無事に戻ってきた。
そんな波乗りはひさしぶりだった。
現在のブイ数値が
“17.4 feet @ 14.1 seconds”
そして本日の最大数値が、
19.4 feet @ 15 seconds/303°(WNW)
を叩きだした今回の高波警報西北西うねり群。
「ナインティーンフィフティーン」
という怪獣数値。
冬の嵐はすごい、海は半端ではない。
さて、イナリーズ。
いや、今日のは
『ザ・イナリーズ』と冠をつけようか。
theは世界にひとつしかないものだからね。
いつも思っていることが、
「波は高さではない」
ということ。
それがまた確かなものとなった。
たったオーバーヘッド、
たまにダブルちょいくらいの高さの波は、
三日月(ハナレイ)湾の12〜15フィートサイズに匹敵するパワーを持ち、
さらには真横、
つまり岸と平行に流れるカレントによって、
「沈めコンダラ、試練の道を」
と巨人の星の主題歌(思い込んだら 試練の道を)
のようにサーファーを捕らえ込んだら離さない。
そんな恐ろしいイナリーズ。
でも俺は、
この日のために普段から生活しているようなこともあるので、
しっかりと見据えて、自分が前衛部隊だと思って進んできた。
朝から5ラップサーフしてきた。
「ラップ」というのは、
ここではだいたい2km流されると、一度岸まで上がり、
走&歩と混ぜながら上流まで戻っていく。
これがラップ。
5回なので、
つまり砂浜の10km走&歩をした計算となる。
そのくらいの流れで、
計ってみたら継続的にパドリングで逆らっていても
30分で2kmの流されていた。
つまり時速4km以上のカレントが入る。
セットが入るとインパクト位置を確かめ、
そこから少しでも距離をおけるように、
岸側に戻るように全力でパドルし、
爆撃のような波先着水後は、瞑想的にダックダイブし、
意識を閉じてただただ祈っていた。
□
「こんな状況を下敷きとして波に乗ってきた」
わけだが、それは過酷なのか、
または愉楽悦楽だったのかは読者に委ねたい。
究極の波乗り日には、こんな交換条件の時もある。
波を形容して波状攻撃と言うが、
まるで攻撃されているような気がしていた。
天まで切り立ったような強烈なセット波を目の前にすると、
堪忍
勘弁
容赦
謝罪
陳謝
そんな言葉を浮かばせ、
波底に沈んでいくのは、
人生をリセットするかのようだった。
今日のセッションを全て終えてみると、
関ヶ原や童貫決戦、
つまり合戦を終えた兵士が、
無傷でいたような高揚感を持ち続けている。
または武芸に通じるような達成感か。
波乗りは深い。
この気持ちを整理して、
次のコラムで書いてみようと思っている。
.
「みなさんはこの波の写真をブログで見られて、
“良い波だ〜”なんて思われるのでしょうが、
ぼくにとっては、とうとう今日で最後、お陀仏なのか、
と感じるほどモノスゴイ波です、はい」
という感想を持たれたSさんは、
毎年ノースショア詣でを20年以上続けてもなお、
畏怖する心で波を見る。
私も同じ気持ちです。
.
私のセット波。
怖ろしいような、
それでいて偉大なる波。
ユウセイさんとラップ中。
奄美から来た勇生さん。
「半端じゃないです!
爆風と、カミナリが落ちたみたいな音がしました!」
と言いながらモノスゴバレルをメイクして、
全員にイナズマを落とした。
やはり奄美大島という場所は、
ハワイなんだと確信した瞬間でもありました。
さらに言うと、
ユウセイさんはグレイトが付くほどのすばらしいウオーターマンです。
こうして一緒にサーフできて良かった。
お、もう二月ですね。
すばらしき月としましょう!
ALOHA O’E!!
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