でありつつ、

月夜の霞がかかったような文体が理想だ。

「あらいやだ、千葉が８千人ですって」

タカラのお母さんは、

TVニュースを見ながら、

今度はコロナ感染者数を私に教えてくれた。

各地は降雪が続き、

観測史上初という文字が地方紙などを埋めている。

Photo by @kj053

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滋賀の伴宙太さんは、