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naki's blog

The Inarisはウナクネ試練の道か悦楽か!?_(1485文字、短編です)

無事に戻ってきた。

そんな波乗りはひさしぶりだった。

現在のブイ数値が

“17.4 feet @ 14.1 seconds”

そして本日の最大数値が、

19.4 feet @ 15 seconds/303°(WNW)

を叩きだした今回の高波警報西北西うねり群。

「ナインティーンフィフティーン」

という怪獣数値。

冬の嵐はすごい、海は半端ではない。

さて、イナリーズ。

いや、今日のは

『ザ・イナリーズ』と冠をつけようか。

theは世界にひとつしかないものだからね。

いつも思っていることが、

「波は高さではない」

ということ。

それがまた確かなものとなった。

たったオーバーヘッド、

たまにダブルちょいくらいの高さの波は、

三日月(ハナレイ)湾の12〜15フィートサイズに匹敵するパワーを持ち、

さらには真横、

つまり岸と平行に流れるカレントによって、

「沈めコンダラ、試練の道を」

と巨人の星の主題歌(思い込んだら 試練の道を)

のようにサーファーを捕らえ込んだら離さない。

そんな恐ろしいイナリーズ。

でも俺は、

この日のために普段から生活しているようなこともあるので、

しっかりと見据えて、自分が前衛部隊だと思って進んできた。

朝から5ラップサーフしてきた。

「ラップ」というのは、

ここではだいたい2km流されると、一度岸まで上がり、

走&歩と混ぜながら上流まで戻っていく。

これがラップ。

5回なので、

つまり砂浜の10km走&歩をした計算となる。

そのくらいの流れで、

計ってみたら継続的にパドリングで逆らっていても

30分で2kmの流されていた。

つまり時速4km以上のカレントが入る。

セットが入るとインパクト位置を確かめ、

そこから少しでも距離をおけるように、

岸側に戻るように全力でパドルし、

爆撃のような波先着水後は、瞑想的にダックダイブし、

意識を閉じてただただ祈っていた。


「こんな状況を下敷きとして波に乗ってきた」

わけだが、それは過酷なのか、

または愉楽悦楽だったのかは読者に委ねたい。

究極の波乗り日には、こんな交換条件の時もある。

波を形容して波状攻撃と言うが、

まるで攻撃されているような気がしていた。

天まで切り立ったような強烈なセット波を目の前にすると、

堪忍

勘弁

容赦

謝罪

陳謝

そんな言葉を浮かばせ、

波底に沈んでいくのは、

人生をリセットするかのようだった。

今日のセッションを全て終えてみると、

関ヶ原や童貫決戦、

つまり合戦を終えた兵士が、

無傷でいたような高揚感を持ち続けている。

または武芸に通じるような達成感か。

波乗りは深い。

この気持ちを整理して、

次のコラムで書いてみようと思っている。

.

「みなさんはこの波の写真をブログで見られて、

“良い波だ〜”なんて思われるのでしょうが、

ぼくにとっては、とうとう今日で最後、お陀仏なのか、

と感じるほどモノスゴイ波です、はい」

という感想を持たれたSさんは、

毎年ノースショア詣でを20年以上続けてもなお、

畏怖する心で波を見る。

私も同じ気持ちです。

.

私のセット波。

怖ろしいような、

それでいて偉大なる波。

ユウセイさんとラップ中。

奄美から来た勇生さん。

「半端じゃないです!

爆風と、カミナリが落ちたみたいな音がしました!」

と言いながらモノスゴバレルをメイクして、

全員にイナズマを落とした。

やはり奄美大島という場所は、

ハワイなんだと確信した瞬間でもありました。

さらに言うと、

ユウセイさんはグレイトが付くほどのすばらしいウオーターマンです。

こうして一緒にサーフできて良かった。

お、もう二月ですね。

すばらしき月としましょう!

ALOHA O’E!!